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荏開津広 ECDとの思い出を語る

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荏開津広さんがTOKYO FMのECD追悼特番『SEASON OFF』に出演。STRUGGLE FOR PRIDEの今里さんとECDさんとの思い出を話していました。


(今里)続いてのECDさんと親交の深いゲストは、荏開津広さんです。

(荏開津広)どうも(笑)。

(今里)どうも、こんばんは(笑)。荏開津さんと石田さんの最初の出会いは?

(荏開津広)いつかなー? やっぱり石田さんもライブやってて、最初見た時はレゲエやっていて。それ見てからかな? けど、話すようになったのは結構後かも。

(今里)どこですか? ちなみに。

(荏開津広)最初は代チョコ(代々木チョコレートシティ)かな? なんかその辺でメジャー・フォースとかの、(高木)完さんとかみんながライブやってた頃じゃないかな? そうかも。それでその辺りで多分だんだん知り合って……けど、いちばん仲良くなったのは、その『ビッグ・ユース』っていうアルバムを作る時と『さんぴんCAMP』の時は結構ずーっと一緒にいたから。その時がいちばん仲良かったっていうか、最後まで仲良かったと思う。

(今里)荏開津さんから見た石田さんの表現方法は?

(荏開津広)あのね、石田さんってずっと曲を、みんなこれを聞いてる人とかも、聞いてもらったらいいと思うんですけど。いちばん最初からずーっと「音楽が好きだ」っていうことをラップしてるんですよね。なんか。いちばん最初のECDのアルバムからね、ずっと「音楽を聞けると嬉しいな」っていう曲で。最後じゃないけど、厳密には。『君といつまでも』もでしょう? あれも音楽の歌ですよね。

ECD『君といつまでも』



(今里)そうですね。

(荏開津広)基本的には、石田さんってずっとその音楽をみんなで楽しく聞けるような、そういう場所っていうか。そういうのすごい作っていて。だから、スクランブル・クロッシングとかそういうのはすごく良かったんだと思うんですよ。それはカンフュージョンだったり、スクランブルだったり、ダブルサイドだったり。だから、パーティーも可愛い女の子と会ってお酒飲むとかっていうのはもちろん嫌いじゃないんだろうけど、だけどそれよりかは音楽をみんなで仲間と聞くのが本当に好きなんだと思うんだよね。

(今里)うんうん。

(荏開津広)そんなこと、ずーっと曲にしている人はあんまりいないよね?

(今里)フフフ(笑)。

(荏開津広)ずっと曲にしているもんね。だからパーティーのこと、よく出てくるじゃないですか。あれもだけど、そういう場所が好きなんだと思うの。石田さんの家に行っても、その『ビッグ・ユース』の頃って本当に結構石田さんの家に行って、打ち合わせとかをするんだけど……乗ってくるまでは、話じゃなくて音楽を聞くの(笑)。

(今里)フハハハハッ!

(荏開津広)「これが……これ、この間買ったから」みたいな(笑)。「いやー、打ち合わせ、始まらないな」みたいな(笑)。

(今里)石田さん、DJもちょっとそんな感じありますよね?(笑)。

(荏開津広)そうでしょう? そう(笑)。「聞いてんじゃん……」みたいな。その時から、もう和物とかもあって。いつまでたってもアメリカとかイギリスの音楽じゃなくて、日本人のクリエイティビティーはこんなにすごいんだ! とか。けど、それが日本人だったりもするし、下北沢だったりもするし、スクランブルのパーティーの場所だったりもするし、Zooだったりするし、みたいな感じで。なんか、そういうのがあったんじゃないですかね。

(今里)あと、結構石田さんはすごいコンシャスなイメージがちょっとあるじゃないですか。あれ、最初はちょっと意識してたのかな? とか思うんですよね。意識的にやってたのかなと思って。

(荏開津広)けど、そういう正義感みたいなのは石田さん、すごいあるでしょう?

(今里)はいはい。そうですよね。正義感。

(荏開津広)ねえ。あると思って。石田さんのティンバーランドの話は有名だけど、ジャングル・ブラザーズっていうオールドスクールっていうか、まあニュースクールっていうか。86、7年に出てきたニューヨークのヒップホップグループが、バナナリパブリックの服とか着ていて。で、石田さんは割とバナリパとか着ていて。だから、なんかそういうのも……ファッション、おしゃれなんだけど、ジャングル・ブラザーズもやっぱりそういうアフリカ回帰みたいなグループで。石田さんもなんか、そういうコンシャスって言うか……「コンシャス」をどう表現するか、みたいなのはあったんじゃない?(笑)。

(今里)アハハハハッ!

(荏開津広)ファッションで表現したり。なんかパーティーで表現したり。そうそう。で、それは絶対に音楽をみんなで聞ける場所とかと関係があって。だから、こんなこと、僕の思い込みを結論にしちゃいけないんだけど、最後の方だって……「最後の方」とかって言ってなんだよ? みたいな感じだけど。悔しいけどで。デモに出たのだって、あれは要するに、「このままじゃ、みんなが音楽が安心して聞けるような場所がなくなるぞ!」みたいなことだなと僕は思っていて。難しい、そういう「イデオロギーが……」とか、もちろん石田さんはすごい勉強して。本を読んでる人だから、そういうのもあると思うけど、単純にアーティストとしてのECDの曲を聞くと、『職質』とかさ、出ているじゃないですか。



(今里)はいはいはい。

(荏開津広)で、そういうのを感じ取って。これはもう、ラップしてる曲で表現してるだけじゃなくて、出なきゃダメなんだな、みたいな感じかなと思いましたです。だからもう、ずっとそういう真面目な正義感っていうか、そういうのがずっとあったかなと思います。はい。

(今里)ここで、荏開津広さんの選曲でECDさんの曲をお届けしたいと思います。

(荏開津広)やっぱり僕がいちばんECDこと石田さんとすごく密に付き合っていた『ビッグ・ユース』っていうアルバム。あれはもうジャケットデザインから何から、全部ずーっと全部見せたので。その中で、『スター・ツアー』っていう曲を。

ECD『スター・ツアー』



(今里)お届けしたのは荏開津広さんの選曲で『スター・ツアー』でした。

(荏開津広)もうね、これはヒップホップについての曲で。石田さんは本当に僕の中で「ヒップホップ哲学者・ヒップホップ思想家」みたいな人。その、そういう感じが出てると思うんで選んでみました。

(今里)荏開津さんの石田さんとのすごく印象に残ってることは?

(荏開津広)石田さんの中目黒の家に行くと、これがまあ、他の方も言ってるかもしれないですけど。ものの見事に何もないんですよ。その頃、90年代なんで……「90年代なんで」ってこともないけども、インテリアに気を使ってるDJ の人とかは結構いて。みんな、ミッドセンチュリーの椅子とか。そういう家なのかなって思って行ったら、いい意味でも悪い意味でも生活の匂いが全くしない家で(笑)。

(今里)フフフ(笑)。

(荏開津広)その真ん中に、ドワーッ!ってレコードがあって。

(今里)真ん中にあるんですね(笑)。

生活の匂いが全くしないECDの部屋

(荏開津広)そう。結構真ん中にドワーッ!ってあって。で、最初はブレイクとかを聞かせてもらうんですけど。それで結構乗ってくると、奥の方からね、ヒップホップの切り抜きとかがガンガン出て来るの。それで僕、結構仲良くなったというか。それこそ日本のだけじゃなくて、ニューヨークタイムスがヒップホップを特集した記事とか、ヴィレッジボイスっていうフリーペーパーがヒップホップを特集した記事とか。「これね、結構マーリー・マールも写真が載ってるよ」とか、そういうのが結構……(笑)。「おおおーっ!」とかって。「いや、これちょっとコピーさせてください」って。コピーさせてもらったかも(笑)。

(今里)フハハハハッ!

(荏開津広)そういうのが僕、石田さんの思い出ですかね。やっぱりね。だから本当に、キミドリとかブッダとかみんなに会ってうれしかったし。けど、たぶんそれの後だと思うけど、スクランブルのみんなとかが加わって。だからヒップホップだけじゃなくてパンクとか、そういう……音楽がやっぱり石田さんは好きなんだな、この人!って。あんだけなにもない家で、こういう音楽関係のものは全部持っているんだなって思いました。

(今里)ああーっ。なんか、探究心が……。

(荏開津広)そうそう。すごかった。サックスとか吹いていた時も僕、好きだったけどな。

(今里)ああ、よかったですよね。

(荏開津広)ねえ。ユニットとか組んだらいいなとか思っていたんですけどね。バンドじゃないけど。

(今里)1回、合体でやったことあるんですよ。石田さんサックスで。

(荏開津広)あ、そうでしょう?

(今里)すっごい楽しかったっすね。

(荏開津広)でしょう? そういうの、石田さんこれからやるのかな?って思っていたんだけど。

(今里)なんか結構バンドとよく、やっていたりしていて。すごい似合ってるなと思って。

(荏開津広)でしょう? そうそう。もうひとつ、あるんですけど。東京芸術大学でアントニオ・ネグリっていうイタリアの思想家っていうか哲学者を呼ぼうとしたことがあって。だけどね、アントニオ・ネグリはビザがイタリア政府からおりなくて。それで来なかったんですね。その時僕は、その東京芸術大学で非常勤講師をしてて。誰かが「あの講師の人はDJできるから、DJをやってくれ」って言われて、DJやったんですよ。野外の学生の皆が作ってくれたのイベントスペースに野外DJ ブースがあって。そこでDJをしたんだけど、その前が石田さんとIllicit Tsuboiで(笑)。

(今里)フハハハハッ!

(荏開津広)これもね、さすがに感慨深いものがありましたね。うん。

(今里)それ、たまたまですか?(笑)。

(荏開津広)それ、たまたま。僕がブッキングしたんじゃなくて。うん。で、僕がまたフェラ・クティとかアフリカの音楽とかをかけて。その後にIllicit Tsuboiがターンテーブルを壊しそうな感じになるっていう。で、石田さんが叫ぶっていう。「これ、俺もう20年ぐらい一緒にやってるんだな」って思うと、それも感動しました。

(今里)フフフ(笑)。

(荏開津広)やっぱり、けどいちばんは、あれかな? 見ているのよ、やっぱり。スクランブルのみんなとか今里さん、クボタさん、石黒さんとかと一緒に遊んでる時の石田さんが、やっぱり楽しそうだよね。

(今里)うん。気づかないでよかったのかなって。

(荏開津広)うん、そうそう。ねえ。なんかね。あの、石田さんって別に責任感がないわけじゃないから。逆に責任感が超ある人だと思うんだけど。さっき「コンシャスなのちょっと意識してやったんじゃないか」って言ったけど、逆に意識してボスっぽく振る舞うのは嫌な人っていうか。ここはどう考えても石田さんがえばっていいじゃん、みたいな時も絶対にかならず……あれはすごい意識してやっていたでしょう?

(今里)そうですね。はい。

(荏開津広)ねえ。そういうのはいつも見てて。けど、あれってやっぱりポリシーで。絶対上下関係みたいなのを作らないのが石田さんのポリシーなんだなと思ってました。

(今里)うんうん。すごいそのイメージですね。この時間は荏開津広さんをお迎えしました。ありがとうございました。

(荏開津広)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
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STRUGGLE FOR PRIDE・今里 ECDとの思い出を語る

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STRUGGLE FOR PRIDE・今里さんがTOKYO FMのECD追悼特番『SEASON OFF』に出演。ECDさんとの思い出を話していました。


(今里)みなさん、こんばんは。STRUGGLE FOR PRIDE、今里です。ここから2時間は半蔵門TOKYO FMからお届けする『SEASON OFF』。1月24日、急性呼吸不全のために亡くなったECDさんの追悼の意を込めてスペシャルプログラムをお届けします。

石田さんと最初に会ったのは、下北沢にいまでもあるミスタードーナツの前、向かいの地下に入っているZOOっていうお店があって。そこは先輩方か友達がみんな溜まってるクラブだったんですけど。そこで友達から紹介してもらって。前からもちろん名前とかは知って。なんかおっかない人が多いなと思っていたんですけど、最初に会った時、話した時もやっぱりあまりしゃべってくれなくて。「おっかねー」っていう感じで。最初に会った時、イヤホンを……話しながら石田さんはイヤホンしてたんですけどね、そのイヤホンのコードに結び目がいっぱいあって。すっげーおしゃれな人だなっていう第一印象だったんですけど。

その後、いろんな場所で会ったりするうちに、ちょっとずついろんな話をするようになって。うん。一緒にいる時間が増えた感じです。で、この後、ECDさんと親交のあった方々をお招きして、いろんなお話を聞きたいと思います。まずは僕の選んだ曲を聞いてください。ECDで『バイブレーション』。

ECD『バイブレーション』



(中略)

(今里)石田さんは、自分の中ではすごい……みんなが言っていたことなんですけど、いろんな人をフックアップしたり、いろんな文化を日本に紹介したりとか、そういう方だったんですけれど。うーん、自分の中では、すごい正義感と行動力の人で。なんか自分が興味を持ったものを実際に見て確かめて、すごい動く人で。そういうところがすごい、僕は好きでした。

なんか、音楽の話とかもそんなしたことが実はなくって。いつも会っても、その前の週にあった出来事とか、友達の話とかばっかで。高木完さんも言っていたけど、すごい聞いとけばよかったなという話がすごく、たくさんあります。やっぱりああいう風に、すごく物事に対して誠実に接してる人はそんなにないんで、すごくまた東京の良心が失われちゃったなって気がして、とても寂しいです。最後は僕の大好きな石田さんの曲を聞いてもらうと思います。『君は薔薇より美しい』。

ECD『君は薔薇より美しい』


<書き起こしおわり>

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ハライチ岩井 孤独な大阪の夜の1人飲みと7人の岩井を語る

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ハライチの岩井さんがTBSラジオ『ハライチのターン!』で仕事の前乗りで大阪に宿泊することになった夜についてトーク。普段はしない1人飲みに勇気を出して行った際の模様を話していました。



(岩井勇気)この間、週末に大阪で仕事だったんですけど。一応、その日が朝が早かったんで、前の日に前乗りしていたんですよね。大阪で泊まりだと。これ、毎回なんですけど、俺はモンスターエンジンの西森さんに電話かけて、「メシ行きませんか?」っていう風にして行っているんだよね。もう確実に毎回、大阪の泊まりの時は行っているんだけど。で、行きの新幹線で「メシ、行きませんか?」って電話をしたら、「いやー、今日はアカンねん。もうちょい早く電話してや」みたいな感じになって。で、「ダメか……」って。

(澤部佑)うん。

(岩井勇気)そうなると、もう大阪の芸人と仲良くもないからさ。メシに誘える人もいないんだけど。でも、いま考えればその(西森さんの)相方の大林さんを誘えばよかったんだけど(笑)。その時は全く思い浮かばなくて。なぜか。

(澤部佑)まあ、コンビでの仕事の可能性もあるからね。

(岩井勇気)「電話をしよう」って1回も思わなくて(笑)。なんでなんだろうね? で、どうしようかって思っているうちに、新幹線が大阪に着いちゃって。夜の7時ぐらいかな? で、どうするかな……って新幹線を降りたら、そこそこ雨が降っていて。「もうダメだ。これはどこか行く感じでもないか……」って思ってそのままホテルに行って。で、チェックインして部屋に入ってさ、部屋でじっとしたまま、3時間ぐらい……。

(澤部佑)ええっ?

(岩井勇気)じっとしたまま。もうなんか、なにもせずに。でも、思ったんだけど、地方で泊まりの夜、俺1人だと何をしたらいいのかわからないんだよね。

(澤部佑)まあ、そうね。

(岩井勇気)1人でどこか行けないんだよ。地方で泊まりの夜とか。そもそもだから、普段1人でメシとか行けないんだよね。飲みにとか。

1人でメシに行けない

ハライチ岩井 一人旅ができない理由を語る
ハライチの岩井さんがTBSラジオ『ハライチのターン』ラジオクラウドの中で一人旅ができない理由について話していました。 (澤部佑)いやー、びっくりしたね。でも、遅刻...

(澤部佑)ああ、そうか。

(岩井勇気)だから1人でメシに行くっていってもラーメンをパッと食べて帰るぐらいの感じだから、ちょっと楽しむようなこととかも1人ではできないわけ。1人で飲みに行ったこともないから。それだから、部屋で3時間ぐらいじーっと、なんか、して……。

(澤部佑)フフフ(笑)。いや、だからって部屋で別に3時間ぐらいじっとしてなくても……。

(岩井勇気)7時半から10時半ぐらいまでの空白の3時間ぐらいがあって。

(澤部佑)超もったいないじゃん!

(岩井勇気)7時半から10時半にワープしたのと一緒だからね。本当にね(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! なにもしていないからね。たしかに。

(岩井勇気)10時半ぐらいに「はっ!」ってなって。「お、俺は、なにを……?」ってなって。

(澤部佑)フフフ(笑)。なに、その口調? 主人公口調になってるの?(笑)。

(岩井勇気)「お、俺は、なにを……?」って。「もしかしたら、別の人格が人を殺していたかもしれない」って。

(澤部佑)その想像が怖いんだよ。

(岩井勇気)「3時間ぐらい、俺はなにをしていたんだ? 別の人格が?」って。

(澤部佑)ボーッとしてたんだろう?

(岩井勇気)別の人格……トモキが……。

(澤部佑)ええっ?

(岩井勇気)トモキが人を殺していたかもしれない。

(澤部佑)別の人格の?

(岩井勇気)あいつは残忍な性格だからさ。やっぱりトモキは。

(澤部佑)(名前は)「勇気」でしょう?

(岩井勇気)勇気よ。だから俺の中のトモキは残忍な性格だから、その3時間ぐらいでなんかやっていたかもしれない。

(澤部佑)いるの?

(岩井勇気)あ、いますよ。なにをやらかすかわからないからね。トモキはね。あいつのせいでよくトラブルにあうからさ。

(澤部佑)それ、こっちはいないと思っていたからさ。「そんなわけないじゃん!」って突っ込んじゃうけど。いるの?

(岩井勇気)えっ? ああ、そうか。いるからね。巻き込まれちゃうよ。トモキに、いつも(笑)。

(澤部佑)じゃあ、話が変わってくるけど(笑)。俺は会ったことがないからな。

(岩井勇気)あとはだから、心配性のマサキと、冷静なイブキ。

(澤部佑)フハハハハッ! イブキは冷静そうだね!

(岩井勇気)うん。イブキは冷静だから。

(澤部佑)でも、トモキがさ、なんかちょっと荒れてやる時にイブキは止めないの?

(岩井勇気)イブキはでも止められないぐらい……トモキが出てきちゃうと本当に怖いよ。なにをしでかすかわからない。あいつが出てきちゃうと、取り返しのつかないことになっちゃうからさ。

(澤部佑)ええっ?

(岩井勇気)ちなみに、いまみなさんに向けてしゃべっている僕が、ナオキです。

(澤部佑)えええーっ!? 勇気は?(笑)。

(岩井勇気)ナオキですよ。

(澤部佑)ねえ!

(岩井勇気)勇気はなかなか出てこないよ。

(澤部佑)勇ましい気持ち、勇気は?(笑)。

(岩井勇気)勇気はなかなか出てこない。あいつはもう純粋で繊細な性格のやつだから。なかなか出てこないよ。

(澤部佑)ちょっとそうなると、お前、あれだよ。俺が普段漫才しているのは誰なの?

(岩井勇気)ナオキ、ナオキ。

(澤部佑)ええーっ!?(笑)。

(岩井勇気)ナオキは人前に出るのが得意だから。

(澤部佑)勇気だと思ってやっていたのに……。

(岩井勇気)勇気はなかなか出てこないよ。お前も会ったことないんじゃない?

(澤部佑)嘘だろ?(笑)。じゃあ、名前は「岩井ナオキ」にしてよ!

(岩井勇気)一応、勇気だから。元が勇気だからさ。

(澤部佑)「岩井勇気です」って言っていたじゃん!

(岩井勇気)元が勇気だから(笑)。

(澤部佑)「ハライチの岩井勇気です」って。さっき言っていたじゃん!

(岩井勇気)混乱を招かないように一応言っているけど。いま、僕はナオキですから。勇気……あ、でも勇気はいまも「出たくない」って言ってるわ。

(澤部佑)ああ、いま会話して……なんなんだよ、この話(笑)。

(岩井勇気)一応、7人いるからね。

(澤部佑)7人いるんだ(笑)。そうか。

(岩井勇気)そう。腕が取れて銃になるやつがヒサキ。

(澤部佑)フハハハハッ! いや、違う違う! もう……(『幽遊白書』の)仙水じゃん(笑)。

『幽遊白書』仙水



(岩井勇気)でさ、部屋で「うわーっ、1人でなんもできないな……」って思って。1人でなにもできないミズキがさ、出てきちゃっていたから。

(澤部佑)ああ、そうか。

(岩井勇気)で、Twitterで「地方の夜は1人で楽しめない」みたいなツイートを俺がしたのよ。そしたら平成ノブシコブシの徳井さんが返信をくれて。「そういう時はスナックに行くんだよ。地方のスナック、楽しいから」って。


(澤部佑)なるほどね。

(岩井勇気)でも、1人飲みもしたことがないのに、スナックはちょっとハードルが高い。なにを話していいか、わからないじゃん?

(澤部佑)そうね。

(岩井勇気)でも、徳井さんが言うからさ、一応外に出て、飲みに行くだけは行ってみるかということになって。その時点でもう、夜の12時なわけ。

(澤部佑)ええっ?

(岩井勇気)もうだいぶ、空白の時間があったから。

(澤部佑)空白の時間って、さらに時間がたってるじゃん!

(岩井勇気)だからそのツイートとかをしてダラダラしている時間よ。で、さ。大阪の淀川よ。なんもないのよ。で、調べたらもう12時ぐらいだとほとんど閉まっているわけ。それでも、12時すぎでやっている何軒かの中から、「ここだ!」って焼き鳥屋に行ってみようと思って。1人でさ、人生で2回目ぐらかな? 1人で飲みに行くって。で、ホテルを出て、雨だから傘をさして歩いていって。店に着いたら、ちょっと古びた感じのカウンターだけのさ、小さい8席ぐらいの。

(澤部佑)いわゆる、いい感じの焼き鳥屋。

(岩井勇気)で、店に入って。40代ぐらいの男性店員と、30すぎぐらいの女の店員がいて。客が俺以外に男の人が1人と、あとは70ぐらいのおばさんが1人いたんだけど。で、「いらっしゃい」って言われて。本当、ドキドキしながらカウンターに座ってさ。おしぼりとメニューが出てきて。「飲み物、なににしますか?」って言われたから、ビールの中にしようと思って言ったんだけど、びっくりするぐらい声が出ないのね(笑)。

(澤部佑)ビビっちゃっているからね。

(岩井勇気)(小声で)「ビ、ビールの、中で……」みたいな(笑)。「はい?」とか言われて(笑)。「かー……」って。もう出鼻をくじかれてさ。ビビっちゃって。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)で、とりあえずさ、メシを。ホヤ酢とあとは焼き鳥屋だから焼き鳥をたのもうと思って。やっぱり慣れた感を出したいから。

(澤部佑)結局、出ちゃうよね。そういう部分が。

(岩井勇気)一応、あるよね。「焼き鳥、適当に5本ぐらい」っつって。

(澤部佑)そういう普段から、大将にまかせる頼み方しています、みたいな。

(岩井勇気)で、言ってさ。その後に女の店員がビールとホヤ酢をドドンと出した時、首元のタトゥーが……トライバル柄のタトゥーが見えて(笑)。それでビビっちゃって。

(澤部佑)フハハハハッ! まあ、ちょっとビビっちゃうね。それはビビっちゃうわ。

(岩井勇気)トライバル柄のタトゥーがチラッと見えて、「うわっ!」ってなって。だからホヤ酢とビールが出てきたんだけど、ホヤ酢がさ、もうローソンでシールをためてもらったのか?っていうようなリラックマの器で出てきて(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! ああ、ホヤ酢は絶対それじゃないよね(笑)。

(岩井勇気)ホヤ酢が出てきてさ。リラックマもホヤ酢のせられると思ってないだろ?

(澤部佑)たしかにね(笑)。

(岩井勇気)ホヤをのせられるとは思ってねえだろうなと思って。

(澤部佑)渋いメニューを入れる器じゃないね(笑)。

(岩井勇気)出てきてさ。その後、焼き鳥が1本ずつ出てきて食べていたんだけど。白レバーみたいなやつと、モモのいいやつみたいなのと、牛ハラミみたいな。「いい串、出てくるな」と思ってさ、メニューを見てみたら「適当に5本で」って言ったんだけど、値段の上から順に5本、出てきて。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)「やってんな! うーわっ!」ってなって(笑)。

(澤部佑)まあまあ、おすすめなんじゃない? 本当に、やっぱり。

(岩井勇気)上からきれいに、順で5本出てきて(笑)。

(澤部佑)値段トップ5を(笑)。

(岩井勇気)「やられたわ!」ってなって。その後も自分で安い皮とかをたのんでさ(笑)。

(澤部佑)美味しいは美味しいの?

(岩井勇気)まあ、美味いんだけど。その後、食べながらビールの後に焼酎を飲んだりなんかしてみて。で、せっかくのカウンターでの1人飲みだということで、「みんな、店員とちょっと話したりするんだろ」って思って。ちょっとさ、やっぱりお酒が回ってきたのもあって、勇気を出して話しかけようと思って。「あの、淀川っていうのはどういう街なんですか?」って言ったら、男の店員が「何もない!」って(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)会話、終わりよ(笑)。「なーんもない!」って。

(澤部佑)ムズいなー。そうかー。

(岩井勇気)会話、終わり。「なんだよ……トモキ、出してやろうかな?」とか思って(笑)。

(澤部佑)トモキはダメよ! いちばん出しちゃダメなんだから。

(岩井勇気)出してやろうかなと思って。

(澤部佑)いや、ダメだって。

(岩井勇気)もう虚しくなっちゃってさ。「俺、なにやってんだ?」って思って。1人で飲みに来て。

(澤部佑)たしかにね。勇気を振り絞って(笑)。

(岩井勇気)で、お会計をしてもらってさ。やっぱりお会計もちょい高いのよ(笑)。

(澤部佑)へー!

(岩井勇気)で、店を出ようと思ったら、店員の男の人が「あ、お兄さん、食べてって」とか言って、小皿にたこ焼き2つ。

(澤部佑)えっ?

(岩井勇気)最後、なんか小皿にたこ焼き2つ出されてさ。「ああ、大阪だな」って思って。

(澤部佑)サービスで?

(岩井勇気)うん。最後。で、店を出たんだけど。だから、やっぱり1人で飲むの、向いてないんだなっていう風に思ったって、ミズキが言っていたよね。

(澤部佑)えっ、ミズキが言っていた?

(岩井勇気)ミズキが言っていた。

(澤部佑)ミズキが行っていたの?

(岩井勇気)ミズキがその店に行っていたから。

(澤部佑)ええっ? なに、これ?

(岩井勇気)だって。

(澤部佑)で、いまそれを言っているのは?

(岩井勇気)ナオキ。

(澤部佑)ええーっ? もう途中のさ、「勇気を出して」とかもややこしいんだよ!

(岩井勇気)勇気は出てこないから。ほとんど。出てこない。

(澤部佑)それは気持ちの方の勇気だったんでしょう? ややこしいんだよ!

(岩井勇気)ああーっ、そうなっちゃった?

(澤部佑)フハハハハッ!

(中略)

『ハライチのターン』ラジオクラウド

本放送終了後のラジオクラウドの中でも、7人の岩井さんの人格について話していました。

(澤部佑)いやー、今日はびっくりしましたよ。

(岩井勇気)どうしました?

(澤部佑)いま、勇気なんですか? 「ハライチの岩井勇気です」って言ってたけど……。

(岩井勇気)だから違う、違う。「勇気です」って混乱を招かないように言ってますけども、ナオキです。

(澤部佑)ええっ? 基本はもう、ナオキなの?

(岩井勇気)基本、メディアとかはだいたいナオキです。

(澤部佑)ナオキね。ネタを書いているのは?

(岩井勇気)ネタを書いているのは、シブキ。

(澤部佑)えっ? いなかったでしょう? シブキ。さっき、いなかったよ。

(岩井勇気)いや、7人いますから。

(澤部佑)7人以上、出てない? なんか、結構出ていたけど。

(岩井勇気)シブキですよ。

(澤部佑)シブキ?

7つの人格

(岩井勇気)はい。だからいま、私がナオキ。で、心配性のマサキ。冷静なイブキ。ネタを書くシブキでしょう。で、あとは1人で何もできないミズキ。で、勇気でしょう。で、腕を取って銃になるヒサキ。

(澤部佑)で、トモキ。

(岩井勇気)トモキ。で、7ですよね。

(澤部佑)ああ、ちょうど7だ。ああー。腕を取って銃になるヒサキって(笑)。もうだいぶ……でも、荒っぽいのはトモキなの?

(岩井勇気)荒っぽいのはトモキですよ。

(澤部佑)腕を取って銃になるヒサキは、荒っぽくはないの?

(岩井勇気)腕を取って銃になるヒサキは、それを自慢してくるんです(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! 「オラーッ!」って撃ちまくったりはしないんだ?

(岩井勇気)撃たない、撃たない。あぶないじゃん。

(澤部佑)「いいでしょう、これ。腕、銃になるんだよ」って? おだやなか子供みたいなやつだ。ヒサキは。

(岩井勇気)そうだね。

(澤部佑)ふーん。ミズキ……なんなんだよ、これ?

(岩井勇気)勇気はもう本当に純粋なやつだからね。

(澤部佑)純粋なやつなんだね。だから、よくでもあんまり岩井がAVを見ないとか、性欲があんまりないんじゃないのか?って。あれは勇気なのか? やっぱり、じゃあ。

(岩井勇気)あれは……いや、だから言っているのがメディアに出ているじゃないですか。それはナオキですね。勇気はほとんど出てこないですから。勇気は純粋。勇気は「木も動物も花も、みんな俺は好きなんだ」って言っている。

(澤部佑)フハハハハッ! ああ、なるほどね。

(岩井勇気)(穏やかな声で)「はじめまして、勇気です」って名乗ったら、勇気。

(澤部佑)ああ、その言い方?

(岩井勇気)冷静な感じだよ。

(澤部佑)じゃあ、このラジオで「ハライチの岩井勇気です」っていうのを勇気が言うと、どういう感じなの?

(岩井勇気)(落ち着いた声で)「ハライチの、岩井勇気です」。

(澤部佑)ああ、全然違うじゃん。

(岩井勇気)そうだよ。ナオキの方がいいでしょう?

(澤部佑)ナオキは? ナオキ、どんな感じだっけ?

(岩井勇気)(いつもの調子で)「ハライチの岩井勇気です!」って。

(澤部佑)フフフ(笑)。再来週にスペシャルウィーク、ありますけども。勇気は、来ない?

(岩井勇気)生放送なんかもうダメよ。勇気なんて。

(澤部佑)なんで?

(岩井勇気)生放送なんて……。

(澤部佑)あんまり上手くしゃべれない? そりゃあ、そうか。面白そうだから、ヒサキを呼んでもらえない? 腕銃の。

(岩井勇気)腕銃のヒサキ?(笑)。

(澤部佑)腕銃のヒサキが来たら、面白いですよね?

(岩井勇気)いや、ラジオで伝わるかな?

(澤部佑)でも、そりゃあ別に……まあ、見えないけど。

(岩井勇気)いや、もしかしたらトモキ、呼んじゃうかもしれない。

(澤部佑)トモキはやめてよ!

(岩井勇気)(激しい声で)「ハァライチのぉーっ、岩井勇気でぇーすっ!」。

(澤部佑)フハハハハッ! 面白え! 結局面白えじゃん(笑)。こうなると、そうだな。こうなると、ナオキがいちばんつまんねえんじゃねえか?ってことになっちゃうよ(笑)。

(岩井勇気)ナオキは……いや、結局ナオキよ。

(澤部佑)「結局ナオキ」じゃなくて。

(岩井勇気)長い目で見たら、ナオキだから。

(澤部佑)ああ、長い目で見たらね。

(岩井勇気)一瞬のきらめきだから。

(澤部佑)腕を取って銃のヒサキとか、荒めのトモキだったら一発屋になっていたか。そうか。

(岩井勇気)そうよ。長い目で見たらナオキだって、7人の話し合いでなったわけ。

(澤部佑)「ハァライチのぉーっ!」って言うんでしょう? トモキが来たら。

(岩井勇気)そう。

(澤部佑)面白そうだなー。

(岩井勇気)(激しい声で)「調子乗ってんじゃねえぞ!」。

(澤部佑)フハハハハッ! ああ、面白そうだけどねー。まあちょっと、そうっすね。

(岩井勇気)大変ですよ。

(澤部佑)大変ですね。7人もいるとね(笑)。

<書き起こしおわり>

安住紳一郎 天草ちゃんぽんの旅を語る

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安住紳一郎さんが2008年6月にTBSラジオ『日曜天国』の中で話したトークの書き起こし。以前、番組で「ちゃんぽんはなぜ群れるのか?」という話をし、ちゃんぽんへの愛を語っていた安住さんが、日本三大ちゃんぽんのひとつ、天草ちゃんぽんを求めて天草諸島を旅した際の模様を話していました。

(安住紳一郎)最近、私はですね、実はこの間休暇を取りましてですね。

(中澤有美子)ああ、そうでしたか。

(安住紳一郎)ええ。ちょっと勤め先に無理を言いまして。休日をいただき、熊本県の天草諸島にちょっと行ってきたんですけれども。なぜ休暇を取ってまで、天草諸島に行かねばならないのか? 「『日天』少し長いこと聞いてますよ」という方がいましたら、もしかすると想像してくださっているかもしれませんが……中澤さんはお分かりになりますか?

(中澤有美子)ええと、ちゃんぽんかな?

(安住紳一郎)うん?

(中澤有美子)ちゃんぽんを食べに行った?

(安住紳一郎)「天草ちゃんぽんを食べに行った」……正解です!

(中澤有美子)あ、すいません。正解しちゃった(笑)。

(安住紳一郎)いえいえ。天草ちゃんぽんというものがありまして。これは今年の3月にたしかちゃんぽんの話をずっとさせていただ時に、出てきたと思うんですけれども。何故にその天草ちゃんぽんにそこまで情熱をかけるかは、ちょっと時間がないので今日は放送内容を端折らせていただきますが。まあ、3月16日の大体10時13分頃の放送聞き直してみてください。

ちゃんぽんはなぜ群れるのか?

安住紳一郎が語る ちゃんぽんの町・飛び地の謎
安住紳一郎さんが2008年3月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。ちゃんぽんが気になる安住さんが、ちゃんぽん店がたくさんある町が飛び地化する謎について...

(中澤有美子)フフフ(笑)。はい、そうですね(笑)。

(安住紳一郎)ちょっとね、最近あまり番組の冒頭、時間がないので詳しく丁寧に説明できないのが名残惜しいのですが、とにかく天草ちゃんぽんというものが私の人生にとって大変に大事だということだけはお伝えしたいと思います。

(中澤有美子)ちゃんぽん研究をね、すごくなさってらして。

(安住紳一郎)あ、あんまりそんな簡単に語らないで。

(中澤有美子)あ、ごめんなさい(笑)。

(安住紳一郎)いろいろと歴史的な事実とか、そういうものを踏まえて天草ちゃんぽんがいかに私にとって大事なのかということを、あんまり軽々しくは言ってほしくない。

(中澤有美子)あ、すいません。一言で言っちゃいけないんだ。聞いてください、みなさま(笑)。

(安住紳一郎)わざわざ特別に休暇を取ってまで食べに行くという。

(中澤有美子)アハハハハッ! すっごい情熱です!

(安住紳一郎)会社に出した特別休暇申請書。取得理由「ちゃんぽんの為」と書いて私は休暇を取りました。「ちゃんぽんの為に休暇が必要なんだ」ということなんですが。天草諸島は熊本県にあるんですけども。そこの離島と言うか、いまは陸続きになってるんですが。人口が10万人に届かないぐらい。9万人ぐらいの小さな天草市なんですけれども、ちゃんぽん好きなら長崎を抑えた後は天草を抑えたいというのは定石なんですけれども。人口わずか9万人のところに、この人口でなんと120店舗のちゃんぽん屋があるんですよね。
(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)この事実、驚きませんか?

(中澤有美子)すごいことですよね。おおっ!

(安住紳一郎)感覚的に言うと、狛江市はたぶん人口7、8万人ですから。東京都狛江市に120店ものちゃんぽん屋がひしめいてると考えたら、すごいことですよね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)本当にまあ、失礼な話人口10万人ぐらいの街にちゃんぽん屋がひしめいているということなんですが。どうしても天草ちゃんぽんを……「日本三大ちゃんぽん」と呼ばれているんですけれども。長崎ちゃんぽん、小浜ちゃんぽん、天草ちゃんぽんなんですが。これをどうしても食べたいと思いまして、休暇を取ってちょっと行ってきたんですけども。もう、この日のために前の日のお昼ご飯と夜ご飯を抜いて、行ってるんですよ。

(中澤有美子)アハハハハッ!

(安住紳一郎)昔の広島東洋カープの古葉監督もね、「徹底してやらなければ意味がない」という風におっしゃってましたが。私も徹底してですね、前の日のお昼ご飯と夜ご飯を抜いて、天草ちゃんぽん食べに行くという。で、1日しか休暇はありませんから。朝、始発の飛行機に8時ぐらいに乗りますと、向こうに13時(午後1時)ぐらいに着くんですよね。なので、遅めの昼。それから夕食の前。それから夕食。この3食を食べて、天草ちゃんぽんを制してこようと思いましてですね、準備をして行ったわけなんですが。

(中澤有美子)そうなんですね!

(安住紳一郎)もう機内サービス、一切口にせず!

(中澤有美子)アハハハハッ! お断り!

(安住紳一郎)お断り! 「いらない、いらない!」。

(中澤有美子)じゃあ、水分だけで我慢して?

(安住紳一郎)水分も摂っていない!

(中澤有美子)アハハハハッ! 暑いのに……(笑)。

(安住紳一郎)チキンスープも飲まなかった。いつもは3杯も飲むのに。コンソメスープも飲まなかった。普段、フライトアテンダンツがどれだけ美人なのか、はたまたそれほど美人でないのかを確認しないと、おちおち眠ってもいられない私ですが。

(中澤有美子)フハハハハッ!

(安住紳一郎)そんなこともお構いなし。もう事前にインターネットで調べた天草諸島120店舗のちゃんぽん店一覧表を眺ながら、心を馳せてるわけであります。熊本エアポートに着き、そこから陸路に車で3時間ぐらい。熊本市を通理、宇土半島を抜け、そして1車線の細い橋を5つぐらい渡りますと天草諸島にたどり着くわけですが。もう刻一刻を争う!

(中澤有美子)へー! それは、レンタカー?

(安住紳一郎)ヴィッツですね! わナンバーのヴィッツ! ギシギシいわせて行きました!

(中澤有美子)アハハハハッ! ギシギシ(笑)。

刻一刻を争う

(安住紳一郎)ギシギシいわせて行きました。法定速度ギリギリでございます。信号が長いと見るや、角にあるコンビニエンスストアの駐車場に入り、そして反対側の駐車場の出口から抜け、青信号を行くという……。

(中澤有美子)アハハハハッ!

(安住紳一郎)あまりマナー的にはおすすめできない行き方ですけども。

(中澤有美子)しかも大して稼げるとも思えません(笑)。

(安住紳一郎)大して稼げるとも思えないんですが。途中に通る熊本市の熊本城……私、お城マニアでもありますから。いちばん好きな熊本城を右手に見ながら、それでも「加藤清正、ごめんね!」と言いながら。「今日は、見られないの」って。天草四郎博物館もすり抜けまして、天草四郎に行ってまいりましたよ。本当にちゃんぽんが好きなので、全然苦ではないんですけども。でも、平日の昼間ということもありまして、車が少し渋滞していた。また、慣れない道を行っていたということもありまして、予想以上に時間がかかりまして。午後8時に熊本空港から東京行きの飛行機が出るんですが、どうもその時間と競争になってしまうので、最初は「3店舗ぐらい食べられたらいいな」と思って出発したんですけども、どうも天草諸島に入るうちに、これはちょっと3店舗食べるのは無理だなという風に思いまして。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)これはきちんと行きたいところ1店舗に行った方がいいんじゃないかなという結論に、ちょうど三角駅のあたりで達しまして。

(中澤有美子)三角駅?

(安住紳一郎)そういったところが途中にあるんですけども。そういう結論に達しまして。天草ちゃんぽんを目指すちゃんぽん好きにとっては特別な存在と言われる、天草諸島の苓北町というところにあります
明月(めいげつ)というちゃんぽん屋さんがあるんですが。ここ一軒だけにしようという風に考えましてですね。またその明月がある苓北町が天草諸島でも一番にありまして。渋滞くぐり抜けた中でも、さらにそこから……「本土」という天草諸島の中心地があるんですけど、本土からさらに1時間かかってしまうという。ちょっと離れたところにありまして。鶏ガラスープ、醤油味。自家製麺。もう端の端ですね。いちばん端。地図で言うと熊本県の左に天草諸島があって、その天草諸島の一番左端。大袈裟に言うと一番上海寄り!

(中澤有美子)そうですね(笑)。そういうことですね(笑)。

(安住紳一郎)いちばん上海寄りにある明月という……。

(中澤有美子)島々を橋を渡って奥の方に行くということですか?

(安住紳一郎)そうそう。橋を渡って、島々を行くんですけども。昔はね、渡船(渡し船)だったみたいですけど、いまは橋が出来ているんでこう、行くんですよ。西へ西へね。天竺を目指す西遊記一行のようにですよ、もうとにかく西だと。

(中澤有美子)アハハハハッ! はい(笑)。脇目もふらずに。

(安住紳一郎)ねえ。「中国から伝わってきたちゃんぽんを目指すのに、西に行くのは間違いない!」ということで、その明月に向かって行くわけですよ。道がどんどん細くなっていって、本当にあるのかな?っていう感じなんですけども。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)本当にいちばん天草諸島の端なんで、本当に人通りとかほとんどない。コンビニエンスストアもないような所に忽然と明月はあるんですよ。カーナビにちょっとなんとなく住所を打ち込んだんですけども、「目的地周辺です」って言ってから10分ぐらい探してもなかなか見つからない、みたいな!

(中澤有美子)アハハハハッ!

120年の歴史を持つ名店・明月

(安住紳一郎)広いなっていうか、ものがないな!っていう感じのところなんですけども。120年近い伝統があると言われてる明月なんですけども。ご当地ラーメンブームの比じゃないですよね。ちゃんぽんで120年の歴史があるんですよ。

(中澤有美子)そうですか!

(安住紳一郎)そんな町外れに。なんとか、そこにたどり着きまして。もう午後3時30分を回ってるですよ。もう私はその前の昼・夜。そして朝。で、昼を抜いてますから。目が血走っちゃって。

(中澤有美子)アハハハハッ!

(安住紳一郎)この高揚感はちゃんぽんに対する興奮なのか、お腹が空いてる興奮なのかよくわかんなくなっちゃって。もうわナンバーのヴィッツもギシギシいっているわけですよ!

(中澤有美子)アハハハハッ!

(安住紳一郎)で、なんとか、苓北町……本当に行き止まり。目の前には海が広がっているわけですよ。その向こうは中国大陸ですよ。かなり距離はありますけどもね。で、探しに探したら、あったんですよ。看板もない、本当に軒が低い、間口が横に長い、ガラスの入った引き戸が3、4枚横に連なってるような、木造作りで。なんとなく昔ながらの呉服屋さんみたいな風情のちゃんぽん屋さん。もう本当、ちゃんぽん屋とは思えない感じなんですけども。

(中澤有美子)看板もないんだ。


(安住紳一郎)看板、ないんですよ。それで、午後5時までやってるっていう風にインターネットでは事前に調べておきましたので。「よし! 間に合った。これでようやく天草ちゃんぽんを食べられるな!」と思ってんですね、勢いいさんでその間口に近づいたら、私の後ろの細い路地を自転車が通りましてですね。私の背後を左から右に通ったんですけれどもですね。「チリンチリン!」なんて鳴らして50、60ぐらいの威勢のいい、たぶん漁業関係者のおじさんだと思うんですけどね。一言私にメッセージを残すわけですよ。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)「今日は終わったよー!」(笑)。

(中澤有美子)嘘!?

(安住紳一郎)逃げる自転車を慌てて止めましてですね。「定休日も違うし、午後5時までやってるって聞いてるんですけど、なんでやたいんですか?」と。そしたらそのおじさんは言いました。「やってる時はやってるんだけど、やってない時はやってないんだよね」(笑)。

(中澤有美子)フフフ(笑)。まあ!

(安住紳一郎)なんとも理屈が通ったような通らないような、そんな一言を残しておじさんは去っていくわけです。まあ非常にのどかな街なので、お客さんがいないと思ったら店を早めに閉めるということらしいんですけれどもね。飛行機で2時間。それから車で5時間ですね。熊本城の誘惑、天草四郎博物館の誘惑をものともせず、ヴィッツを西に西に走らせた私なんですけども、そこで待っていたのは不運な出会いだったということなんですね。

(中澤有美子)ちょっと事実を受け入れるまでに時間がかかりそうですよね。

(安住紳一郎)そうですよね。私はちょっと、海の埠頭に立ちまして、マイルドセブンをくゆらせましたよ。「……食べたかったな」なんて言いながらね(笑)。

(中澤有美子)アハハハハッ! 泣けてくる……。

(安住紳一郎)そんな落ち込む私に、胃袋はささやくわけです。「どこでもいいよ」って(笑)。

(中澤有美子)アハハハハッ! フハハハハッ!

「どこでもいいよ」(胃袋)

(安住紳一郎)本っ当にお腹がすいていたんで、どこでもよかったんですけども。すると後ろに「食事処」というところがありまして。まあ確かに便利な感じのよろずメニューが揃ってる感じの定食屋さん、食事処ですね。カツ丼あり、オムライスあり、ラーメンありの、まあそういうような食堂なんですけども。そこの食堂に入ってみます。するとね、やっぱり天草諸島はすごいですね。まったく「ちゃんぽん」とかいう看板を掲げてなくても、食堂に入ると普通に「ちゃんぽん」がメニューの中にあるという。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)たしかにちょっとね、期待感が薄れているところではありますけども、せっかく来たんだからということで、そちらの食事処でもちゃんぽんを頼むわけなんですけども。でも結構ね、しっかりしたちゃんぽんが。そんな期待もしていなかったというギャップもありですね、なかなかいい、質量とものちゃんぽんが550円で出てまいりました。

(中澤有美子)ああ、そうですか。

(安住紳一郎)ええ。いやー、やっぱり天草諸島はすごいなと思いましたね。軽く○ンガーハットは超えてましたよ!

(中澤有美子)「○ンガーハット」(笑)。

(安住紳一郎)○ンガーハット並は出ていましたよ。ええ。いや、やっぱりすごいなと思いましたね。まあ決してきれいなというほどではないんですが、まあ清潔感あふれる小ぎれいな感じの食事処なんですが。ちょうど私の右斜め前の方、テーブル席の方に老夫婦が座っておりまして。70、80ぐらいになろうかという老夫婦なんですが。その2人もちゃんぽんを仲良く食べておりまして。地元の方なんですけどね。それで私にも先に、その老夫婦が入っていたので。そのご夫婦の方が早めにちゃんぽんが出てきたんですけども、その老夫婦はですね、食べる前に私に、「じゃあ、お兄ちゃん。お先に」って言って食べるとという。非常にのどかな感じで。「うん、うん」と思って。私が探していた天草諸島というのはこういう雰囲気なんだ!って思いながら、心があたたまるような感じでしたけど。
(中澤有美子)そうですねー!

(安住紳一郎)で、結構老夫婦なんですけど、なかなか食べるスピードは早くて。私が食べてる途中に、お帰りになるんですけども。お会計をせずに出ていってしまうというですね。そういう、結局何ですか? 地元に溶け込んでいるのでツケがきくちゃんぽん屋みたいな。なんかこう、こういうのどかな土地で育まれたんだなと思い。

(中澤有美子)ちゃんぽんは。

(安住紳一郎)天草ちゃんぽんに対する恋心を新たにした34才、係長なのでした。

(中澤有美子)フハハハハッ! そうでしたかー! ねえ。渇ききった胃に染み渡ったことでしょうね。

(安住紳一郎)染み渡りましたね。まあ、天草ちゃんぽんがなぜそんなに私の心を熱くさせるのか? というのはぜひ、以前の放送を聞いていただきたいんですけども。ポッドキャストをお持ちの方は(2008年)3月16日ですね。繰り返しになりますが。10時13分ぐらいから30分ぐらいにかけて、天草ちゃんぽんとはいかなるものか? というのを延々と語っておりますので、ここを聞いていただきたいという風に思います。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)ここで簡単に繰り返すことはできるんですけども、ちょっとあまりにも軽々しくは口にしたくない!

(中澤有美子)アハハハハッ! そうですね(笑)。愛が深すぎて。はい。

安住紳一郎が語る ちゃんぽんの町・飛び地の謎
安住紳一郎さんが2008年3月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。ちゃんぽんが気になる安住さんが、ちゃんぽん店がたくさんある町が飛び地化する謎について...

(安住紳一郎)フフフ(笑)。ねえ。なかなか上手くいかないなということもありますけども。

(中澤有美子)じゃあ本当にその一食だけでお帰りに? またギシギシと運転なさって?

(安住紳一郎)はい。

(中澤有美子)帰ってきた係長。

(安住紳一郎)帰ってきました。帰り、真っ暗でしたね。コガネムシがバチバチバチバチ、フロントガラスに当ってましたけども。

(中澤有美子)ぶつかりましたか(笑)。

<書き起こしおわり>

荻上チキ 女性専用車両と痴漢冤罪問題を語る

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荻上チキさんがTBSラジオ『Session-22』の中で女性専用車両に抗議する男性グループが車両に乗り込んだトラブルのニュースについてトーク。女性専用車両と痴漢冤罪問題などについて話していました。



(荻上チキ)さて、私たちいつも赤坂のスタジオで番組をやってるわけですけれども。南部さんは来る時は、どういう公共交通機関を使ってくるのか?

(南部広美)地下鉄です!

(荻上チキ)同じくです。赤坂まで?

(南部広美)千代田線 赤坂駅です。

(荻上チキ)そうですね。私もそうですよ。

(南部広美)お世話になっております。

(荻上チキ)ありがたいですね。あとは、たまに丸ノ内線で、赤坂見附から歩いてきたりもしますね。

(南部広美)うんうん。ああ、そのアクセス方法もね。

(荻上チキ)丸の内の赤坂見附からですと、だいたいこのスタジオまでは5分から7分くらいかな? TBSへ向かって歩いてくることはできるので。

(南部広美)おおーっ、私は10分見ますね。

(荻上チキ)10分ですか。そうか。僕の中では、曲が2曲分ぐらいですから。ヘッドホンで曲を聞きながら来ると。だいたい足の速さというか、スピード感によるのかもしれません。

(南部広美)急ぐと、それぐらいで来れるかな? でも10分かかるな。やっぱり。

(荻上チキ)なるほど。そんな私たちがお世話になってる千代田線なんですけれども、今日ちょっとしたトラブルが朝、あったみたいですね。

(南部広美)トラブル?

(荻上チキ)今日の朝、10分ちょっと電車が遅れたんですよ。で、「電車遅れる」っていうこと自体はそんなにトラブルの内にはもう含まれないんじゃないか? という気もするわけですけれども。遅れた理由というのが、女性専用車両に男性数人があえて乗車をしてトラブルになったっていうことのようなんですね。その詳細についてはいま、東京メトロの方は「詳細はこれから」っていうことらしいんですけれども。でも、この女性専用車両をめぐって、いろいろな意見の対立というものが、特にインターネット上なども含めて、起きてるんですよ。

(南部広美)ありますね。

(荻上チキ)女性専用車両というのは、歴史的に考えるとなぜできたのか? それはひとえに「痴漢対策」ということですよね。女性がどんどんどんどん社会進出していくような中で、電車を使う機会も増えくる。一方で、電車の混雑率はなかなか解決せず、またそのう痴漢というものも、「痴漢は犯罪だ」という啓発とかはいろいろとやってるんだけれども、後を絶たないような状況というのもある。痴漢というものはとても厄介なことに、常習性があって反復性があって。それからターゲットになると、たとえば同じ通学時間、同じ通勤時間に同じ人にターゲットにされてしまうという恐怖感があるわけですよ。と、なると、その時間に電車に乗れないであるとか、あるいはもう心配で電車に乗れなくなるであるとか、いろいろな影響というものが被害者に出てくるわけですね。

(南部広美)うん。

(荻上チキ)だから本来であれば、痴漢そのものというものをしっかりと、撲滅するために痴漢がしにくい環境を整えるつつ、しっかりと啓示的な動きというものを進めていくということも必要になる。けれども、ひとつの苦肉の策として、女性専用車両というのができているわけね。

(南部広美)はい。

女性専用車両はひとつの苦肉の策

(荻上チキ)ただ、混雑率が下がれば痴漢がいなくなるか? というと、そうでもないわけですよ。実際に女性の痴漢被害の話をいろいろと聞いたり、データで見たりしても、たとえばそれなに空いてる席で、誰にも助けてもらわなかったとか。あるいは電車の中でボックス席みたいな席の向かいの人が、自分の下腹部を露出していたであるとか、そうした話っていうのは結構多くあったりするわけですね。だから、「満員電車さえになくなれば、痴漢はなくなる」っていう理論は、別にそこまで妥当性が高いわけではない。いまよりも緩和される面はあるかもしれない。その混雑率を隠れ蓑にして行われてる痴漢についてはね。だから、それはそれで解消しなきゃいけないし、そもそもストレスフルだから。満員電車というものは是正した方がいいんですよ。

(南部広美)はい。ギュウギュウの状態というのは。

(荻上チキ)はい。でも、そうしたその問題を解決するっていうこととはまた別に、痴漢の話っていうのはあって。で、この痴漢の問題というのは男性……だけではないんですけれども、多くの人にとって、まあ女性よりは男性の方に多い恐怖としては、「痴漢をしていないのに間違われるんじゃないか?」というような、そうした議題として共有されてるんですね。

(南部広美)痴漢冤罪ね。はい。

(荻上チキ)はい。ここで利害が不一致が……表面的には生じてしまうわけですよ。不一致が。つまり女性の方は「痴漢に会いたくない」。だから痴漢被害から距離を取りたいという風に思っている。男性は「痴漢だと思われたくない」。だから冤罪というのが起きたら困る。そういった時に警察の仕事の仕方によっては、(警察が)より働くっていうことがむしろ痴漢冤罪を増やしてしまうことになりかねなかったりもするし。同時に、女性の専用車両っていうことを設けることが、むしろ「男性を潜在的な犯罪者だと見ているじゃないか!」みたいな。そうしたような言い分というものを、女性専用車両反対論者には与えているわけですね。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)もちろんこれは、「潜在的な犯罪者だ」として全てを見ているものではなくて、自分の被害リスクというものを減らすという過渡的なと言うか、刹那的な対策なわけですね。でも、そういった痴漢問題……冤罪反対、女性専用車両反対という意見っていうものはネット上で結構、一定の支持があって。それが、あの女性専用車両の利用女性にバッシングが向くっていうこともしばしばあるわけですよ。で、そのバッシングっていうのがどう向き方をするかと言うと、たとえば「女性専用車両の方が空いてるじゃないか。不公平だ!」というような格好だったり。あるいは、「女性専用車両に、とても痴漢にあうようなように思えない人が載るってるじゃないか」とかね。

(南部広美)ええっ?

(荻上チキ)「ええっ?」ですよ。「誰、それ? 痴漢にあわない人っているんですか?」って。

(南部広美)えっ……それは、「見た目で」とか、そういうことで言っているんですか?
(荻上チキ)ネット上でよくまとまっているものだと、「女性専用車両について賛成ですか? 反対ですか?」みたいな質問した、その映像のキャプチャーが紹介されていて。「あると、とても安心!」みたいなことを答えている人たちの写真と、「私はどちらでもいいです」っていう風に言っている女性の写真が並べられていて。(「どちらでもいい」と言っている)その女性がとてもかわいいということで、ネット上で話題になって。その前に引き合いに出されている女性というものが、「お前、自意識過剰だろう?」みたいな反応を引き起こすようなレイアウトで編集されてる。四コマ漫画のオチみたいな格好で使われていたりね。

(南部広美)うーん……。

(荻上チキ)たとえば「40代女性が女性専用車に乗っていて……」とか。でも、40代50代だろうが、痴漢にはあうわけですよ。これ、あってみないと全然想像できないのかもしれないですけど、データでもその通り出ているんですね。あったことがない人の方が少ないわけですよ。でも、そういった怒りっていうものが、実際のそういった女性専用車両を導入している企業ではなくて、乗っている女性の方への抗議に向かっていく。具体的な問題解決……たとえば「男性専用車両を作れ!」っていう風に言っていたりしていて。「別にそれは作りりたければ作ればいいんじゃないかな」と僕は思ったりしますけど。特に賛成はしません。それが根本的解決には繋がらないから。

(南部広美)うん。

(荻上チキ)なぜならば、冤罪にあった時に「じゃあなぜ、あなたは男性専用車両に乗ってなかったんですか?」という風により言われようになるから、痴漢冤罪対策という観点からすると男性専用車両というのは根本的な解決策にならないどころか、むしろ大雑把な捜査をする警察にひとつの言い訳を与えることになるので、僕はそのロジックからの導入には同意ができないですね。こういう女性専用車両に反対をするっていうロジックに対して、やっぱり気になる点が大きく二つある。ひとつは、それだけ冤罪の問題を気にするのであれば、他のあらゆる冤罪にも興味を持ってほしい。この痴漢の問題ばかり、女性専用車両の問題ばかり取り上げるというものが、自分が痴漢冤罪で加害者だという風に祭りたて上げられる可能性よりも、他の案件によって冤罪になる可能性とか、あるいは身近な人が冤罪になる可能性がより高かったりするわけですね。

(南部広美)うんうん。

(荻上チキ)そうしたことも含めて、ちゃんとフラットに司法の問題を見てほしい。でも、こうした論点ばっかりがピックアップリストされるのはなぜなのか? それはひとつには、女性差別の問題が、実は内面化されてるんじゃないかと思うんです。つまりミソジニー(女性嫌悪)というものですかね。なぜ、その時にその個別の女性の車両に堂々と乗り込んで、そこで抗議ををする。わざわざ写真を撮ってそれアップするっていうことを誇示するのか? これはどんな違和感がが僕にはあるのか? かつて、たとえば障害者の方々がバスとか公共交通機関に乗れないっていうようなことがあった時に、車椅子の当事者の方が、それでも乗っていく。「自分たちはここにいるんだ!」っていうことをアピールしていく。そうしたような運動というのが行われました。それと今回の運動の違いなんだろうか? それは、そうした車椅子の活動というものは、ある意味そのマイノリティーの側が自分たちが存在を見えるようにする。そのことによって、運営者側に改善を要求するというものだったわけですね。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)しかしながら、今回ものものというのは、性暴力の被害を恐れている女性たちのいるところに、バッと急に、様々なメッセージ性が強いような……「自分ちはここに乗る権利があるんだ!」というようなコンフリクトを生むことによって、そこにまた別の恐怖を生むということになるわけですね。しかも、そこの女性たちが決めた制度でもなんでもないわけですよ。で、もし訴える方法があるんだったら、やっぱりより権力の側。たとえばJRや地下鉄のメトロでもいいですよ。あるいは小池百合子さんの前でもいいじゃないですか。地下鉄なども含めた、ねえ。「満員電車ゼロ」って、(選挙の公約で)言ってるでしょ?

小池百合子都知事公約「満員電車ゼロ」

――阿部さんといえば、総2階建て車両のアイデアで有名です。私のオリジナルではなく、東京大学の須田義大教授のアイデアです。東海道線などのグリーン車の2階建て車両は、両端が1階建てで車内の階段部分はデッド…

(南部広美)ああ、公約で。

(荻上チキ)そういった、「満員電車を撲滅する、絶滅させる」というようなことを小池さんが言っていて。一方で、僕は「冤罪をゼロにしたい」という風に思っていたりするわけだから、じゃあ同時に「冤罪ゼロ」って。。「満員電車ゼロ」みたいな、それぞれがそういったことを掲げればいいじゃないですか。そして「性暴力ゼロ」というものも掲げれば……これ、男性でも痴漢被害にあうわけですよ。僕だって電車の中であったことありますよ。そういうような様々な性被害というものをトータルでなくしていきましょう。だから、男性車両・女性車両とか、男女の問題なくて、これは加害と被害と、あるいは冤罪。冤罪というのも、これは加害です。国家や権力によって、誤った罰を与えられてしまうという加害なので。そうした加害をいかになくすことができるのか? という共通のプラットフォームに立てるはずなんですよ。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)ただ、「女性が優遇されている! その女性たちは自意識過剰だ! あんなところに乗るなんておかしい! あの見た目で? あの年齢で?」って……そういったような言論を放置していながら、そういうメッセージっていうものに正当性を持つかのようなアピールをするというのは、いろいろな矛盾を感じるんですね。女性専用車両のあり方に違和感を表明するということ自体は、ひとつ適切な問題意識だと思うが、議題設定のより細かなあり方や異議申し立ての仕方というものには、共感はできない。もっといろんな他の仕方があるだろう。少なくとも、被害を恐れている人たちの目の前に、別の暴力性を導入することが答えだとは思えない。だから様々な社会運動の歴史なんか学んだ上で、本気でそういったことをしたいのであれば、もっとゼロにすべき点は多々あると思いますけどね。

<書き起こしおわり>

熟女芸人・ナイツ塙 熟女の魅力を語る

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ナイツの塙さんがTBSラジオ『ナイツのちゃきちゃき大放送』の中で出演した『アメトーーク!』の熟女芸人についてトーク。熟女の魅力について熱く語っていました。


(塙宣之)そんな話はどうだっていいんですよ。みなさん、『熟女芸人』、見ました?

(土屋伸之)そっちがメインだったんだ、『熟女芸人』。『アメトーーク!』の『熟女芸人』ね。

(塙宣之)熟女オリンピックがあればね、私も見ますけども。『熟女芸人』が4年ぶりぐらいに『アメトーーク!』で放送されて。『アメトーーク!』っていう番組はものすごく視聴率もいいですし、反響がありますから。やっぱり気のせいか、熟女芸人を放送した次の日の寄席は熟女が多いんですよ。

(出水麻衣)アハハハハッ!

(土屋伸之)どういうこと?(笑)。「私も塙さんに見てもらいたい」っていうこと?

(塙宣之)っていうのをちょっと感じましたね。

(出水麻衣)ちょっときらびやかな格好でいらっしゃったりするんですか?(笑)。

(土屋伸之)熟女狩りがあるとでも思っているんですかね?

(塙宣之)はい。やっぱり自信が表れていますよね。

(土屋伸之)ああ、熟女の人たちが自信を持つんだ。『熟女芸人』の後は。

(塙宣之)そりゃそうですよ。「私なんか……」っていうよりは、これからはどんどん熟女の時代になっていきますしね。

(土屋伸之)希望を与えている。

(出水麻衣)拝見していましたら、いままでは60代ぐらいまでみなさんが「素敵だな」って思っていたのが、どんどん、女性に対する年齢も上がってきたという。

(塙宣之)それはそうですよ。はじめの時は(出演芸人の年齢が)28才ぐらいでしたけど、いまはもう39ぐらいですから。どんどん熟女を……。

(土屋伸之)「熟女好き」ってなんなの? 止まらなくなるの? 成長していくの? すごいよね。みんな、うちの周りも中津川弦っていうね、漫才協会のさ、漫談の子とかも、最初は「4、50の人たちが好きだ」とかって言っていたけど、「もういまは内海桂子師匠が入ってきた」っていうね。95才がもう範囲に入ってきたっていうぐらいだから。

(塙宣之)「冗談だろ?」って思っていたけど、そうでもないんですよね。

(土屋伸之)成長していくの? 熟女好きは。

(塙宣之)そうだね。成長していくというか、変わらないんだよね。ずっとそのまま……だから、やっぱり変に抗っている人が気持ち悪いんだよね。

(土屋伸之)抗っている?

(塙宣之)要するに、整形したり。

(土屋伸之)アンチエイジングしているってこと?

アンチ・アンチエイジング

(塙宣之)アンチエイジングをしている……俺、アンチ・アンチエイジングですから。

(土屋伸之)「アンチ・アンチエイジング」。ややこしいんだよ!(笑)。

(塙宣之)アンチ・アンチエイジングですから。全然あんな風にしなくてもいいのになとは思いますけどね。

(土屋伸之)ああ、そう? なるほどねー。まあなんか、熟女好きとまでは行かないけど、でもたまーにネットニュースとかでさ、「○○が劣化」とかってよくニュースになったりするじゃない? ちょっとベテラン女優さんが久々に出てきたら「劣化してる」とか言われるのって。

(出水麻衣)あれ、嫌な言葉ですね。「劣化」って傷つく。

(塙宣之)それはなんでか?っていうと、昔からきれいな人は劣化って言われちゃうんですよ。だから、熟女になれば要するにそんなにモテなかった人でも、どんどんどんどん……要するに外見のきれいさは40、50ではだんだん終わってくるんだよね。

(土屋伸之)そこの差はね。

(塙宣之)そこの差がなくなってくるのよ。60ぐらいになった時に。昔はそんな美人じゃなかった人でも60、70になると、なんかきれいになってくるんだよね。女性って。だけどその時に見た目がきれいだった人は、それを維持しなきゃいけないから、なんか変にちょっとやっちゃうでしょう? いじっちゃうでしょう? それはしなくてもいいんじゃないかなって。それは劣化じゃなくて、自然だから。

(土屋伸之)そうだね。

(塙宣之)その時に、また次の段階で光り輝くのに、それを自分でやらない方がいいんじゃないかな?って思いますけども。

(土屋伸之)いい話になってきたね。

(塙宣之)だからね、やっぱり男でもそうなんですけど。イケメンとか言われている人でも、結局50、60になってきたらそんなに変わらなくなってきて。そうじゃなかった人でも結構言われるようになるんですよ。

(土屋伸之)なるほどね。若い時の美しさっていうのは特別な武器だけど、それがもうみんな歳を取ったらなくなって、そこから裸の勝負になると。

(出水麻衣)内面です。

(塙宣之)はあ?

(土屋伸之)「はあ?」じゃねえだろ! なんだよ(笑)。

(塙宣之)キモッ!

(土屋伸之)そういう話をしてたんじゃねえのかよ! ちょっとフォローしたら「キモッ!」ってなんだよ(笑)。違うんだ?

(塙宣之)いや、そういうことですよ。だから、やっぱりきれいなんですよね。見ていない人はわからないと思いますけど。ロバート秋山さんが紹介していた67才の女性なんかも、おそらく30代、40代はそんなにそこらへんに普通にいる人だったと思うんですけど、やっぱり60代ぐらいを超えた時に急に、また輝きが増すみたいな人っているので。これはぜひもう1回、街をちゃんとした目で見ていただきたいというか。いっぱいいるんですよね。

(土屋伸之)もう一度、街の熟女を見てほしいと。

(塙宣之)いっぱいいるんです。そこにぜひ注目していただきたい。この放送を通して。

(土屋伸之)フハハハハッ! この放送を通して?

いままでと視点を変えて街を見てほしい

(塙宣之)声を大にして言いたいですね。いままでと視点を変えていただきたい。長峰由紀さんも出ていましたよ。名前が。

(土屋伸之)ああ、そうですか?

(出水麻衣)吉川美代子さんのお名前もね。

(塙宣之)吉川美代子さんもいました。

(土屋伸之)アナウンサーの方。熟女できれいな人、多いですから。

(出水麻衣)長峰さん、熟女?

(土屋伸之)長峰さん? いやいやいや。

(塙宣之)どういうことですか? 「もっと上」ってことですか?

(出水麻衣)ごめんなさい……なんか、余計なことを言いましたね。

(土屋伸之)アハハハハッ! そうですね。なにを言おうとしたんですか?

(出水麻衣)「まだ長峰さんはその域じゃないでしょう」と。

(塙宣之)定義としては、でも入りますよね。うん。年齢的にはでも、熟女の年齢に入ってきているのかもしれませんけどね。

(出水麻衣)そうかー!

(土屋伸之)フハハハハッ! なんですか? 出水さん、ちょっと「やっちゃった」っていう顔、なんですか?(笑)。

(出水麻衣)ちょっと急に汗が……(笑)。

(塙宣之)これだけ熟女芸人って言って熟女が大好きなのにね、熟女のリスナーがどんどん離れていくっていう。おかしな状況になっていますけども。

(土屋伸之)フハハハハッ!

(出水麻衣)そうなんですよね。ちょっと、塙さんがストライクゾーンの年齢の女性が最近、ちょっと聞いていただけないというデータも有りまして。

(塙宣之)悲しいところではあるんですけども。おっさんのリスナーがどんどん増えているという。

(土屋伸之)熟女のみなさんにも聞いていただきたいなというね。そういう意味でのオープニングトークだったでしょうかね? これが吉と出るか凶と出るかはちょっと次回のスペシャルウィークで……。

(塙宣之)愛してますよ! 熟女だけでいいです。ハガキ。熟女以外のハガキは読まないです!

(土屋伸之)アハハハハッ! 男性も送ってください(笑)。

(出水麻衣)はい。お待ちしていますよ。

<書き起こしおわり>

ハライチ岩井 ワタナベお笑いNo.1決定戦2018 必勝計画を語る

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ハライチの岩井さんがTBSラジオ『ハライチのターン!』ラジオクラウドの中でワタナベお笑いNo.1決定戦2018についてトーク。岩井さんが考えた、大会で必ず勝てる策について話していました。


(澤部佑)メールが来ていますよ。(メールを読む)「岩井さん、澤部さん、こんばんは。先日、ワタナベお笑いNo.1決定戦の決勝組み合わせが決定しましたが、ハライチさんのいるCグループは笑撃戦隊、四千等身、平野ノラがいましたね。Cグループには柴田(アイスピック・笑撃戦隊)さんや後藤(拓実・四千等身)さんなどトガッた芸人が集まったグループですが、もしかして当日はこのグループでお笑いクーデターを起こすつもりなんでしょうか? AbemaTVでの生放送はクーデターの呼びかけには最適ですし、クーデターの頭文字の「C」など条件は揃っています」。

(岩井勇気)そうだね。うん。クーデターにはちょうどいい、おあつらえ向きかもしれないよ。

(澤部佑)前に「クーデターを起こす」って言っていたんだよね。そうですね。そうなったんだね。笑撃戦隊、四千等身、平野ノラ。

(岩井勇気)一応、16組出るから。予選が4組、4組、4組、4組のABCDっていうブロックで競う。その中で成績のいい4組が決勝をやる。だからくじ引きで、順に1、2、3、4、5、6と引いて。(数字が)若い順からどこのブロックに入る決めてっていいという。

(澤部佑)なるほど。選べるやつね。

(岩井勇気)で、俺は「2」を引いたんだよ。

(澤部佑)あ、早っ!

(岩井勇気)で、Cブロックを……だからいちばん最初を引いたやつが平野ノラで。平野ノラが「じゃあ私、Cブロックに行きます」って言って。「これはチャンスだ!」と思って、Cブロックに入ってやったんだよ(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! どういう意味なの? 「チャンスだ!」って?

(岩井勇気)「1枠は潰れたな」と思って(笑)。

(澤部佑)「勝てる」という意味ですか?

(岩井勇気)まあ、そうですよね。

(澤部佑)平野ノラ、四千等身、笑撃戦隊よ。

(岩井勇気)そしたら、まず笑撃戦隊の柴田が「ハライチさんにいつもM-1で阻まれているんで、決着をつけてやりますよ!」って言って。

(澤部佑)柴田アイスピックが。

(岩井勇気)「決着をつけてやりますよ!」って言ってCブロックに入ってきたんだけど、「『決着をつけてやる』って同等のやつが言うことだけどな」って俺は思って。

(澤部佑)厳しいな……。

(岩井勇気)「ちょっと違うよな」って。で、四千等身のトガッている後藤が「じゃあ、俺もCブロックに行きます」っつって。その後に。

(澤部佑)集まってきちゃったよ(笑)。トガッたやつらが共鳴して、集まってきちゃってるじゃん(笑)。

(岩井勇気)トガッたやつらと平野ノラっていうグループ(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! 極端なグループ(笑)。ここで戦って、これを勝ち抜いて。で、決勝は勝ち抜いてきた4組で……っていうことでしょう?

(岩井勇気)そういうこと。そういうこと。

(澤部佑)これは、すごかったのもんね。この間の事前番組みたいのもAbemaでやるんだよね。その事前番組の意気込みコメントみたいなのをハライチが。で、軽い台本みたいなのがあって。それが、最近『ゴットタン』とかで岩井が言っている「お笑い風」とかがその台本に組み込まれていてね。岩井の想定コメントみたいなの、書いてあるじゃない? ああいう台本って。

(岩井勇気)そうそうそう。

「お笑い風」の前提

(澤部佑)岩井がもう、なんかとんでもないやつに作り上げられてるよな(笑)。

(岩井勇気)作り上げられてる(笑)。

(澤部佑)もうめちゃくちゃなやつになっててね。

(岩井勇気)「こんなお笑い風の大会、やってられっかよ!」みたいな。

(澤部佑)「やってられっかよ!」みたいな(笑)。想定コメントが(笑)。「300万は俺たちのものだ!」みたいな。めちゃくちゃなやつだったね。

(岩井勇気)みんな、ほとんどの人がもう薄いからさ、勘違いしているんだけど。「お笑い風」って、「お笑いをやっていて面白くない人」のことじゃないからね。全然ね。概念を全然勘違いしているんだけど。

(澤部佑)ああ、それはちゃんとビシッと言ってましたね。

(岩井勇気)「お笑い風ってこういうことじゃないですから」って言ったからね。その場で(笑)。

(澤部佑)インタビューしてくれるディレクターさんが「この中でお笑い風のコンビ、います?」っつって。そしたらもう、岩井はビシッと言ってたね。「お笑い風って僕、コンビでは言ったことないですから。お笑い風って”くだり”を僕は称して言っているだけなんで」っつって。ピリーッ!って(笑)。

(岩井勇気)フハハハハッ!

(澤部佑)でも、たしかにそうなんだよね。

(岩井勇気)そうそうそう。言っていたんです。

(澤部佑)これ、いつでしたっけ? 2月19日にあるんですね。

(岩井勇気)で、さ、みんな会場にバーッているわけ。ブルゾンちえみ with Bが3人でいて。なんか、いじられていたんだよ。with Bがさ、「仮装大賞で0点取ったらしいな」って。先週、言ったじゃん? 「史上初、仮装大賞で0点を取ったらしいな」って。で、先週、「仮装でゼロになるって、コインチェックと一緒ですね」って俺がかけて言っていたでしょ?

(澤部佑)しびれた発言ね。興奮したな、先週!

(岩井勇気)そう。で、それを一緒のところにいたから、「お前、仮装でゼロってコインチェックと一緒だな」って言ったの。

(澤部佑)ああ、もう1回ね。

(岩井勇気)そしたら、with Bの2人は「ハハハッ!」って笑って。でも、ブルゾンはさ、「ハハッ! 難しい。わっかんない!」って(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)「フゥーッ!」って思っちゃって(笑)。

(澤部佑)わかんなかったんだね。ちえみちゃんはわかんなかったんだから。

(岩井勇気)「ふーん。うーん……」って。

(澤部佑)ヤバい(笑)。仕上がってますね! ワタナベお笑いNo.1決定戦に向けて。

仕上がっているブルゾンちえみ

(岩井勇気)「着々と女芸人になってってるな、こいつは……」って俺は思ったんだよ。

(澤部佑)ヤバいよ、逃げてよ、ちえみちゃん(笑)。

(岩井勇気)「難しい。わっかんない」って、ねえ。

(澤部佑)いいじゃない、別に。本当にわかんなかったんじゃない? 咄嗟にパッと浮かばなかったのよ。

(岩井勇気)これでマネージャーに強く当たったらもう完成に近づいてるね(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! そうね。完成がなにかはちょっとわからないですけども。やめてくださいよ。

(岩井勇気)女芸人の権化の完成に近づいたよ。

(澤部佑)実名が出てるから。やめてくれよ……。

(岩井勇気)で、思ったんだけど、この大会はすごいのよ。300万円賞金が出る。

(澤部佑)優勝したら。

(岩井勇気)すごいよね。Abema TVが入っているから。史上最高額じゃない?

(澤部佑)毎回、賞金は出ていたけどね。うちの事務所の大会はね。

(岩井勇気)で、ちょっと思ったんだけどさ、これ300万円賞金が出るじゃん。で、会場がデカい会場なんだけど、700席の会場なの。っていうことは、その会場の投票があって決まるわけなんだけど、だからその会場の過半数の350票があれば勝てるわけでしょう?っていうことは、350席買っちゃえばいいっていうことじゃん。

(澤部佑)うん(笑)。

(岩井勇気)チケットは4000円なのよ。で、計算したら(350×4000円で)140万円なの。140万でチケットを買って、「ハライチに投票してね」って350枚配れば、確実に優勝できるんだけど。

(澤部佑)うん。

(岩井勇気)そしたら(優勝賞金300万円から経費140万円を引いた)160万円がプラスだよね? それをやっちゃえば確実に160万もらえるんだよ。

(澤部佑)まあ、そうだね。うん。

過半数のチケットを買い占めれば160万プラス

(岩井勇気)そこに気づいたんだけど……でも、それじゃあ面白くない。そんな160万をもらうだけじゃ。このワタナベお笑いNo.1決定戦みたいなワタナベの事務所の大会って、1位になったら売れるみたいなジンクスがあるというか。

(澤部佑)なんか、言われてたね。

(岩井勇気)関係者が見に来ているし、テレビに呼んでもらえるみたいな。そこからサンシャイン池崎とかもブレイクしたっていう。って、なってくると、もう若手はそれは血眼で取りたいよね。でも、俺らって別にもうそこを取ってブレイクするとかっていうところにはいないだろ? 

(澤部佑)まあ、そうね。

(岩井勇気)っていうことは、140万で350席買って、160万もらえますという、この優勝する権利。別に俺らが取らなくても、お金はもらえるけども、(優勝という実績は)いいわけで。だから、この優勝をできる権利を若手に売りますよと。「俺らが350席を買いました。優勝できる権利、売りますよ。オークションをします。160万から」って。で、オークションすれば、もうプラスのお金を出しても、優勝したい。売れたいやつがいっぱいいるわけじゃん? だから、たとえば180万円で落札したとするよ。で、そいつらが優勝したとするじゃん? すると、賞金で300万円もらえるよね? でも、350席分のチケット代140万円はそこから払います。それで160万円は余る。で、そこから180万円を払わなきゃいけないの。そいつらは(自腹で)20万円プラスしなきゃいけないの。でも、20万円をプラスしてでも、(優勝した実績が)20万円で買えるならいいよね? だから俺はこれをやろうと思っているのよ(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! なに、やるの? やる話?

(岩井勇気)どんだけ値がつり上がるのか?っていう。

(澤部佑)いま、もう買えないよ。多分、350席分も。チケットを買うの、(転売対策などが)厳しいから。

(岩井勇気)次回からやろうと思って。

(澤部佑)チケットを買うルール、もう厳しいから。そういう転売目的の。そういうの、一気に買えないようになってるよ(笑)。

(岩井勇気)それを、どうにか……。

(澤部佑)たぶん350席なんか買えないよ、たぶん。

(岩井勇気)最終的にはもう『カイジ』の限定ジャンケンカードみたいにカード自体の値があがるみたいな感じにしようと思って(笑)。

(澤部佑)フハハハハッ! やめてくれよ、岩井の……。

(岩井勇気)そうなっちゃうんだよっていう話よ。だから、席の値段と賞金がつり合っていないとそうなっちゃうんだよ。

(澤部佑)フハハハハッ!

(岩井勇気)そういうことが起こりうるんだよ。だってこれが、たとえば賞金が1億円の大会だったとしたら、絶対にそれやるでしょう?

(澤部佑)まあ、そうね。

(岩井勇気)まだ300万円だからそこまでの考えに至らないけど。

(澤部佑)うーん、そうね。これが2月19日にありますので……(笑)。

(岩井勇気)誰が買収しているのか?

(澤部佑)フハハハハッ! 優勝したやつが350席を買ったやつということですね。

(岩井勇気)いくらでその350席を落札したのかはわかりませんけども。

(澤部佑)落札したのか? ぜひ、お楽しみに(笑)。

<書き起こしおわり>

宇多丸 三浦大知 武道館公演へのゲスト出演を語る

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宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で三浦大知さんのライブツアー『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR』のファイナル、武道館公演にゲスト出演した際の模様をトーク。三浦大知さんの超絶ライブパフォーマンスを絶賛していました。

「DAICHI MIURA BEST HIT TOUR」 1/31 大阪城ホール 2/15 日本武道館 ゲストとして参加させていただきました! 大ちゃんが初めて大阪城ホールのステージに立ったのが俺のライブだったという事から、自身初の単独城ホールライブに俺をゲストとして招いてくれるという粋な計らい! そして武道館では、この長い関係のはじまりとなった、宇多丸さん主催、完全1人武道館後の「KREVAを褒める会」参加メンバー全員を同じステージに集めるという、 彼にしかできない演出! 最近の男らしさ、 本当に素晴らしいと思います! 行けるとこまでどこまでも行こう! ちなみに… 次は「三浦大知の偉業をたたえまくる会」の開催が予定されています! お疲れ様! 1枚目左から #千晴 #宇多丸 #三浦大知 #満島ひかり #KREVA

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(宇多丸)で、まあ羽生結弦さん。金メダルおめでたいとか、そんな話ばっかりしていますけども。私、個人的には羽生くんもいいけど、去る2月15日、こちらも王子も日本の歴史に残るとてつもない偉業をやらかしたんだぞという話をしてみたい。『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』!

(中略)

先ほどね、オープニングでも話しました。いま、「羽生結弦くん最高!」なんてなっていますけど、私に言わせるとこちらも王子も去る2月15日、こんな偉業を達成したんだぞというお話をしたい。なんのことか? といいますと、今週木曜日、あるライブに私、ゲスト出演してきました。どのライブか? と言いますと、シンガーにしてダンサー、そして世界レベルのパフォーマー、エンターテイナーへと、今回のライブで確信しました。三浦大知くんの全国ツアー『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR 2017』。その追加公演。ファイナルを日本武道館で2日連続でやったんですけど。その2日目のファイナルの方に私、参加してまいりました。

あ、いま後ろでかかっていますけども、こちらは私と三浦大知くんで2006年でしたっけ? に、出しました『No Limit』という曲で。要はこの曲の客演で呼ばれて行ったんですよね。

三浦大知『No Limit featuring 宇多丸』



で、改めて僕と大知くんのいろんな話を……この番組でもちょいちょい、初年度で特集もしましたっけね。あるいは、私の『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』の第1回ゲストにも大知くんに来ていただいて話をしたりとか。

三浦大知と宇多丸 洋ゲーの魅力と『メタルギアソリッド』を語る
三浦大知さんがTBSラジオ『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』に出演。宇多丸さんと洋ゲーや『メタルギアソリッド』、『コール オブ デューティ』などについて話していました。...

もともとはFolderという素晴らしい、バブルバムポップ・グループというか。素晴らしい天才が現れた!ってあれは1997年とかですか。それぐらいの時に僕はその時点でファンになって、すぐにヒップホップ専門誌の方にFolderのみなさんをお呼びして。まだちっちゃい、10才かそこらのキャッキャキャッキャやっている大知くんにインタビューをして。


そこ以来の……ずっと付き合いが続いてというよりは、いったん彼が声変わりの間歌手活動を休んでいる間は途切れたんだけど、ソロ活動を開始してからさっそくフィーチャリングで呼んでもらってこの『No Limit』という曲を作ってやったと。それから、もちろん歌は上手いし踊りもすごい。しかも、自分で振り付けもする。舞台演出もする。曲も作る。その上、性格が俺がいままで人生で会ったありとあらゆる人を全部合わせても、大知くんがいちばん性格がいいと思う!

しかもそれだけの才能を持ちながら、全く天狗になる素振りも何もなく、全くいい子のまま来ているという、本当に奇跡のような男なんですよね。で、それがここに来てみなさんご存知の通り、本当に一気に対世間的に大ブレイク。いままでももちろん成功を収めてきましたけど。特にKREVAと組んでいろいろやるようになって、割とステージが1個上がって人気が広がってきたなという実感がここ数年あったんですが、ここに来て、やっぱり『ミュージックステーション』出演しての衝撃のパフォーマンス。あれ、誰が見てもすごいっていうパフォーマンスを見せましたし。そこからの紅白出場があったり。あと、『めちゃイケ』での出演とかもあったりして。もうどんどんケタ違いにボンボンボン!ってブレイクしていくという。

僕の周りは本当にボンボンボン!ってブレイクしていく人がいっぱいいるし、僕はもちろん周りの人間の才能みたいなのに関しては疑っていないというか。誰が成功しても驚かない。大知くんなんかまさにそれはそうなんだけど、とはいえだからようやく世間が彼のレベルに追いついてきたかということで、本当にうれしく思っているわけです。で、出演してきて。ちなみにライブに行った方のメールも来ていますので、こちらを読みますかね。こちら、「ダイチャー179号メメ子」さん。「ダイチャー」っていうのは三浦大知くんのファンの人の名称で。ごく初期から応援している方は「ダイチャー、ダイチャー」って。で、僕は三浦大知くんをこの番組で特集して、「三浦大知という天才がいて……」って早くからプッシュしているというのをみなさんに評価していただいて、「名誉ダイチャー522号」という風に言われているんですけども。

そのメメ子さん。「宇多丸さん、こんばんは。一昨日は武道館に来てくださってありがとうございました。シークレットゲスト、KREVAと千晴、そして絢香ちゃんまでは予想していたのですが、まさか宇多丸さんが出てこられるとは……さすが名誉ダイチャー522号! 『人間交差点』以来の『No Limit』でしたが、サビでめっちゃタオルを回して一緒に口ずさみました」。みなさん、すごい盛り上がっていただいて。直前にやったWOWOWの特集で、僕と大知くんの馴れ初めみたいなのをすごくやってくれたっていうのも大きいですし。

あと、やっぱり大知くんがね、それはさ、「KREVA!」「ワーッ!」ってなるじゃないですか。そこで「宇多丸!」っつってもさ、それは……ねえ。私だってそれはさ、「いやいやいや、すいませんね」って感じになりますから。そのへんを考慮してなのか、ものすごい丁寧に前フリをしてくれたというのもありますね。KREVA出て、千晴が出て。「この2人をつなげてくれた人です。宇多丸!」ってドーン!って盛り上げてくれて。メール、ありがとうございました。

「……最後に一言、『正義は勝つ!』」。これ、僕がステージ上で、要はこれはPerfumeの本格ブレイクの時に1回使った「正義は勝つ!」なんですよ。「いいものが売れる。ということは、かならずしも毎回あるわけではない。特に日本のポップ・ミュージックではかならずしもいいもの順に売れるわけではないが、ごくたまにこういうことがあるから世の中は捨てたもんじゃない。正義は勝つ!」って10年以上前に言いましたけども。まさに武道館で……「天才が帰ってきた」っていうのはソロアーティストとして復活した時にも言いましたけど、「正義は勝つ!」って。これを言わせていただきました。

もうひと方。「モモ」さん。この方はライブビューイングで見ていたという方なんですね。で、「宇多丸さんが出てきて、映画館はどよめいてましたよ」という(笑)。どういう意味でどよめいていたのかは知りませんけどもね。「……まさか大画面で宇多丸さんのツヤツヤ頭とパフォーマンスが見ることになるなんて。最の高! めちゃくちゃかっこよかったです」という。ありがとうございます。「……『正義は勝つ!』、本当ですね。ずっと三浦大知ファンをやってきて、グルグル思い出すいろんな気持ちと最高の音楽でちょっと泣いてしまいました」と。

でもね、これは本当に改めて言いますけど、今回の日本武道館、ベスト的な構成というか、たぶん大知くん的に次はさらにネクストレベルに行きたいがゆえの、今回ベスト盤を3月7日に出しますけども。ベスト盤と集大成的ツアーである意味全部出し切るぞ!っていう気合いだと思うんですけども。とにかく僕ね、自分の出番以外の部分のステージを拝見していって。もうね、「なんでこんなレベルのことができるのかが、もうよくわからない」っていう域に達していましたね。

なんでこんなことができるのか、もうよくわからないレベル

まずオープニング、8曲連続かな? ノンストップで歌って踊ってですよ。別にそれが悪いとは言わないけど、歌う人と踊るひとが分かれていたりとか。まあ、激しく踊るからっていうんで歌う部分はちょっと口パクだったりする人だっている中で……別にそれだって責めやしないけども。もうガンガン、しかもめっちゃ上手く正確に歌ってなおかつ踊りもめっちゃ高度なものを、しかも8曲連続でこれでもか! と見せつけてやるという。もうオープニングの演出でまずやられちゃいましたし。

大知くんのライブは大知が演出とかを率先して提案して考えていたりする。だから会議の時点では他の大人の人が「こうやってやりましょう」って提案しても、最初は大知くんがなにを言っているのかわからないらしいんですよ。要するに、大知くんの中にビジョンがあって、実際に映像とかをつけて、こうやってやるとわかるみたいな、それぐらい先に行ったビジョンを持っている男で。たとえば、僕らがラップパートで出てくるちょっと前のところで着替えのパートがあるんだけど。そこの演出もすごい面白くて。

その着替えのところもノンストップなわけですよ。で、歌いながらLEDの映像を映す板の後ろ側にピョーン!って大知くんが入っていくと、その映像の中に入ったようになって。前にいるダンサーさんとの絡みでサイレント映画のコメディー+ミュージカル風というか、そういう面白かっこいい絡みみたいなのが映像と生の踊りとで演出されて。その間もずっと曲は流れていて、大知くんの歌声も流れている。で、終わったところでドーン!って着替えて出てくるんですけど……これ、僕はそのくだりの直前ぐらいでそろそろ出番だっていうんで、武道館の後ろの控えに行きましたよ。

で、結構舞台装置とかを作っているチームとかが、割とライムスターのライブチームと重なっていたりするんで。フクちゃんという美術を作っている気のいい大男がいてですね。で、「いやー、大知くんすごいっすわ!」「そうだよね」「あの着替えのシークエンス、あったじゃないですか。あそこ、着替えながら大知くん、ずーっと生で歌っているんすわ!」って。要はマイクスタンドを立てて、こうやって着替えながら……たしかにずっと歌は続いているんだけど、そこなんか着替えパートなんだから録音したものを流せばよさそうなものですよ。そこ、上手くあれすればいいようなものじゃない? ずーっと、マイクで歌いながら。お客には見えてないのに、生で歌いながら着替えているんだって。俺、それを聞いて「ええっ? バカなの?」っつって。もうなんかすごいんですよ。

だから裏方チームも、彼のもちろんパフォーマンスの質の高さもそうだけど、パフォーマンスにかける気合いとか真剣さとか、そういうの全部含めて感服しきっている。いる人全員が。で、この天才にして最高の人格の男にとにかく奉仕したいっていうか。なんとか彼のためになりたいって思って。ちょうどKREVAがそのライブに行く前に、「今日はワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンじゃなくて、ワン・フォー・大知、オール・フォー・大知だ!」みたいなことを言ってね。実は大知くん、風邪気味で。具合が悪い中、ニンニク注射を打ってやっていたりしたから。その気合いを入れてあげるため、力を上げるためにもこうやってやろう! なんつって、やって。

で、そんなところにですよ、私が出ていて。「あ、すいませんね! もう本当にね、ごめんなさいね!」って。もうこんな言い方じゃないんですよ。私、最近フィーチャリングで出る時は本当に礼儀正しく、「おじゃましまーす!」なんつって行きます。でも、『No Limit』は大知くんの初期の曲の中でも結構人気曲だから、すごいワーッ!って盛り上がって。そこからさらに、いま後ろで流れていますけども。KREVA feat. 三浦大知で『全速力』という曲があるんだけど。



これは大知くんからの結構直前に来たオファーで、「『全速力』はKREVAとの曲なんだけど、千晴くんというKREVAのところの若手ラッパーと僕と、4人で『全速力』できませんか?」って。というのは、まさにKREVAと大知くんを会わせたのは僕がKREVAが日本武道館を1人でやった時に、KREVAを称える会というのをやろうじゃないかと。あまりにもすごかったんで。この番組でも話しましたし、特集もやりましたよね。その時に、それぞれが見どころのある若者を1人ずつ連れてきて、未来につながる会にしようじゃないかということで、KREVAは千晴を連れてきて。僕は大知くんを恐れ多くも……「大知くん、来る~?」なんつって(笑)。その頃はそんなに忙しくなかったというのもあって、「大知くん、来る~?」なんつってね。で、そこでKREVAと千晴とも意気投合して。なんなら本当に僕よりも仲良くなりやがってね。もう、バカヤロー!っていう話なんですけど(笑)。

でも、そういうところでちゃんと、そういう縁というか、忘れないのも大知くんで。で、結構ギリでもあったんで、ちゃんと千晴は歌詞をオリジナルで作ってきたりしてえらかったんですけど。僕はパッと思いつくところがあって、ライムスターの『Still Changing』という曲の自分のバースがBPM的にも、そして内容的にも『全速力』にぴったりハマるんじゃないかな?って思って。



で、リハで重ねてみたら結構これがいい感じでハマッたんで、「これでいいじゃん。これで行きましょう。おじさん、覚えられる歌詞のメモリにも限界がありますんで」って。でもこれ、相当ハマッたと思いますよ。まあ、マッシュアップという意味でもいいですけど、とっても上手くハマッたと思います。めちゃめちゃ『全速力』で盛り上がりましたし。あとはその後に登場しましたシンガーの絢香さんとのデュエット。歌が上手いのなんのっていうのでしたし。あと、ダンサーの菅原小春さんが登場して、大知くんとのバトルというのかな? もう超絶ダンス合戦とかもありましたし。あとは、ネットニュースでもありましたように、アンコールではなんと、Folderの盟友ですよね。満島ひかりさんが登場されて、さっきもかかっていましたけども『Now And Forever』を。Folderの名曲中の名曲を……。

Folder『Now And Forever』



僕はもうあの頃ね……90年代後半はささくれ立っていた。毎夜毎夜、高橋芳朗と飲み歩いては、全員女の子はきれいに見えるみたいな(笑)。そんな精神状態の中、それを癒やしてくれた『Now And Forever』。これを、本当に盟友っていう感じね。お互いにサバイブしてきたという。決して一直線ではなかったですよね。満島ひかりさんもね。そういうので2人でデュエットしてという。もうね、そこに至るまでとにかくアイデアもそうだし、スキルもそうだし、大知くんの人柄もそうだし。そしてやっぱり、異常な密度とノンストップぶりなんで、体力から言っても異常なんですよ。

「えっ? 始まってもう2時間以上たっているのに、まだ上で飛んだり跳ねたり股割りしたりしてるよ、この人。どうなってんの? しかも声も全然乱れてないんだけど……」みたいな。とにかくはっきりしているのは、日本の音楽パフォーマーの中でいまぶっちぎりでトップだと思いますよ。もう世界レベルと言ってもいいと思う。次は世界照準ということでいいんじゃないか?っていうぐらい、本当にわかっていたけど、思っていたよりももっとすごかった、大知!っていう感じでね。もう本当に感服しました。歴史的なライブだったと思いますし、そこに参加できて本当にうれしかったと思います。

あまりにもうれしくて、まあ大知くんは具合が悪かったので。しかも翌日、また『ミュージックステーション』っていう強行軍だったので大知くんは打ち上げもせずに、休んでくださいっていう感じだったんですけど。あんまりうれしくて収まりがつかなくて、KREVAと「士郎さん、この後は?」「えっ? この後って、バッツリ空けとるがな、んなもん!」っつったら、「ああ、俺もですよ!」って。で、KREVAと千晴と俺でもう結局朝方近くまでガンガン。ガンガン大知を称え、そしてガンガン今後のいろんな……「どうするよ、こんなのを?」みたいな。いろんな話をして、めちゃめちゃ最高の夜でございました。という、ご報告です。

ということで、結弦もいいけど大知もね、という。これもまた日本が誇る宝。王子でございます。正義は勝つということを証明した男でございます。ということで、3月7日にリリースされる三浦大知くん初のベストアルバム『BEST』より、そこに収録される新曲。ライブではいちばん最後にやっておりました。三浦大知の最新形でございます。お聞きください。『DIVE!』。

三浦大知『DIVE!』


はい。3月7日にリリースされる三浦大知くん初のベストアルバム『BEST』より新録される新曲『DIVE!』をお聞きいただいております。本当に大知くん、この『BEST』を聞けばわかると思いますけどもとにかく、Folder時代から数えてもいいですよ。1曲も駄曲がないし、あと1曲も大人の事情で無理にやらされてなんだかな、みたいな曲もないし。これもすごいですしね。それでいて、これはKREVAと話していて印象的だったんですけど、やっぱりとはいえここに来て本格ブレイクしたのにはそれなりに理由があって。やっぱり大知くんのここんところのシンガーとして、そして人間として、男としての成長ぶりがやっぱり著しいというものがあって。そのあたりもすごく素晴らしいなという感じでした。ちなみにKREVAと話していて、KREVAの特集企画、めっちゃ面白いのもらったから! ちょっとね、これはぜひ新番組出やりましょうよ。そういうのもいただいたんで、非常に有意義な夜でした。三浦大知くんのベストアルバム、ぜひみなさんお聞きください!

<書き起こしおわり>


安住紳一郎 セブンイレブン・ジャパン本社とその近くのポプラを語る

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安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中で四谷にあるセブンイレブン本社についてトーク。取材に行った際に発見した、セブンイレブン本社ジャパンのコンビニ、ポプラについても話していました。

(安住紳一郎)四谷にセブンイレブンの本社がありますけれども、行かれたことありますか? 大変大きなビルディングで、私も取材でお邪魔いたしましたけども。すごいですよね。たしか1ヶ月に1回くらい全国の店長とか全国のリーダー長みたいな人が集まるんですけどもね。四谷の駅からザーッ!って歩いてきますけどね。そしてそのセブンイレブンの全国のリーダーたちが、曲がるのはポプラの前っていうね。

ポプラの交差点を曲がる


(中澤有美子)アハハハハッ! あ、角を?

(安住紳一郎)そうなんですよ。敵前……なんていうの? ものすごいシーンを見ることできますけども。私はそのシーンが好きで。その、ポプラっていうコンビニエンスストアがあるんですけども、ポプラに目もくれずに歩いて、その交差点を曲がる人が全員セブンイレブンの人。


(中澤有美子)うわっ!

(安住紳一郎)それでチラッと見たらもう、みんなに後でね、「おいっ、なに見てんだよ!」みたいなことを言われるんじゃないか?ってね。

(中澤有美子)ですかね? アハハハハッ!

(安住紳一郎)ポプラもすごいところに店を出したなって思うんですけどもね。セブンイレブンの本社の前にポプラがありますからね!

(中澤有美子)ウフフ(笑)。

(安住紳一郎)すごい!っていうね。

(中略)

(安住紳一郎)先ほど、四谷のコンビニエンスストアの話をしましたが。すみません、私わかってるつもりで言ったんですが。すいません。セブンイレブンの本社が移転する前からポプラがあったということで、「よくポプラがあそこに出店した」というわけではなくて、「よく撤退しないな」というのが正しい感想ですね、という風にお叱りをいただきました。その通りですね。はい。セブンイレブンの本社、ありますからね。

(中澤有美子)ふーん!

(安住紳一郎)私、番組の取材でセブンイレブンの本社の大会議室に入れてもらいましたけども、もう本当にびっくりするぐらいの緊張感でしたね。

(中澤有美子)へー!

本社のびっくりするぐらいの緊張感

(安住紳一郎)セブンイレブンの本社会議室、アイワイグループですか。すごいんですよ。会議室というか事務机が全部入り口の方に向いていますんで。みなさん、一方向の方に並んで座っているんですよね。それで決裁のスピードを速くするために、担当の人間が縦一列に並んでいて。自分の決裁書類は自分の背中ごしに後ろの上司に渡せばいいし、自分の作業は後ろから上司が見ているということで、ものすごく効率的になっているんですね。

(中澤有美子)ふーん!

(安住紳一郎)しびれるくらいの……「ああ、ここが物流の王様の会社なんだ!」って思いましたね。素晴らしいですねー。で、出世されてる方は、結構若くして出世されていて。「どうしてあの方はもうすでに取締役なんですか?」って聞いたら、「あの人は最も売れるおにぎりの具を考えた人です!」っていう。「はーっ!」って思いましたね。

(中澤有美子)はーっ!

(安住紳一郎)「それはそれは!」っていうね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。さもありなん。

(安住紳一郎)さもありなんっていう感じですね。

<書き起こしおわり>

杉作J太郎 安藤昇『男が死んで行く時に』を語る

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杉作J太郎さんが南海放送『MOTTO!! 痛快!杉作J太郎のどっきりナイトナイトナイト』の中で安藤昇さんの名曲『男が死んで行く時に』について話していました。



(杉作J太郎)さあ、それでは厳密に言いますと、ここからが今日の第1曲目になります。今日の1曲目、行ってみましょう。先ほどまでの番組のように、なっちゃんが鼻歌を歌えるかどうか? 僕も注目していたいと思います。1曲目、行きましょう。安藤昇さんで『男が死んで行く時に』。

安藤昇『男が死んで行く時に』



(杉作J太郎)素晴らしい! これね、作曲・編曲が曽根幸明先生なんですよ。曽根幸明さん、ある程度の年齢の方だったらお顔はみなさんよく知っていると思います。テレビの審査員とかもずいぶん長くやりましたんでね。曽根幸明ってやっぱりただの才能の持ち主じゃないですよね。どう思いました? あの女の人のスキャットに合わせて後ろの男の「あーっ、ああああーああーっ♪ あーっ、ああああーっ♪」っていう、男の人のあのコーラスのすさまじさ。そして女の人の「敷島のー♪」って。これ作詞は阿久悠さん。さすが阿久悠さん、やはり文学的才能・素質もね。これ、「敷島」というのは「大和」にかかる枕詞っていうか、言葉なんですね。「大和」という言葉を話す時に、その先に「敷島の大和」っていうことでね。

いや、すごかったでしょう、みなさん、この歌。「女か。道端の石ころのように拾っては捨てた女たち。俺が死んで泣くやつ、1000人。笑うやつ、1000人。知らぬそぶりが1000人か……」っていうね。この安藤昇先生。実はね、この安藤昇さんに僕は一度だけ、生涯の中でお会いしたことがありまして。それがね、友人の結婚式に安藤さんが後見人じゃないですけども、参列してたんですね。それはもう芸能人の大物として。それで僕は映画の大ファンだったので。「安藤さんとなんとか、サインか……サインは失礼だから、記念写真でも一緒に撮らせてもらえないのかな」と思いまして。勇気を出しまして、「一緒に写真撮らさせていただいてよろしいですか?」って……何人か撮ってもらってたんですよ。その結婚式で。

安藤昇さんと一緒に写真を撮る

で、僕も図々しく行きまして。みんなは普通に、安藤さんが座ってるんですけど、そこで背をかがめて撮っていたんですよ。で、僕も後の方で行きましてね。ちゃんと僕は言ったんですよ。「僕は安藤昇さんの映画の大ファンで、安藤さんの歌も大好きです。安藤さん、本当に大好きなんです!」みたいな話をしまして。「できたら、一緒に写真を撮らさせていただけますか?」って言いましたらね、「おう」って言ってね。結婚式場だったから小さい椅子だったんです。ソファーとかじゃない、小さい椅子なんですけどね、安藤昇さんが腰を抜かしましてね。もう結構のお年でしたけど、腰を浮かしましてね。椅子を半分、空き地を作ってくれて。「えっ?」って思ったらね、「座んなよ」って言うんですよ。目と顔で。「おう」みたいな。それで、その椅子に座らせていただいて、一緒に写真撮らせてもらってね。

僕みたいな本当に……僕のこと絶対何だか知らなかったと思うんですけど。知らなかったはずですけど、僕みたいなわけのわからない若者が「一緒に写真を撮らせてください」って言ってね、「おう」って言ってね、椅子を……安藤昇さんに腰を上げさせてしまったというのがね。本当に優しい方でね。安藤昇さん。安藤昇さんがそういう男の稼業をしていた時の配下の人が、安部譲二さん。後に作家になりましたね。小説家になりました安部譲二さんがやはり、安藤昇さんの配下の方なんですけども。安部譲二さんはちょうどあの頃ね、航空会社のパーサーかなんかでいながら、そういう活動もしていたということなんですけど。

安部譲二さんも僕、雑誌の平凡パンチ時代につきっきりで、密着でお宅から一緒に始めて何ヶ所か一緒に回らせていただいたんですけど。安部譲二さんも優しい方でね。やっぱりああいう男を売ってる稼業の人はね、優しいんですよね。だからもちろんさっきの歌を聞いても怖い部分もありますよ。「オラーッ!」なんて言ってね。「おふくろ! あんたの悩みのタネが消えていくんだよ!」なんて言ってね(笑)。「ああ、悩みのタネだったんだ」みたいなね(笑)。でもね、やっぱりメリハリですよね。だから、よくああいう東映の任侠映画とかでも高倉健さんとかが言っていたのは……高倉健さんに対して水島道太郎さんとか嵐寛寿郎さんみたいな先代が教えてたのは、「男が怒るときは一生に一回だよ」みたいなね。最後の最後まで怒っちゃ……でも、「最後の最後まで怒っていけないぜ」ってそれは完全にフリですよね。その映画に最後に山場があるっていうフリにはなっているわけですけども。

まあ、映画ですからね。安藤昇さんもずっと若い頃から映画俳優をやっていたわけで。もう大スターすからね。日本テレビでやっておりました萩原健一さんの『前略おふくろ様』。あれなんかにも出ておられました。安藤昇さん。お亡くなりましてね、ご冥福をお祈りしたいと思いますが。まあ、なっちゃん。さすがに鼻歌は歌っておりませんでした。でも本当にね、鼻歌うたうぐらいなら、やはりコピーしてしゃべった方がいいですね。「おふくろ! あんたの悩みのタネが消えていくんだよ!」なんて言ったら、なっちゃんはお父さんに怒られるかもしれませんね。「誰と付き合っているんだね、君は? どんなところで……ちゃんと学校に行っているんだろうね?」みたいなね。

でも、ちゃんと「ちゃんと学校に行ってるんだろうね?」って言ったら、東映の映画では舘ひろしさんがやっぱり言われてましたね。主役をした時に、「お前そんな事ばっかりやっていて、大学どうするんだ?」って言ったらね、「網走大学でも行くさ!」って言ってましたけどね(笑)。まあ、網走の人が聞いたらびっくりしますけどね。「網走大学」っていうのは本当にはないと思いますよ。「網走大学」っていうのはたぶん「網走刑務所」のことを舘ひろしさんは言っていたんだと思いますけども。まあ、物騒な話ばかりしていてもあれですからね、オリンピックの話をしましょう。

<書き起こしおわり>
杉作J太郎・吉田豪・眉村ちあき 安藤昇の魅力を語る
弾き語りトラックメイカーアイドルの眉村ちあきさんがDommune『JGO』に出演。杉作J太郎さんと吉田豪の勧めで安藤昇さんの楽曲を聞き、その魅力について話していました。 #D...
杉作J太郎 吉田豪 安藤昇を語る
吉田豪さんと杉作J太郎がDommune『JGO22』に出演。安藤昇さんのレコード『黒犬』をかけた後、安藤昇さんについて話をしていました。 (杉作J太郎)1曲目。豪ちゃん、せっ...

モーリー・ロバートソン ニュージーランド女性首相の妊娠・出産を語る

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モーリー・ロバートソンさんが2018年1月30日の文化放送『The News Masters TOKYO』の中でニュージーランドの女性首相が妊娠を発表。そのまま公務を続けて、出産後6週間のみ公務を休職すると発表したニュースについて話していました。


(小尾渚沙)では、気になるテーマにフォーカス。去年の10月に就任したニュージーランドの女性首相、ジャシンダ・アーダーン首相はパートナーとの間に第一子を妊娠していることを明らかにしました。出産予定日は6月で、出産後6週間は公務を休職する予定です。

(タケ小山)ということで、一国の首相が出産で公務を休職するというのは滅多にない例ですが。これ、この問題が出るということはモーリーさん、今朝はジェンダー問題ということですか?

(モーリー・ロバートソン)そうですね。やっぱりグラミー賞で白いバラをつけたりとか、あれはセクハラとか「#metoo」じゃないですか。これはこの番組でいろいろお話させていただいていて。それがどうも、欧米というかニュージーランドを含めた西側世界では、その「(男女間の)待遇そのものの格差を完全にイコールにしよう」という方向性が感じられますね。一国の総理大臣にあたる首相が妊娠を公表し、公務を休まない。そして出産の前後で6週間産休をとって、また公務に復帰するということ自体がすごいなという。

(タケ小山)これね……。

(モーリー・ロバートソン)日本ではそういうことがいつ起きるんだろう? みたいな(笑)。何十年後でしょうか?(笑)。

(タケ小山)まあ、日本に女性初の首相がまず生まれなきゃいけないし。

(モーリー・ロバートソン)そうそうそう。しかも30代とかでね。(ニュージーランド・ジャシンダ・アーダーン首相は1980年生まれの37才)。

ジャシンダ・アーダーン首相


(タケ小山)プラス、30代とか、お子さんを身ごもれる年齢で首相になるというところまで行くと……。

(モーリー・ロバートソン)少子化の日本でそれをどう考えるの?っていう。すごすぎて別世界のようで。

(タケ小山)この話ってたぶん、日本で起きるとしたら何年後ぐらいなんですか? すぐ起きる可能性もあるんですかね?

(モーリー・ロバートソン)いやー、どうなんだろう? いままで総理大臣になった人でいちばん若い人って誰でしたっけ? 田中角栄とかかな? 50代?(※最年少は伊藤博文の44才。戦後の最年少は第一次安倍政権の安倍晋三の52才)。

(タケ小山)角栄さんも……。

(モーリー・ロバートソン)ぐらいかな? とにかく、だいたい首相というのは若くても50代後半だったり、還暦前後だったりっていうイメージなんですよ。男性で。そこで、女性の総理大臣で30代で。で、「妊娠しました!(Instagram)」みたいな、そういうのってちょっと想像できないですよね?

(タケ小山)できない、できない。

(モーリー・ロバートソン)いま、ギャルの人が20年後っていう感じ? とか、そういうイメージなんですけど。すごいなって思ったんですけども、どうもこれってどっちかっていうと企業にとっては福利厚生みたいな領域ですよね。それがどんどん究極にまで完全な五分五分に、男女で押し進められているという動きが。

(タケ小山)そうか。モーリーさん、そっちに行くんだな。

(モーリー・ロバートソン)だから、「#metoo」っていうのはセクハラ(への抗議)だったんだけど、そもそも「#metoo」の問題のひとつに、そういう強制する性的行為だけじゃなくて、上司が男性で部下が……たとえば、映画監督が女優に仕事を振るか振らないかを、恋人になることと引き換えに。そこで、「なんで男性だけが監督で女性が(キャスティングを)お願いする側なの?」っていう、構造への疑問が「#metoo」から横滑りした形で派生して。最後はこれ、「やっぱり賃金の問題じゃない?」っていう話になってきているんですよ。

(タケ小山)まあ、そうでしょうね。だって仕事を勝ち取りました。その次はなにが来るって言ったら、同じぐらい給料はほしいっていうね。

(モーリー・ロバートソン)そうですね。だから話がどんどん前に進んでくると、そもそも女性は歴史的にずっと専業主婦だったりお母さんだったりしたのが、20世紀に職場に進出して。それでいまは完全に待遇を同じにするということは、「出産も含めて人格を肯定しなさい」ということになって。そういう準備が社会にあるのかどうかが問われているわけですね。

(タケ小山)そういうことだ。

企業に男女同一賃金証明書取得を義務付けるアイスランド

(モーリー・ロバートソン)たとえば、最先端を行っているヨーロッパの北の端っこにあるアイスランド。そこでは、男女の賃金同一に照明義務が今年から発生しました。義務付けです。違反企業は罰金。1日5万6千円払わされるの。それが嫌だったら、同一賃金の証明書取得をしなさいということなんですよ。

(タケ小山)これは……企業の雇用主の方にしたら、大変だよね。

(モーリー・ロバートソン)ですよね。だから、アイスランドがなんでそれをできたのか?っていうと、もう長い時間をかけてジワジワといわゆる男女の生産性をイコールにして、もう子育ての段階から男女に格差がないように国ごとがんばってきた証でもあるんですyね。

(タケ小山)へー!

(モーリー・ロバートソン)ところが、いまそれをいきなり日本でやりましょう。明日からやりましょう!ってことになると、たぶん企業として躊躇してしまうでしょう。「企業の役員の数も男女でイコールにしろ」ってなったら、「ええーっ、でもこれって女性だけに下駄を履かせるの? 経験が浅い人を『女性だから』っていう理由だけで、そういうポストにつけるとリスクがあるじゃん!」ってことになるわけですよね。

(タケ小山)なる。

(モーリー・ロバートソン)だから、それは長期的にしかこういうことはできないわけよ。それで、日本の繁栄モデルの60年代、70代とかの半導体とか家電とか自動車で日本がどんどん押していった時代を見ると、女性たちはパートさんが多かったんですよね。専業主婦のお母さん。ということは、収入は旦那が主軸で自分は副収入でやっているから、ちょっと気楽にレイオフしても別にストライキとかそういう話にはならない。それはアメリカではできないけど、日本ではできるということで、グワーッと(日本が)安くできる。だから、食い込んじゃったわけよね。

(タケ小山)そういうことか。

(モーリー・ロバートソン)雇用調整が可能ということが。アメリカは雇用調整が自動車業界とかはだんだんできなくなっちゃっている時代に、日本はそういう家電とかでガガン!って行ったから、それがジャパン・アズ・ナンバーワンというあの時代を生んだんだと思うんですよ。でも、それを逆に言うと、そもそも「定年まで働きたい」っていう女性がほとんどいなかった。ということが、意識の違いがあったわけ。ところがいま、それから40年ぐらいたって、一生、生涯働きたい女性が男性と同じぐらい出てきちゃったらどうなるの?っていうことなんですよね。

(タケ小山)モーリーさん、でもそれ、なるかな?

(モーリー・ロバートソン)わかんない。これはね、意識の問題だよね。文化もあるしね。で、やっぱり専業主婦がいい。ある年齢までは働くけど、結婚や出産に際して子育てに専念するということを選択する人もいるし、そのために国も子育て支援とか働き方改革を日本目線でやってきたわけですよね。

(タケ小山)だから僕は思うんだけど、このニュージーランドの女性首相が首相になった時に、どこまでの……まあ、日本語で言うと「責任感」っていうことになっちゃうけど。普通だったら欧米だったらレスポンシビリティーって、普通にこの職を得るためには、ある程度のものは犠牲にしているというのはかならずあるじゃないですか。

(モーリー・ロバートソン)そうそう。だからその通年を、彼女は打ち破っちゃったわけよ。で、問題はこういうこと。次の段階。これでお子様が生まれました。6週間後に復帰する。いい政治をやった。そしたらみんな、開いた口がふさがらないというか。「ああ、ヤバい。パラダイムが壊された!」ってことになって。その事例になって、今度は政治家だの世界の国際企業でどんどんどんどん「産休付きで現役のままがんばってください!」っていう風土になっちゃうわけですよ。それが日本にも押し寄せた時、日本社会はそれをどう吸収するのか?

(タケ小山)そうか……。

世界的な流れを日本社会はどう吸収するのか?

(モーリー・ロバートソン)そうですよね(笑)。ちょっとお互いに走り去った背中が見えなくなるぐらい遠くなっちゃっているんですけど。結構これ、日本で働いている女性やガンガンやっている人、すごく多いわけ。だからこの人たちにも「いずれは……」っていうチョイスを迫っているのがいまの状況。ところが、「いずれ」ではなくて、「一生お願いします!」ってニュージーランドは言っているわけですよ。これ、どうなるんだろうね?っていう。

(タケ小山)モーリーさん、いつもこれ、難しい問題を投げて、そのまま投げ捨てていくから!

(モーリー・ロバートソン)アハハハハッ! みんなに考えるきっかけをね、与えたいだけで。

(タケ小山)でも、そういう時代が来るんだと。

(モーリー・ロバートソン)だからたとえばだよ、東京大学。「○年後に男女の入学者を同じ数にするために……」って。アファーマティブ・アクションってアメリカであったじゃないですか。いろんなマイノリティーに対して、その人たちに下駄を履かせてでもある一定の数値を人口比でやるっていう。ところが、男女の人口比ってたしかいま女性の方が多いんですよね? だったら「東大入学者を女性51人に対して男性は50人にする」っていうことになる? で、それをいま受験している人……(センター試験で)ムーミン谷で怒っている人たちがいるんですよ? その問題で3点上がったか下がったかって。でもその人たち、「いや、それは置いておいて、なんと言っても国公立大学は51%は女性にします」って言われた日には、「うわーっ!」ですよね(笑)。

(タケ小山)でも、いま話しをしている内容っていうのはそういうロジックだもんね。

(モーリー・ロバートソン)そうやってでも。それは一時的にはコストはあるじゃないですか。学力は低かったのに、女性だというだけで入る人がいて、その反面泣いている男性が出る。ところが、それを何年かかけて続けて、こういう投資によって社会が吸収してよくなっていくという、こういう考え方なんですよね。

(タケ小山)わかりました……。一旦曲に行きましょう。

(モーリー・ロバートソン)そうですね(笑)。落ち着きましょう(笑)。

<書き起こしおわり>

ジェーン・スーとDJ JIN 青木真也を語る

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ジェーン・スーさんがJFN『Joint&Jam ~global dance traxx~』に出演。DJ JINさんと格闘家・青木真也さんについて話していました。



(DJ JIN)あなた、パーカーに「MMA」と書いてあったじゃないですか。「Mixed Martial Arts(総合格闘技)」っていうね。スーさ、そんな格闘技好きだったっけ?

(ジェーン・スー)ある時、突然来たんですよ。もともと31、2……だからいまから13、4年前の時に渋谷のボクシングジムに入ったの。運動ができない自分というのが嫌になって。とにかく運動不足で、体も大きくなっちゃったし。ちょっと運動しようと思ってジムに入って。

(DJ JIN)はい(笑)。

(ジェーン・スー)そしたら、私いわゆる球技とか団体とか、あと走ったりっていうのは全くダメだったんだけど、殴る能力っていうのは結構あったっていうのがわかって。

(DJ JIN)フハハハハッ!

(ジェーン・スー)「どうしよう? 殴るの、楽しい!」ってなって。でも、ご存知の通り、ボクシングなんて足ができてなきゃ殴ったところでどうにもならないんだけど。

(DJ JIN)そうね。下半身から力が生まれる。。

(ジェーン・スー)で、このタイミングからまずは私、女のキックボクシングの観戦っていうのに行っているんですよ。Jガールズが新宿FACEでちょうどやっていて。

(DJ JIN)女子キックボクシングの試合。はいはい。

(ジェーン・スー)田嶋はるさんとかがたぶん、いちばんトップだった時かな? その時に見に行って、女子キックが結構楽しくて。で、ただその当時は私って、キックと総合の違い、立ち技と寝技の違いもわからなかったの。で、キックボクシングを総合格闘技だと思っていたんですよ。リスナーの方ね、知らない方はたくさんいると思うんですけど、違うんですよ、それは。

(DJ JIN)違うんですね。そうですね。

(ジェーン・スー)各自、ウィキペディアで調べてください。

(DJ JIN)そうですね、はい(笑)。

(ジェーン・スー)それで、それを見た別の友だちが「じゃあ総合も見に行こうよ」って言って、DREAMに誘ってくれたんですよ。

(DJ JIN)ああ、総合格闘技の大会に。

PRIDEのいい時期を見逃してきた

(ジェーン・スー)私、惜しいのがPRIDEのいい時期を全部逃しているんですよ。PRIDEの時には全くハマッてなかったから。

(DJ JIN)ああ、そうか。2009年とか10年とかだと、もうそうですね。

(ジェーン・スー)大晦日になると大きな外国人がバーン!ってぶつかって、わかりやすくどっちかがバーン!って倒れるという、もうノックアウト最優先のPRIDEとか、「やれんのか!」的なものを見てさ、「あー、早く決着つけてよ」みたいな、そういう輩だったんですよ、私。

(DJ JIN)ああ、なるほど。寝技でネチネチやって……とかじゃなくて。

(ジェーン・スー)で、DREAMを見に行ったらライト級の青木真也選手っていうのがすこぶる面白くて。「なんだ、この性格の悪い人は!」って思って。

(DJ JIN)青木真也選手といえば、寝技でネチネチと言ったらあれだけども、寝技師ですよ。

(ジェーン・スー)いや、ネチネチですよ。性格もネチネチですから、もう。

(DJ JIN)アハハハハッ! そこらへんは、ねえ。

(ジェーン・スー)でも、スーパー強いんですわ。

(DJ JIN)そうですよ。僕も大好きな選手の1人です。

(ジェーン・スー)ただ、たしかに寝技中心だとバーン!って殴ってボーン!って倒れるみたいな派手さはないんだけど、でもやっぱりちょっとずつわかるようになってくると本当に面白い!ってなって。で、DREAMはあの時、行ける時は全部、さいたまスーパーアリーナに通っていたんですけども。

(DJ JIN)青木選手もほぼ毎大会出ていたぐらいでね。それで、やる側から見る方に、どんどんハマッていって、そして青木選手のことを知り。それで青木選手とも仕事とかでご一緒して?

(ジェーン・スー)そう。びっくりしちゃって。私は絶対にこっちに対する認知なんか、ないと思うじゃん? だから、青木さんの試合の時とかにTwitterで「青木、俺だーっ!」みたいなこととかずっと書いていたわけ。見られるわけないと思って(笑)。

(DJ JIN)ああ、SNSで?

SNSで書いていたら捕捉される

(ジェーン・スー)そう。Twitterで。「行け、青木!」とかやっていたら、普通に捕捉されちゃって。「見てくれてありがとうございます」とか言われちゃって。「これは襟を正さないと……」みたいな。そこから、雑誌KAMINOGEの編集の人がそれを見ていて。

(DJ JIN)ああ、プロレスとか格闘技とかを取り扱うコアな雑誌の。

(ジェーン・スー)で、KAMINOGEで青木さんと対談をするというわけのわからないことが起こって。

(DJ JIN)ああ、そんな企画が? へー! でも青木選手もね、かなり一筋縄ではいかなそうな性格の方だから。

(ジェーン・スー)行かない、行かない。この間、柔術で久しぶりに勝ったんですよ。

(DJ JIN)グラップリングの試合でね。

(ジェーン・スー)そうそう。4年半ぶりに負けた後、2回ぐらい負けていたんですけど、また勝って。行け行け! と。

(DJ JIN)もう青木選手もベテランの域だからね。でも、グラップリングのいちばん強い現場のところで勝利を上げて。自分も「よしっ! 青木、やった!」っていう。そういう格闘技の速報サイトをカチカチカチッ!ってリロードしまくりながら。

(ジェーン・スー)なんで私もONEとかのペイ・パー・ビューを家で買って見ているんだ?っていう。どんな人生だ?って思いながら(笑)。

(DJ JIN)これね、かなりいまジン・スー体制で狭いところを掘り下げていっていますけどもね。

(ジェーン・スー)そうそう。本当にすいません。

(DJ JIN)これ、あるの? ラジオとかでここまで格闘技の話をするの?

(ジェーン・スー)ないですよ。だって、格闘技……だからそこが難しいのよ。格闘技、アイドル、プロレス、このあたりはコアなファンがやっぱりすごい厳しいから。

(DJ JIN)そうそう。かつ、その広がりがまた……知らない人は本当に知らない。知っている人は本当に知っているみたいなね。

(ジェーン・スー)だからこれぐらい気心が知れていると、私が多少知識が抜けていようが、偏っていようが、別にそれで私のことを判断しないけど。やっぱりちょっとでも戦績とか間違えたら、すぐに警察来るじゃん? 「それは、間違っています!」みたいな。

(DJ JIN)そうそうそうそう(笑)。「○月○日に行われた大会、そこじゃありません!」みたいな。

(ジェーン・スー)そう。「それは名古屋じゃないです!」みたいなさ、あるじゃん。だから怖くて話せないんだよね。

<書き起こしおわり>

DJ JIN ECDとの思い出を語る

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DJ JINさんがJFN『Joint&Jam ~global dance traxx~』の中で亡くなったECDさんを追悼。ECDさんとの思い出を話していました。



(DJ JIN)毎週この時間は「DJ JINのヴァイナル・ギャラリー」と題して私の秘蔵レコードを紹介しています。先日、ヤフージャパンのトップニュースにも出ていたのでご存知の方も多いと思いますが、日本のヒップホップシーンで以前から活動を続けてきたラッパー、ECDさんがお亡くなりになりまして。享年57才だったんですけども。

(ジェーン・スー)若いよね。

(DJ JIN)本当にね、ここ数年はガンで闘病中なんていう、そういうことも知っていたんですけども。ついに、この日が来てしまったなということで。そのECDさんと言えば、本当に90年代の頃からライムスターと共にと言いますか、仲間と言いますか。まあ、先輩と言いますか。そんな存在だったので、ちょっとここで取り上げたいなという次第でございます。

(ジェーン・スー)はい。

(DJ JIN)ECDさん……我々は本名で「石田さん、石田さん」なんて呼んでいたわけですけども。そのECDさんが残したクラシックな楽曲。日本のヒップホップ史にその名を刻む『MASS 対 CORE』とかね。

サイプレス上野 日本語ラップ解説 ECD『MASS 対 CORE』
サイプレス上野さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の中で、日本語ラップ初心者の外山惠理さんに推薦曲を紹介。ECD『MASS 対 CORE feat.YOU THE ROCK★ & T...

(DJ JIN)あとは『ECDのロンリーガール』とかね。



(ジェーン・スー)うん。

(DJ JIN)そういった名曲があったりとか。あとはECDさん、石田さんといえば96年に
行われた日本のヒップホップが全国区となっていくきっかけになった一大イベント『さんぴんCAMP』を主催をしたりだとか。気骨の人というかね。やっぱりストロングスタイルな、そういった信念のある男だったなという印象がありまして。で、何年か前に東京・新木場のageHaっていう超巨大なクラブで石田さんとばったりお会いすることがあって。

(ジェーン・スー)おおっ!

(DJ JIN)で、その頃にリリースされたECDの『憧れのニューエラ』という曲があって。それ、自分は好きでよくかけていたから、「『憧れのニューエラ』がすっごい好きで、DJでめちゃめちゃかけてるんですよ」って。そしたら石田さんがね、ちょっとはにかんで。照れながら、「ああっ!」みたいな。「やっぱりシャイだな、石田さんだな~」なんてね。やることはすごい気骨あふれる、信念の男なんだけども、いざ会うとすごいシャイでっていうのが、ザ・ECDっていうかね。そういったことが思い出されるという。

(ジェーン・スー)うん。

(DJ JIN)ということで曲の方に行ってみましょう。ECDで『憧れのニューエラ』。

ECD『憧れのニューエラ』



(DJ JIN)お届けしたのはECDで『憧れのニューエラ』でした。

<書き起こしおわり>

渡辺志保とDJ YANATAKE Febbを追悼する

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渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で亡くなったFebbさんを追悼していました。


(渡辺志保)ちょっと最初に、私も一言述べたいなと思うニュースというか、訃報がありまして。先週の2月15日、本当に才能あふれるラッパーであり、ビートメイカーであり、なによりヒップホップを愛していた彼だと思うんですけれどももFebb a.k.a Young Mason。Febbくんが逝去されたという風に伺いまして。私もニュースを知った時に、ちょっともう信じられない思いでね、、当時のレーベルの担当者さんなんかにも連絡して、事情をうかがった背景なんかもあるんですけれども。何気に我々『INSIDE OUT』とFebbくんってすごい付き合いが長くて。

(DJ YANATAKE)そうなんだよね。

(渡辺志保)この番組がスタートしたばっかりの時、2012年の9月だったかな? 過去のメールを掘り起こしたんですけど、その時に既にもうFebbくん、実はこのスタジオに遊びに来てくれて。DJのプレイを披露してくれていたんですね。改めてちょっと、その時のセットリストなんかも残ってたから、見たんですけど。スタイルズ・Pとか、アクション・ブロンソンとかハリー・フロードと、本当にブレないな、なんて感じの。Febbくん、本当にもずっと2012年からFebbくんだったんだな! なんていうような感じの曲をかけてくれて。ちなみにその時、KID FRESINOくんと一緒にblock.fmの2012年、スタジオに遊びに来てくれていてですね。

その後、2013年に我々が初めてのageHaのアイランドのフロアで『ALL INSIDE OUT EVERYTHING』という、何回かイベントやってますけども、その第1回目の時もFebbくん、DJとして参加してくれてたんですよね。

(DJ YANATAKE)そうなんだよなー。

『INSIDE OUT』と縁の深いFebb

(渡辺志保)で、去年もGRADIS NICEさんと作ったアルバム『L.O.C -Talkin’ About Money-』のリリースのタイミングで昨年10月にも『INSIDE OUT』に出てくれてですね。なので、我々としても18になったばっかりくらいの頃からずっと、Febbくんの活動はもちろん見てきたし、応援してきたっていう立場でもありましたから。本当に今回の悲しいお知らせには驚いてしまったんですけれども。Febbくんのラップって、DJももちろん素晴らしい。ビートメイクも素晴らしいし、ラップに関しても言葉にしてしまうとすごい陳腐なんですが、本当に胸に突き刺さるようなリリック言うか。もう1ライン1ラインがすごく研ぎ澄まされていて、やっぱいまだにね、『The Season』とか、Fla$hBackSの作品聞いても、ハッと胸を鷲掴みにされるような瞬間、いくつもありますし。

去年、『INSIDE OUT』に出てくれた時も、放送終了後にちょっといろいろとお話もうかかって。その時も、「いま、こういうビートを作ってるんですよ」とか、「これからこういう風にしたいことがあって」っていうような、本当にいろんな話をしてくれてですね。なので、私も本当にこれからの活動・活躍が非常に楽しみでしたし。本当に何気ない連絡なんかをポロッとくれたりとか。で、そもそも『INSIDE OUT』に出るっていうのもですね、去年夏ぐらいのタイミングで「いま、新作用意してるので、ラジオに出させてください」みたいな連絡を本人から受けたってこともありましたし。これからずっとね、そういう付き合いというか、アーティストとして、ラッパーとして、活動・活躍を楽しみにしてたところでのこの知らせということで。非常に……繰り返しになりますけど、びっくりしたし。うん……悲しい気持ち。

(DJ YANATAKE)まあ、そうだよな。

(渡辺志保)っていうか、悲しさが結構受け止められなかったっていうか。本当に繰り返しますけど、やっぱり10代の頃から見ていて。で、そんな彼が24才という若さでこの世を去ってしまったって、結構……うん。なんか悲しみ。すっごいポッカリと穴が空くじゃないですけども。

(DJ YANATAKE)『INSIDE OUT』のいちばん最初のイベントの時にさ、俺もFebbに出てもらってさ。で、俺も仕切ってやっているわけじゃん。で、クッソ生意気でさ。ドリンクチケットをさ、人数も多かったから2枚あげたらさ、あげた時に「なんだよ、2枚かよ!」みたいなさ(笑)。

(渡辺志保)アハハハハッ! そうね(笑)。

(DJ YANATAKE)「なんだよ、このクソガキは!」とか思っていたんだけど。でもなんか、その後ものいろんなクラブとかで会ったりすると、向こうから俺を見つけてきてくれたりしてさ。「ヤナタケさーん!」とかって来てくれて、挨拶してくれたりとかさ。「俺、ちょっとまたいいのできたんで。ラジオ、出させてください!」とか言ってきたりとか。なんかDMでたまに相談が来たりとか。そういうのもしていたし。結構『INSIDE OUT』的にはいろいろFebbにも世話になったし。

(渡辺志保)そうね。

(DJ YANATAKE)俺、あと先週の土曜日に戦極MCBATTLEっていう、Zeppの……結構俺がいま出れるイベントではいちばんデカいイベントっていうか。そこでDJをやらせてもらって。オープニングで1時間もやらせてもらったんだけど。2500人とか満パンのところで、一応いちばん最後にいまバックでかけているFla$hBackSの『Cowboy』とかもかけさせてもらって。

Fla$hBackS『Cowboy』



本当に、大勢の前でFebbの曲をかけれてよかったな、なんていう風に自分的には思ったんですけどね。

(渡辺志保)そうですね。ちょっと私もその知らせを聞いたタイミングで、たとえばTwitterに書き込んだり、Instagramにポストしたりっていうのを、「1回投稿して消す」みたいなことを2回ぐらいやってしまったんですけど。本当にFebbくんは初期からこの『INSIDE OUT』に出てくれたということもあって、やっぱちょっとこの『INSIDE OUT』で自分の、しゃべりながら言葉にしたいなと思って。あまりTwitterとかでも触れてこなかったところもあるんですけども。でも、本当にご冥福を祈るとともに、でも今後もFebbくんの作品、残した作品がたくさんたくさんたくさんあると思いますので。ファンとしてはね、そっちもまだまだ楽しみに。彼の才能に触れることを楽しみに、日々過ごしていきたいなと思います。っていう感じでFebbくん、本当にいままでお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいという感じです。

<書き起こしおわり>

渡辺志保 ドレイクが『God’s Plan』ビデオをマイアミで撮影した意味を語る

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渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でドレイクがマイアミで約1億円以上を恵まれない人々に大盤振る舞いしたビデオ『God’s Plan』についてトーク。なぜドレイクはマイアミを選んだのか? などについて話していました。

(渡辺志保)というわけで、そんないろんなことが起こるヒップホップシーンですけれども、本当にアメリカやカナダでも大きなことが起こっておりますという感じで。いま、バックにかかってますけども、この曲自体は1月初旬にもう発表されてましたけど。ドレイクの『God’s Plan』という曲ですね。「神の計画」っていう仰々しいタイトルですけども。で、そのミュージックビデオが先週発表になりまして。

(DJ YANATAKE)なあ!

(渡辺志保)これがまたね、超いま話題を呼んでる。どういう内容かというと、最初に「俺たちはこのビデオのために約100万ドル、バラまきました。レーベルには言わないでください」っていうクレジットから始まるんですけど。日本円にすると、約1億円ですかね。それをドレイクがバラまばらまくんですよ。どこにバラまくか?っていうと、マイアミなんですね。フロリダ州マイアミなんだけど。そこで、たとえば性的な暴力を受けて行き場を失っている女性が泊まってるシェルターとか、そういうホームレスになってしまった子供を集めてる、その子供たちのためのシェルターとか。あとは高校。地元の高校に行ったりとか、ストラグルしてる女の子に奨学金を渡しに行ったりとか。


恵まれない家族のところに巨額のお金をバンッと持って行ったりとかっていう本当にドネイト。寄付・チャリティーの精神でお金をバラまいてる。


小さいスーパーマーケットみたいなところに入って、拡声器で「お前ら、今日俺が全部払うから何でも持っていけ!」みたいな感じで大盤振る舞いしたり。


なんかすごいなと思うのは、ドレイクってめっちゃヘイターもいるじゃないですか。なんだけども、ここまで100%善意みたいなことをこれだけの規模でできちゃうのがすごいなーと思っていて。

で、マイアミの地元の報道機関が記事にしていたんですけど、これって一歩間違えるとドレイクが、マイアミは自分の全く縁もゆかりもない土地だから、「ドレイクがマイアミのちょっと貧しい部分とかドラマティックな部分だけを搾取した」とも捉えられかねないのに、でもそれを恐れずに、かつ本当にちょっとハートウォーミングというかポジティブなバイブスだけを残して、こういう映像作品にしたり、実際に行動を起こしたドレイクはすごいっていうようなことを書いていたりとか。

(DJ YANATAKE)うん。

(渡辺志保)あと、なんでマイアミか?っていうと、ひとつ『W Magazine』っていうのWebメディアがあるんですけど、そこでちょっと論じられていたのは、もともと2ライブ・クルーのルーク。彼が2011年ぐらいに、「リル・ウェインとかドレイクとかDJキャレドはマイアミにてパーティー、パーティーするばっかりで本当の、マイアミの光と影があったら影の部分は全然ケアしない」みたいなことを苦言を呈したことがあって。それに対するアンサーなんじゃないのか?っていう論考もあると。まあ、たしかにそうかもなと。

マイアミ=パーティーなイメージが、映画『スプリング・ブレイカーズ』とかもありますけども。そういうイメージがたぶん世間一般的には強くて。でも、本当はたとえば映画『ムーンライト』で描かれていたようなゲットーの暮らしがあったりとか。あと、貧困率もすごい高いとか、賃金の差が第三世界の国レベルぐらいまで開いてしまっているという記事を私も見まして。そういったところに対するドレイクの善意の……「パフォーマンス」って言ったら失礼ですけども、そういうアクションだった。

かつ、ソーシャルメディアとかSNSでもネガティビティーとかディスばっかり、そういったところの方が、炎上しやすいからワーッて燃えちゃうんですけども。そうじゃなくて、彼のようにすることは難しいですけども、ポジティブバイブスをとにかく撒き散らすみたいなことが、改めて重要だなという風に思った次第です。というわけで、まだ未見の方はこの『God’s Plan』のミュージックビデオもすごい話題になっていますので。それと合わせてぜひ聞いてほしいなと思います。

(DJ YANATAKE)なんか、スーパーマーケットで「買っていいよ!」みたいなところだけを茶化している感じとかが記事になっていたりするけど、そういうのはどうでもいいっていうか。

(渡辺志保)そうそう。しかも、ちょっとホロリと泣けてくるところもあったりとか。やっぱりすごいなと思うのは、奨学金をもらった女の子とか、いきなり道端で札束をもらったお母さんとかもちゃんとSNS上、Instagramとかでも「今日は本当に忘れられない日になりました。ドレイク、ありがとう!」っていうのを、100%感謝の気持ちをちゃんとSNSでもギブ・バックっていうか、自分たちも示しているというそういうストーリーもありますので。本当にすごいなと思います。

This happened today. I applied to scholarships last year for which I had to write an essay. I received those scholarships and thought that was the end of it. Apparently, my essay and my story made it to other departments. I was contacted this weekend about doing a video speaking about where I come from, things I've been through, and why it is so important for scholarship donors to continue to donate. This was the surprise the whole time. Drake told me that he has read great things about me and appreciates how hard I've worked through so many trials and decided to give me $50K for my tuition. @champagnepapi THANK YOU SO MUCH!!' You don't understand what this means to me! I would've never imagined this happening to me. I'm just a girl from Denmark, SC that wants to MAKE IT and be somebody and for you to see my hard work means the world. Thank you so much. God I thank you. You are so great and amazing! Thank you for blessing me when I thought my hard work was going unnoticed. I'm living out my dreams. God's Plan ????

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というわけで、今日のオープニンチューンを聞いてください。ドレイクで『God’s Plan』。

Drake『God’s Plan』



(渡辺志保)いまお聞きいただいているのは巨額の寄付を投じたというドレイクのミュージックビデオも話題の『God’s Plan』でした。

<書き起こしおわり>

町山智浩 映画『ブラックパンサー』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でマーベル映画『ブラックパンサー』について話していました。


(町山智浩)今日は『ブラックパンサー』という映画を紹介します。これ、もうアメリカでは大変なことになっています。



(町山智浩)はい。音楽、どんな感じですか?

(山里亮太)『ライオンキング』とかが始まりそうな……。

(海保知里)うんうん。そう!

(町山智浩)その通り! これ、『ブラックパンサー』って『ライオンキング』のスーパーヒーローなんですよ。

(山里亮太)えっ? 本当にそうなんですか?

(町山智浩)全くそうです。はい。説明をしますと、ブラックパンサーっていうのは1966年に生まれたコミック史上初の黒人スーパーヒーローなんですね。これはマーベル・コミックというアベンジャーズやアイアンマンとか、あのシリーズから出てきたものなんですけども。今回はそのブラックパンサーが主人公なんですが。これ、音楽はアフリカの音楽ですよね?

(山里亮太)ああ、はいはい。そうですね。感じがそう。

(町山智浩)これね、ブラックパンサーっていうのはアフリカの王様なんです。話の始まりのところではまだ王子様なんですけど、王様が亡くなったんで王様を継承するんですね。で、アフリカにワカンダという架空の国があることになっていまして。そこの王様です。このワカンダという国はアフリカの中でも最も真ん中らへんにあって、最も貧乏で資源も産業も何もない国だと思われているんですよ。

(山里亮太)はいはい。


(町山智浩)ところが実は、ヴィブラニウムという宇宙から来た非常に特殊な物質があって。それによって実はものすごい科学力と資源を持っているんですよ。そのヴィブラニウムというのはダイヤモンドみたいに硬くて。しかもウランみたいにものすごいエネルギーを出すんですよ。だけど、それがわかると白人たちの国に侵略をされてしまうので、500年間それを隠していたんです。

(山里亮太)なるほど。ふんふん。

(町山智浩)壁みたいなものを作って、バリアみたいなものを作って、そこで豊かに暮らしていたんですけども、その王様がブラックパンサーというヴィブラニウムを使ったスーツを着て……つまり、ヴィブラニウムというのは世界一硬い物質なので、どんなものも貫通できないんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)それを着て、あと特殊な薬を飲んで体を強化してスーパーヒーローになったブラックパンサーが、そのワカンダという国を守るために戦うという話なんですよ。で、さっき「ライオンキングみたい」って言ったのは、王様の話だからなんですけども。

(山里亮太)王様。キングつながりで。

(町山智浩)そうなんです。本当に王様なんですけど。ただ、このヴィブラニウムというのはものすごいエネルギーを持っていて、彼らの国は地球でいちばん科学が発達している国なんですよ。そこで、ヴィブラニウムとかを使った新兵器をいろいろと使って、いろんなスパイ戦をするという『007』のジェームズ・ボンドみたいにもなっています。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だからスーパーヒーロー物+007+ライオンキングなんですよ。

(山里亮太)フフフ(笑)。贅沢だな! まとまるのかな、これ?

スーパーヒーロー物+007+ライオンキング

Hero. Legend. King. #BlackPanther

Black Pantherさん(@blackpanther)がシェアした投稿 –


(町山智浩)そう。全部盛りなんで、これは結構行くっていうことはわかるんですけども。ただひとつ、すごいのはアフリカの民族的なデザインを元にしたスーパーハイテクマシーンとスーパーハイテク都市のデザインなんですよ。

(山里亮太)アフリカ? イメージがあまりわかないですね。

(町山智浩)あのね、これはたとえば昔、『ブレードランナー』っていう映画があったんですね。それは、アジア的な、日本とか韓国とか中国みたいな文化をそのまま、未来に持っていったようなデザインで。具体的に言うと、上海とかソウルとか東京のハイテクイメージから作られた未来の世界っていうのが『ブレードランナー』で描かれた世界なんですね。それは、いわゆる「アジアン・フューチャリズム(アジア的未来像)」と言われるものなんですね。

(海保知里)はいはい。

(町山智浩)ところが、今回の『ブラックパンサー』はたぶん映画史上はじめて、アフリカ的未来像を出したSF映画なんですよ。これをね、「アフロ・フューチャリズム」といま、呼んでいます。

(海保知里)アフロ・フューチャリズム。ふーん!

アフロ・フューチャリズム


(町山智浩)だから、ものすごいハイテクマシーンなんだけども、アフリカの独特の装飾が入っているんですよ。で、服のデザインとかもアフリカってほら、どんなに貧しいところでも、女性がすごいきれいな服を着ているじゃないですか。きれいに染めた。あのセンスなんですよ。だから、ツルンツルンのマシーンじゃなくて、みんなすっごくおしゃれなんですよ。いろんな模様とかが入っていて。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)で、センスがアフリカの民族芸術みたいなセンスになっているんですけど。これはものすごく事実にある程度基いていて。まず、アフリカって中世はヨーロッパよりも科学とか文明は発展していたんですよ。先に行っていたんです。特に、医学であるとか薬学であるとか数学とかはヨーロッパよりも進んでいたんですね。科学は。で、実際にアフリカが地中海を侵略していたんです。だから、シチリアとかスペインはアフリカの占領地だったんですよ。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)で、その後に逆転して、逆に白人に攻め込まれちゃったんですけども。で、攻め込まれた時になにがいちばん問題だったか?っていうと、彼ら白人の目的って地下資源だったんです。ダイヤモンドと金、銀が目的で。ベルギーやオランダとかがアフリカに侵略していったんですよ。だからこの『ブラックパンサー』のワカンダっていう国に地下資源があって……っていうのは現実の歴史を反映しているんですよ。だって、ヴィブラニウムはダイヤモンドみたいな鉱物ですから。しかも、その後はアフリカで石油が出るようになったんですね。で、いまはウランとかも出ていますけど。そういった地下資源は全て金もダイヤモンドも、白人によって搾取されることでアフリカってずっと貧しかったんですね。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)採掘権というのは実は土地の権利とは別になっているんですよ。彼ら、白人は採掘権を持っちゃったんで、アフリカから出る富を全部奪っていったんですね。だから、このワカンダは「それを奪われなかった国があったんだ」という想定のもとで……「もし、白人たちに奪われなかったら、アフリカはこんなに進んでいて、こんなに豊かだったはずなんだ!」っていう話なんですよ。

(山里亮太)なるほど!

(海保知里)へー!

(町山智浩)500年の復讐のような話なんです。しかも、現実に最近ここ20年ぐらい、アフリカは地下資源を自分たちのものにしていったんですよね。国際法廷に訴えたり、法的な手段を取ったり、政治的な手段によっていままで白人や英米の企業に横取りされていた地下資源の権利を全部、アフリカの国が取り返したんですよ。だから、アフリカはいますごく豊かになっているし、安倍さんもそうですけど世界中、中国とかがアフリカに行って外交をしなければならないようになったんですね。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)特にナイジェリアはすごくて。ナイジェリアは地下資源、特に石油がすごくて。そのお金を学校につぎ込んでいったんですよ。で、公立大学でハイテクを教えていったんですよ。ところが、卒業をした後に就職先がないもんで、ナイジェリアではみんなハッカーになっちゃったんですけどね(笑)。

(山里・海保)ええーっ!

(町山智浩)ナイジェリア・ハッカーって大変な問題になったんですけども。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)ただ、いまはだいぶよくなって。ナイジェリアはいまGDPが世界第20位ですからね。先進国ですよ、だからはっきり言って。で、いままで問題だった飢餓問題とかもハイテクによって、要するに農産物を工業的に作るということで解決していっているんですよ。僕は実は、ナイジェリアで、ロンドンでいろんな資金を集めているダニエルさんという人と友達になって話したんですけど。彼の家に行くと、もうすごいわけですよ。大金持ちで。で、自家用ジェットのカタログとか、そんなのを読んでいるんですよ。

(山里亮太)ええーっ! 大富豪……。

(町山智浩)そういう現状も反映しているのが今回の『ブラックパンサー』なんですね。だからその、ハイテクなアフリカの未来を見せていくということと、あともうひとつ、すごく大きいのは「ブラックパンサー」というのはすごく政治的に非常に重要な名前なんですよ。「黒い豹」っていう意味なんですけども、この映画は僕が住んでいる街、バークレーというのとオークランドというのは隣同士の街になるんですけど。そのオークランドから始まるんです、この映画は。

(海保知里)そうなんですか。

(町山智浩)1992年のオークランドから始まるんですけど、オークランドというのは人口の30%ぐらいがアフリカ系の人たちで。しかも、ほとんどが貧しくて。ギャングが多くて、全米でも第5位とか第3位とか、そのぐらいになるぐらい、ギャング同士の銃撃戦が多い街なんですよ。

町山智浩 アメリカ・オークランド大規模火災とその背景を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で地元オークランドの倉庫で起きた大規模火災についてトーク。その火災の背景にあるカリフォルニアのジェントリフィケーションについて話していま...

(山里亮太)ふーん!

(町山智浩)うちの近所なんですけども。そこから話が始まるんですね。で、このブラックパンサーには2つの意味があるんですよ。これ、監督のライアン・クーグラーという人はここの出身なんです。彼は、僕の家の裏にあるカトリックの高校を卒業しているんですが。この人、最初に注目された映画がオークランドのフルートベールという駅で白人の警官が黒人の若者を何の意味もなく射殺した実話を描いた『フルートベール駅で』という映画なんですね。ライアン・クーグラー監督は。

(山里亮太)ふーん!

(町山智浩)だから、オークランドから出てきた黒人の監督で、今回『ブラックパンサー』もそこから話を始めているので。僕はオークランドの映画館で見ましたから。

(海保知里)ああ、そうなんだ(笑)。

(町山智浩)そう。「オークランド」って出た瞬間にみんな「うおおおおおーっ!」って。

(山里亮太)「あそこだ! あそこだ!」って。

(町山智浩)っていう感じでしたよ。「おおっ、地元!」みたいな(笑)。で、もうひとつはただ地元出身だから地元にオマージュしただけじゃなくて、ブラックパンサーっていうのは実在の政治組織だったんですよ。

(山里亮太)あ、その名前だったんですか?

(町山智浩)そうなんです。「ブラックパンサー党」という政党みたいなものがあって、それはオークランドから発生しているんですよ。で、もともとブラックパンサーというヒーローが漫画にはじめて登場したのは1966年なんですけども。ブラックパンサー党も全く同じ1966年に、ほとんど同時に発生しているんですよ。

(山里亮太)おおっ! えっ、偶然じゃないんですか?

(町山智浩)これはね、どっちが先かいまでもちょっとわからないんですけど。ブラックパンサー党というのはちょっと過激な組織で。銃で黒人たちが武装することによって、警官たちの無意味な暴力から黒人を守るんだという自衛組織なんですよ。

(海保知里)へー!

(町山智浩)自警団なんですよ。写真がそこにあるかと思うんですけども。そこでまあ、ブラックパンサーのリーダーがアフリカ式の玉座に座っている写真がそっちにあるかな?

(海保知里)ちょっとないですね。

(町山智浩)ライフルを持って、ベレーをかぶってブラックパンサーのリーダーが座っている写真っていうのは、今回の『ブラックパンサー』で王座に座っているブラックパンサーの写真の姿で真似されているんですよ。

ブラックパンサー党


(山里亮太)へー!

(町山智浩)で、ブラックパンサーが出てきた背景というのは、1965年にキング牧師がとうとうずっと100年間禁じられていたアフリカ系の黒人の投票権を取り返して、とうとう投票権を得たのが1965年なんですね。で、その時に、マーベル・コミックスを描いていたスタン・リーという人が「あっ、黒人のスーパーヒーローがいないじゃないか! 白人ばっかりじゃないか! おかしいぞ」っていうことで、黒人ヒーローのブラックパンサーを生み出したんですけども、政治政党の方のブラックパンサーは「これからはブラックパワーなんだ! 我々はいままで非暴力でキング牧師が戦ってきたけども、警官の暴力があまりにもひどいから、暴力には暴力で対抗しなければいけないんだ!」っていうことで、銃を取ったんですよ。

(海保知里)へー!

(町山智浩)だから、キング牧師が穏健派だと、ブラックパンサーは過激派なんですね。これが面白いのは、『X-MEN』っていうのは全くそういう話で。その頃、同時に描かれていたスタン・リーのマーベル・コミックは、『X-MEN』というのはミュータントの権利を守る穏健派とミュータントが権利を守るためには旧人類と戦わなければいけないんだという過激派との戦いとして描いていたんですけども。それはその当時にあった黒人の人権運動の穏健派と過激派の戦いを反映させているんですよ。『X-MEN』は。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だからものすごく政治的な背景があるんですよ。『ブラックパンサー』って。で、その部分を今回の『ブラックパンサー』という映画は全部盛りしているんです!

(海保知里)ええーっ?

(山里亮太)全部盛り!

(町山智浩)全部盛りにしてますよ。これ、すごいなと思って。

(山里亮太)ゴチャゴチャってなってないんですか? ちゃんときれいに盛り付けできているんですか?

(町山智浩)これはね、一瞬だけ通りすぎるようなところもあるんで、あとで解説すると分かるところもあるんですけど。ただ、映画としての『007』みたいな面白さと『ライオンキング』みたいなところにさっき言った政治的なアフリカの500年の歴史と、アメリカの1966年からのオークランドを中心とした黒人の人権運動とが全部入っているんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)これはすごいなと思って。しかも、さっきアフロ・フューチャリズムといったアフリカ的なデザインは全部本当にアフリカ系の女性たちがデザインしているんです。

(海保知里)へー! そこまでこだわっているんですね。

(町山智浩)美術監督とか衣装監督とか、全部アフリカ系の女性なんですよ。で、監督もそうなんですけど、うちの近所の黒人の若者なんですよ。だから完全にアフリカ系の人による物語なんですよ。全部作っているんです。絵も全部、スタッフが。撮影だけは白人なんですが、撮影監督も女性(レイチェル・モリソン)なんですよ。

(海保知里)へー!

(町山智浩)だからいままで横にやられてあんまり仕事をもらえなかった人たちが全員、これに参加して大成功しているんですね。で、さっき言った監督は男性なんですけど、周りを女性で固めているというところがポイントなんですね。美術監督とか。これね、ブラックパンサーって王子様なんでね、ちょっと甘やかされているんですよ。

(海保知里)あれ? 坊っちゃん?

製作陣を女性で固めている理由

(町山智浩)そう。ティ・チャラっていう名前のお坊ちゃんです。だって、超お金持ちの国でチヤホヤされて育ったものだから、スパイとして韓国の釜山に行くっていうシーンがあるんですけど、ゾロゾロお付きがついてくるんですよ(笑)。

(山里亮太)スパイなのに(笑)。

(町山智浩)でも、王様だから。スパイだけど。で、恋人がナキアっていう、ウォードッグというワカンダのCIAみたいなスパイ組織があって、そこの女スパイがついていくし。

(町山智浩)で、007みたいに新兵器をたくさん持っているんですね。秘密兵器をいっぱい。で、それを開発するのはシュリちゃんっていう名前の天才発明少女の妹なんですよ。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、さらに、それにガードマンというか近衛兵として、ものすごい強い女兵士がついてくるんですね。オコエっていう女兵士なんですけど、槍1本で自動車だろうとどんなマシンガンを持っている敵だろうと、全部倒しちゃうっていうものすごい強い女兵士オコエっていうのが出てくるですけど……この人が強すぎるんですよ! ほとんどブラックパンサーがいなくてもいいですよ(笑)。


(山里・海保)ええーっ!

(町山智浩)で、ブラックパンサーはさっき言ったみたいにヴィブラニウムのスーパースーツと特殊な薬物を飲んではじめて強くなっているんですけど、このオコエっていう女戦士は何も使わないでめちゃくちゃ強いんで(笑)。

(山里亮太)じゃあ、もうオコエがスーツ着ればいいのに(笑)。

(町山智浩)そう。この人ね、いますごくアメリカで大人気の『ウォーキング・デッド』というTVシリーズで女侍を演じているダナイ・グリラさんっていう人がやっていて。


(山里亮太)ああーっ!

(町山智浩)日本刀で斬りまくる人。

(海保知里)ああ、あの人だ!

(町山智浩)あの人がこのオコエを演じているので、この人1人でいいんじゃね?っていう感じなんですけども。

(海保知里)『ウォーキング・デッド』でも超強いじゃないですか!

(町山智浩)そう。すっげー強いんです。ちなみにこの人はナミビアの人なんですけど、実はニューヨーク大学で修士をとっているインテリなんですけどね。はい。

(海保知里)すごいです。そんな方だったんですね。

(町山智浩)あのね、ルピタ・ニョンゴっていう女優さんもね、実はお姫様みたいな人で。この人はケニアの大学教授で政治家のお嬢さんなんですよ。オタクなんですけども(笑)。



(山里亮太)ああ、そうなんですか?

(町山智浩)そういう人たちが集まって、王子様をみんなでチヤホヤするっていうね(笑)。「甘やかされてんじゃねえの?」って思ってちょっとイラッとくるところがチラッとあるんですけども(笑)。

(山里・海保)アハハハハッ!

(町山智浩)それともうひとつは、なんでこんなに金持ちなのか?って。要するに、資源を独占しているから。でも、アフリカの人たちは世界中に移民したりして。アメリカにもいますけども、かなり多くの人たちが昔、簒奪された後遺症で非常に貧しく、差別に苦しんでいるじゃないですか。それなのに、彼らがワカンダで富を独占しているのはおかしいと思いませんか?

(山里亮太)そうですね。

(町山智浩)自分たちだけが良ければいいのかよ?って問題があるじゃないですか。その2つの疑問があるわけですよ。「これ、王子様が甘やかされていない?」っていうのと、「ワカンダは自分たちだけが良ければいいのか?」問題があるんですよ。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)これもに、ちゃんと答えを出すんです。この映画は。そのワカンダの王子・ブラックパンサーに立ち向かう、いちばん強い敵っていうのはキルモンガーっていう……まあ、「キルモンガー」っていうのは「殺しまくり屋」みたいな名前なんですけども、そう呼ばれているエリックという若者が出てくるんですね。彼は、オークランド出身の貧しい黒人なんですよ。

(山里亮太)ああーっ!

(町山智浩)で、ものすごく苦労して勉強して、貧困のどん底の中から軍隊に入って。で、ネイビーシールズに入って、アフガンとイラクでものすごい戦闘を体験して。で、奨学金でマサチューセッツ工科大学を出たというですね。

(海保知里)すごいじゃないですか!

(町山智浩)そう。ブラックパンサーと全く逆の、どん底から一生懸命勉強して戦って、勝ち抜いてのし上がってきた男がブラックパンサーに立ち向かうという話なんですよ。


(山里亮太)どっちかって言うと、そっちの方がいい者な感じが……。

(町山智浩)そっちを応援しますよ。やっぱりどう考えても(笑)。

(山里亮太)応援しちゃいますよ。キルモンガーを。

(町山智浩)そう(笑)。ねえ。っていう話が全部盛り込んであるというね。すごいですよ。だからそれこそアフリカの人たちは資源を簒奪されただけじゃなくて、奴隷としてさらわれていったわけですね。誘拐されて。そこもちゃんと押さえてます。この『ブラックパンサー』は。これ、すごいですよ! ちょっとこれは深すぎる。で、しかも、めちゃくちゃ面白いですよ。

(山里亮太)うわーっ、見よう! 再来週ぐらいでしょ?

(海保知里)そうですね。

(町山智浩)3月1日です。日本の観客にはルピタ・ニョンゴちゃんみたいなロリ系の女の子が人気出ると思いますけど、僕はなんと言ってもオコエさんですね!

(山里亮太)僕もオコエ見たいな! そうか!

(町山智浩)すごいですよ!

(山里亮太)めちゃくちゃ強い?

(町山智浩)めちゃくちゃ強くて、他にいらないんじゃないか?って思いましたけど(笑)。


(山里亮太)フハハハハッ!

(町山智浩)ただ、これはライオンキングなんで。王子の成長物語なんですよね。

(山里亮太)はー、なるほど。そこにライオンキング要素が。

(町山智浩)そうなんですよ。はい。というところでね、まあすごかったですね。もうぜひ見ていただきたいと思います。3月1日公開です!

(海保知里)楽しみですね!

(山里亮太)そうか。マーベルっぽいところももちろんありながら。

(海保知里)そしてライオンキング要素も忘れずに。そして、先ほどのアフロ・フューチャリズムね。ぜひぜひ注目ということで。

(町山智浩)盛り盛りでした。

(海保知里)今日はマーベル・スタジオ最新作『ブラックパンサー』を紹介していただきました。そして町山さん、来週スタジオに、それも早めに登場していただけるということで。よろしくお願いいたします。

(町山智浩)よろしくお願いします。

(山里亮太)町山さん、なんでも言っていいそうです。

(町山智浩)ああ、そうですか? でも、ほとんど放送できなくなりますよ(笑)。

(山里亮太)アハハハハッ! 「覚悟の上」だそうです(笑)。

(町山智浩)ああ、本当に? すげーな! じゃあ、俺も行くぞ!

(山里・海保)フハハハハッ!

(山里亮太)お待ちしております、町山さん!

(海保知里)ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした!

<書き起こしおわり>

プチ鹿島 映画『パディントン2』を語る

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プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、映画『パディントン2』についてトーク。『パディントン2』をはじめとする最近の映画に共通して見られるテーマ性について話していました。


(プチ鹿島)いい天気というかあったかい天気で逆に思い出したんですけど、先月、東京でも雪が降った時、あるじゃないですか。

(塩澤未佳子)ありましたね。

(プチ鹿島)あの日、僕は午後からが仕事だったんですよ。で、午前中は普段だったら子供も公園とか行っているんですけど。まあ雪が積もって晴れたら外に遊びに行こうねって。で、まだ降っている時は自宅の中で遊んでいようかっていう日だったんです。で、「どうしようか? お昼まで、どう時間を潰そうかな?」っていう時に、「『パディントン』っていう映画を見たい」って言ったんです。

(塩澤未佳子)ああーっ!

(プチ鹿島)先月ですから、ちょうどいま『パディントン2』っていうのがやっていて。その予告がよくCMで流れていてね。熊のね。で、それが3才ですから気になっちゃって。いま、よくしたものでAmazonとかでも見れるんですよね。あれね。で、自宅で子供の付き合いで午前中に見ていたんですよ。そしたら『パディントン』、面白くてね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)僕、恥ずかしながら今年になってはじめて『パディントン』を見たんですよ。あれ、2014年に作られた映画で、日本にも2015年とかそのぐらいに公開されてヒットされたんですけど。それが面白くて。「じゃあ俺、『パディントン2』も見に行こうかな?」って思って。子供だとまだ、『パディントン2』の映画館に3才の娘を連れて行くっていうのはなかなかね。『アンパンマン』とかと違って。あれだったら子供とかしかいないから。で、こっそり先週『キックス』が終わった後に見に行ったんです。

(塩澤未佳子)ああ、行ったんですね。

(プチ鹿島)『パディントン2』、これがまたいい映画だったんですよ! これ、ご存知ない方に説明しますと、熊がペルーのジャングルから、おじさんおばさんに育ててもらって、1人で憧れのロンドンにやってくるんですよ。で、人間の言葉は話せるという、そこは物語上人間の言葉は話せるんですが、そうは言ってもはじめて来る土地じゃないですか。だから最初は苦労してね。で、当然周りも最初からかわいがってくれる人もいれば、「なんだよ、こいつ?」みたいな。だって熊ですから。

(塩澤未佳子)そうそう(笑)。

(プチ鹿島)不審がられたり、ちょっと冷たくされるんですよね。でも、このパディントン……ちなみに「パディントン」っていうのはロンドンでお世話になる家族と出会った駅の名前なんですよ。だから別に日本だったら「甲府」でもいいんですよね。「甲府の熊」だとリアルすぎる感じですけども(笑)。

(塩澤未佳子)アハハハハッ!

(プチ鹿島)まあ、駅名からつけたんです。で、家族と生活を続けるんですけども。コミュニティーというかご近所とも仲良くなり、でも1人、2人は「なんだよ、お前!」みたいなのもいたり。でも、このパディントンという熊がとにかく礼儀正しくてね。誰にでも親切にするんですよ。で、そうやっていって、周りに受け入れられるっていう、それがパート1だったんです。さらにパート2。そのままイギリスでね、ホームステイ先の家族と一緒にのんびり楽しく生活をしているんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)もうオープニングの風景だけでも僕、お金を払う価値があると思って。というのは朝、出勤するんですけどね。そうすると、ひょいと通りがかったお姉ちゃんの自転車に乗って。いつも、その時間にその人は通ってくれるんですよね。で、新聞スタンドのおばちゃんと会話して。向こうは新聞をバッてパディントンに投げてくれて。で、町内を回っていくと、みんな「おはよう」「おはよう」「おはよう」みたいな感じで、パディントンが出勤する風景で町がパッと回転しだすというか。明るくなるんですよ。

(塩澤未佳子)ああーっ!

(プチ鹿島)ところが、ある事件がきっかけで……ここまでは言っていいと思うんですけど、パディントンが捕まっちゃうんです。で、その濡れ衣を晴らすために刑務所からどうやって濡れ衣を晴らそうか?っていう、そういう映画なんです。で、パディントンがいなくなっちゃうと、途端にあれだけ朝、活気づいていたその町、界隈がすごく暗くなっちゃってね。で、なんかみんなから笑顔が消えちゃって、ギスギスしちゃって。1人だけ喜んでいる人がいて、パディントンのことをパート1から気に入らないっていうお巡りさんみたいな格好をした人なんですよ。お隣さんが。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)でも、それはお巡りさんでもなんでもなく、自称・自警団なんですよ。1人だけなんですよ。「自警団」とは言いますけども。で、最初から「こんな熊、不審者だ。ほら、あいつはやっぱり悪者だった! 出ていって清々した!」みたいな感じになるんですけど、自警団が――1人ですけど――そのおじさんの声が大きければ大きいほど、町はどんどん暗くなって、ギスギスしていくんですよ。「なんかこれ、この町のことだけじゃねえな。自警団っていうのはいまの世の中をすごい象徴しているな」とか思ったりしてね。

(塩澤未佳子)ああーっ!

(プチ鹿島)ねえ。で、もっと言うと、そのパディントンっていまさらですが。パート1は娘とのんびり見ていたから。「ああ、大変だな、熊」とか思って(笑)。で、パート2をじっくり見ると、「ああ、これは移民の話じゃん」って思ったんですね。

(塩澤未佳子)はー! そうなるのか。

『パディントン』は移民の話

(プチ鹿島)ねえ。パディントンって、要はイギリスという町にやってきた移民の苦労というか。でも、そのコミュニティーの中に溶け込む、もしくは溶け込むだけじゃない。コミュニティーの方がパディントンを受け入れる。そういうお話なんだなって、ちょっと僕は「ああ、いい解釈をしたな」なんて思って、映画館を出てパンフレットを買ったら思いっきりそういう解説があって。

(塩澤未佳子)あ、書いてあったの?(笑)。

(プチ鹿島)もうそれ、言い尽くされてるらしいんです(笑)。

(塩澤未佳子)私、もういま、「ああ、そうか!」なんて思って。

(プチ鹿島)そうそう。パンフレット、いま手元にあるんですけど。「ペルーのジャングルから憧れのロンドンにやってきた熊がブラウン家の人々と出会い、慣れない都会暮らしで次々とハプニングを起こしながらも、家族の一員となっていくまでを描いた笑いと感動の物語」。これがパート1ね。で、「原作は40ヶ国語以上で翻訳されて全世界3500万部売上のベストセラー。今回、原作のスピリット(魂)を『見かけで判断せず、国籍や種族の異なる相手を受け入れることだ』と考える」という。そういうコンセプトなんですって。「パディントンは誰に対しても礼儀正しく親切だ」と。だから最初はそういう壁があっても、やっぱり人間って親切を受けたり、親切にされたりすると心を開いていくじゃないですか。パディントンって見事にそれを実践しているんです。見かけは熊なんですよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、みんながどんどん受け入れていく。だから、最初に見た時って「この町の人って熊とかそんなにこだわりがないんだな」って思うけど、もともとイギリスって移民社会で受け入れているから。だからそこのこだわりというのはほぼ、多くの人はないんだけど……でもやっぱり、「なんだよ、あいつ」っていう人は当然いるという。そこは見事に、ねえ。

高橋芳朗 映画『パディントン』のテーマとカリプソを語る
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(塩澤未佳子)そうですね。いまの世界というか、社会というか。

(プチ鹿島)で、この監督がパンフレットの中で質問に答えていて。「いま、(SNS・Twitterの)140文字で人の人生を破壊したり、また政権が人を分離し支配しようとしたり。嫌悪や不寛容主義を謳う世の中では、パディントンの世界は素敵な解毒作用があるかもしれない」って書いてあるんですよ。で、さらに、ちゃんとこういう「社会派としての映画『パディントン』」という、こういう解説文を森直人さんという映画評論家の方が書いていて。「要するに、彼は移民だ」って2行目で書いてあるんです。

(塩澤未佳子)ああー、もうはっきりね。

(プチ鹿島)俺だけの発見じゃなかったんですよ、もう(笑)。

(塩澤未佳子)アハハハハッ!

(プチ鹿島)「世間からコミュニティーに溶け込めないあやしいやつ、圧倒的なマイノリティーとして最初は扱われる。移民の受け入れに関して、長い歴史を持つイギリス。弱い者がさらに弱い者を叩くなど、様々な形で差別主義がはびこっているのが、いまの世の中における最大の負の側面だ」ということなんですね。だから、パディントンっていうのはまだまだ社会的弱者なんだよという。そういう人をこれ、僕もさっき「溶け込む」って言いましたけど、溶け込むんじゃなくて、やっぱり受け入れる側の物語なのかな?って思うんですよね。

(塩澤未佳子)そうですね。

(プチ鹿島)だからこれ、パート2から見ても大丈夫なんで。まだ映画館でやっていると思うんで、ぜひ見ていただきたいんです。で、僕はこの映画を娘のおかげで、パート1をつい1ヶ月に見て。パート2を先週の火曜キックス終わりでポンポンと見て。「ああ、いい映画だったな。なるほど、そういうテーマか」って思ったんですけど、ハッと気づいたんです。「あれ? 今年、最近俺が見た映画って、だいたいそういうテーマじゃなかあったかな?」っていう。

(塩澤未佳子)おおっ?

最近見た映画に共通するテーマ性

(プチ鹿島)たとえば、『羊の木』という映画があるんですけども。これ、吉田大八監督が描いている、錦戸亮さんが出ている作品。これ、僕は『キックス』でちょいちょいお話しました。っていうのは僕、事前にこれ、「推薦コメントがほしいから見てください」って言われて。で、僕は見て、コメントを出したんです。その時の僕のコメントがパディントンとつながっているじゃんって思っていて。まず、ストーリーを言いますよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)この『羊の木』というのは寂れた港町に新規転入者の受け入れ担当を命じられた、市役所に務める人(錦戸亮)が主人公なんですよ。ところが、その寂れた田舎の港町に6人の男女がやってくるんですよ。それは国家プロジェクトなんですけど、その6人は全員、仮釈放された元受刑者たち。殺人犯とかなんです。で、これは刑務所のコスト削減と地方の過疎対策を兼ねた極秘の国家プロジェクト。だから町の人は新規で6人、転入してきたけど、その人たちがまさか殺人犯とは知らないわけですよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だけど、過疎を救うために新しい人を入れなくちゃいけない。さらに、そういうプロジェクトが成功すれば、刑務所の人員削減にもなるという、まあ奇想天外な物語なんですけども……言ってみれば、これも結局、究極の他者であり、誰かを受け入れる感覚の話であり、他者との共生の話でもあるんですよ。ものすごい仕掛けだからハッ!って思って見るんだけど、途中から「あれっ? これって別にここだけの話じゃないな」と。都会なんか、そうじゃないですか。隣近所で誰が住んでいるか、わからないという事態で。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)この人たちは素性は知らないけど、コミュニケーションを始めなきゃいけないわけですよ。これはなかなか、将来の移民問題とか……移民問題までいかなくても、いかにコミュニティーでみんなでどう暮らしていくか?っていう、これも「他者を受け入れる」っていう話なんですよ。

(塩澤未佳子)たしかに。

ラッパーにしてラジオDJ、そして映画評論もするライムスター宇多丸が、毎週ランダムで決まった映画を自腹で鑑賞。その後、生放送で評論を語り下ろす「週刊映画時評ムービーウォッチメン」。ここではその書き起こしをノーカットで掲載いたします...

(プチ鹿島)ねえ。それだけじゃなくて、僕がお正月明けに見た映画で『希望のかなた』っていう映画があるんです。これもすごく面白かった映画で。これはアキ・カウリスマキ監督の作品なんですけど、これも結局、北欧フィンランドの首都ヘルシンキを舞台に、シリア難民の青年が妹を探しに来るんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)ただ、難民申請は受理されず、収容施設を逃亡して妹を探すために不法滞在者としてヘルシンキに留まるんです。で、差別や暴力にさらされる。だけどやっぱり、あたたかく迎えてくる人もいて。その人はその人で人生が行き詰まっちゃってね。だからそういう2人の物語が交差するんですよ。だけどやっぱり、結局は世界を覆い尽くす理不尽な不寛容への抵抗を示す辛辣なユーモアの精神っていうのがこの監督がこの映画で訴えたいことらしいんですって。全部同じじゃないですか。

(塩澤未佳子)そう言われると……。

(プチ鹿島)不寛容とか寛容とか、他者との共生とかね。で、僕は知らなかったんですけど。これ、1週間前の2月14日の日刊スポーツなんですけども。アカデミー賞が来月、発表されるでしょう? それで最多の13部門にノミネートとなった映画というのが『シェイプ・オブ・ウォーター』っていう映画なんですって。当然僕はまだ見ていないんです。3月1日から公開らしいんですけど。これが面白いんですよ。怪獣好きが描く、女性に愛される怪物っていう。アメリカとソ連が核と宇宙開発を競っていた1962年のNASAを舞台に、アマゾンから運ばれてきた謎の生命体と清掃係の女性が恋に落ちる異色のラブストーリーっていうんですよ。

(塩澤未佳子)ほう!

(プチ鹿島)この監督(ギレルモ・デル・トロ)いわく、「よそ者を恐れ、嫌ういまの時代に愛と寛容な心を描きたかった」っていう。またここで「よそ者」とか「寛容」とかっていうことなんですよね。

(塩澤未佳子)ええーっ! なんだろう?

町山智浩 『シェイプ・オブ・ウォーター』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアカデミー賞の最有力候補、ギレルモ・デル・トロ監督の映画『シェイプ・オブ・ウォーター』を紹介していました。 Unable...

(プチ鹿島)だからどれだけいま、ギスギスしてるんだろう?っていう話でもありますよ。だからこの間、オリンピックでね、小平奈緒選手が(金メダル)見事だったじゃないですか。でも、あれ以上に話題になってみんなをほっこりさせたのは、韓国のライバル選手と抱擁してね。あれがむしろセットになってワーッ!ってなったじゃないですか。すごくあったかくていいシーンで、ああいうのを見ると、「いいな、やっぱり」って思うんですけども、ふと思ったんですが、子供の頃のオリンピックってこういうの、普通にあったし。これをことさら美談で、「ああ、よかった、よかった!」って……そんなにみんな感動していなかったよなっていう。それはいい意味でですよ。

(塩澤未佳子)それが当たり前のようにあったからですよね。

(プチ鹿島)だからこれを取り立てて、みんなすごく感動する、ほっこりするっていいことだと思うけど、いかに平常モードがギスギスモードなのかな?っていう裏返しにも僕は思えたんですよね。だってスポーツ選手だから、別にどの大会でも顔を合わせるわけだから。特別にあれ、特殊な物語じゃないと思うんですよね。やっぱり他の国のトップアスリートとライバルとか、ライバル=友達であったり。ねえ。

(塩澤未佳子)そうなんですよね。

(プチ鹿島)それをことさら、みんなの心を打つっていうことは、どれだけお隣の国、お隣界隈となんかいろいろと……怒っている人もいれば、そこまで怒らなくてもいいだろうっていう人もいるし。で、またそこの界隈のケンカになっちゃったりとか。そういう時にポーンとあの画を見せられると、みんな「ああっ!」って、いい意味で肩の力が抜けるというか。これもいまの時代の特徴的なお話だったのかなと。

(塩澤未佳子)そうだったのかな。

(プチ鹿島)あれがみんな、ホッするのはって思いました。

(塩澤未佳子)なんか際立ちますもんね。

(プチ鹿島)でも本当にこの映画、面白かった。だからこの『シェイプ・オブ・ウォーター』も3月1日で。全然この日刊スポーツの記事しか知らないんで。面白そうだな、見に行きたいなって思うんです。ねえ。だからある意味、これが時事ネタだよということで、大上段にかまえて詰め込むというよりも……物語ってそうじゃないですか。これも『スリー・ビルボード』って先週お話しましたけど、そこの解説で映画監督の方が解説していたんですけど。あれもやっぱり、いまの社会を映し出しているんですよね。

(塩澤未佳子)うんうん。

プチ鹿島 『スリー・ビルボード』と『デトロイト』を語る
プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で映画『スリー・ビルボード』と『デトロイト』について話していました。 (プチ鹿島)今日は、こちら。『スリー・ビルボード』と『デトロイト』と...

(プチ鹿島)だけどことさら、「トランプが……」とか「セクハラが……」とかっていうエピソードは入れなくても、田舎の町の人々を描くことによっていまの時代が浮かび上がってくるという。だから、物語を作る・表現するってそういうことなんだなと。結局、今を描くことになるんだろうなって思っていた矢先に、『パディントン2』でね、僕はいまさらですが、思い知らされて。いい映画だったんですよ。2から見ても大丈夫ですから。で、これが落とし所もいいんだな、これが……。

(塩澤未佳子)ああ、そうなんですか。

(プチ鹿島)みんながいい感じに。

(塩澤未佳子)うわーっ、そういうの、いいな。

(プチ鹿島)ということで火曜キックス、スタートです。

<書き起こしおわり>

プチ鹿島 裁量労働制拡大審議・不適切データ問題を語る

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プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、国会で審議中の働き方改革関連法案についてトーク。裁量労働制の拡大についての審議の中で、不適切なデータが使われていた問題について新聞各紙を読み比べながら話していました。


(プチ鹿島)では、本日の朝刊の読み比べをしたいと思います。というのは、この間ね、日本経済新聞さんに呼んでいたいただいて、1時間半ぐらい、新聞の楽しい読み方みたいな、講演会って言うとくすぐったいですけども。僕は漫談ライブだと思って、よくやらせてもらっているんですよ。そこでいろんな読み方、見方をお話したんですけど。前にキックスでも言ったと思うんですが、新聞ってどうしても朝に読まなきゃいけないっていうプレッシャーがあると思うんですね。

(塩澤未佳子)ありますね。出かける前に。

(プチ鹿島)だってそれだから新聞を取っているんだ。出かける前に読んでおいて、仕事の前に読んでおいて。で、その日1日をスタートする。ただ、僕は最初に新聞を取りはじめた時もそうだったんですけど、そうなると逆にプレッシャーになるんですよね。朝ってしかも、大概みなさん忙しいでしょう?

(塩澤未佳子)時間、ないです。

新聞は朝、無理して読まなくてもよい

(プチ鹿島)頭も働かない。そんな時に新聞を端から端まで読むなんて、1日、2日はできたとしても、だんだん億劫になってね。強迫観念になって、むしろ新聞、面倒くせえってなっちゃうという、そういう思いを僕も経験しているんですよ。その時、事前の質問もそういう内容が多かったんですね。で、僕は言うんですけど、朝はたとえば「見出しだけでもいい」とか「一面チェックだけでいい」とか、「社説のタイトルでなにが書いてあるかだけでいい」とか。「社会面に……」とか。それをパッパッパッと見るだけでも僕はいいと思っているんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)そうしておけば、たとえば仕事に出た時とか、学校でもいいです。もしくは、家とか職場とかで見たニュースとかでなんとなく気になる言葉というのが耳に残ってくると思うんですよね。だからそれについて、あとでもう1回、詳しく読もうとなったら、家に帰ってお風呂上がり、寝る前とかにでもいいわけです。新聞ってさかのぼって読めますから、その気になるキーワードだけさかのぼって読めますでしょう?

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)だから僕、なんだったら新聞は2、3日後に読んだっていいと思うわけですよ。で、僕にとってそれが、今日ご紹介する「裁量労働制」なんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)これ、働き方改革をメインにして国会が始まったっていうのは、なんとなく僕ら、わかるでしょう?

(塩澤未佳子)そうですね。耳に入ってきます。

(プチ鹿島)ニュースとか新聞とか。で、さらにそのうちのいくつか、出したい法案があって、そのひとつが裁量労働制。でも、どうやらこれをめぐって野党から批判が出ている。もしくは、「あれはなんだよ?」みたいな声も世の中から出ているというのを、なんとなくは知っていたんです。

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)だけどいよいよ、この間安倍首相が「裁量労働制っていうのを導入すると、一般的な人よりも残業時間や働く時間が少なくなるんだよ」っていう答弁の裏付けとして持ち出したデータが、実は嘘だったというか、不適切なものを出してきちゃったわけですね。で、それを(安倍首相は)謝罪した。で、一気に「裁量労働制、働き方改革」みたいな話題が……僕、ここからでいいと思うんですよ。「じゃあ、いよいよ本腰を入れて調べてみようか」って、これぐらいでいいと思うんですね。

(塩澤未佳子)そうですか。

(プチ鹿島)これって面白くて、時差があるんですよね。安倍さんがこのデータを持ち出したのは、1月末なんです。で、今日の新聞、みなさん山日(山梨日日新聞)でもなんでもご覧ください。今日、また改めて、それがなんでそういうことになっちゃったのか?っていうのを一斉に報じているんです。実はそれも鍵なんです。

(塩澤未佳子)ええっ!

(プチ鹿島)じゃあまず、裁量労働制というのをご紹介しますと、これは読売かな? 「実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決めた時間を働いたとみなし、残業代込みの賃金を支払う制度」と。だからこれ、キックスで言いましょうか。1時から4時半まで、あらかじめ決めた時間を働いた。そこでいかにおしゃべりをするか、それはもうそれぞれですよ。だからしゃべらない人もいるし、しゃべりすぎる人もいるし。だいたいキックスっていうのは月曜から金曜までしゃべりすぎる、働きすぎるパーソナリティーを揃えているんですけども。

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)まあ、イメージだとそうだよね。よく言われるのは、携帯の定額制で料金を払えば、あとはかけ放題になるっていうのと似ているわけじゃないですか。だからこれ、「よく考えると、雇う側にメリットがあるんじゃない?」っていう突っ込みが出ているわけですよね。そうでしょう? だって、あらかじめ決めた時間……たとえば7時間なら7時間を働いたとみなして、そこに残業代込みの賃金、お金をもう払っちゃっているわけだから、あとはどれだけ働きすぎようが、同じなわけです。残業代はそれ以上払われないから。だからそれ、果たしてどうなの?っていう時に、安倍さんや政府側が持ち出したデータというのがこちらです。厚生労働省の調査で裁量労働制で働く人のデータが「1日の労働時間は?」っていう質問だったんです。その回答が「平均9時間16分」。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、もう一方の一般労働者。「1日の最長の残業時間は?」って聞いたんですって。だから、質問そのものが異なっていて、比較できないわけですよ。これ、ややこしいからもう1回、話します?

(塩澤未佳子)はい。よろしくお願いします(笑)。

(プチ鹿島)だから、裁量労働制で働いている人のサンプルとしては、普通に「1日の労働時間はどれぐらいですか?」って聞いたんです。だけど、裁量労働制じゃない一般の人には「いちばん働いた最長の残業時間ってどれぐらいですか?」って聞いているんです。それは長い時間が出るに決まっていますよね?

(塩澤未佳子)はい。

異なる質問をしたデータを比較している

(プチ鹿島)だから、裁量労働制で働いている人は普通の労働時間を言うんですけど、それと比べちゃうわけです。片方では「最長」を聞いちゃうわけです。それって、(データとして)比べちゃ行けないんじゃないですか?っていう突っ込みが出ているんです。それで、安倍さん・政府側も謝罪したということなんですよ。だから、裁量労働制をよく見せるために……。

(塩澤未佳子)そういう質問をした。

(プチ鹿島)で、一方で裁量労働制じゃない人には、「いちばん残業が多かったのって、どれぐらいでした?」って聞いて。そしたらやっぱり多めの時間(の回答)が出ちゃいますよね。だからそれを持ち出して……っていう。で、それが野党の調査で「いやいや、これは違うんじゃない?」っていうので、昨日・一昨日にまたさらに問題になっている。で、もうひとつ問題があるのが、これは東京新聞とか朝日新聞の切り口というのは、首相の答弁。これ、あの答弁から今回のことがわかるまでにえらい時間がかかったんじゃないか?っていう。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)つまり、安倍さんはこれ、1月末にこの答弁をしてるわけですよ。で、昨日、加藤厚生労働大臣が衆議院予算委員会で答弁の根拠となった調査と集計方法について「不適切だった」と認めているわけですよね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)ですので、「首相に正式に報告したのが11日後の18日夜だった」というので、この問題が起きてからものすごいタイムラグがあったわけですね。これってなんなの?っていう。で、実はこのデータというのは安倍政権がこの3年間、働き方改革をやろうという時に実はちょいちょい使っていたデータなんですって。だからそれがわかっちゃったところで、じゃあこの3年間に旗印としていた働き方改革。そもそものデータがぜんぜん違うんだから、もう1回これは考え直した方がいいんじゃないの?っていうのがいまの論点で、まさに今週、それが山場となるわけです。

(塩澤未佳子)ほー!

(プチ鹿島)で、こういう時にはスポーツ新聞を読むに限る。難しい問題をわかりやすく。今日の日刊スポーツ。「首相の裁量に忖度?」っていう。これ、どういうことかというと、こういうデータを厚生労働省が出したということは、裁量労働制をやりたい安倍総理の意向に反するデータは出せず、少しでもよく見せるような忖度が働いたためにこのようなことが起きたと。だから、よく新聞を読んでみると、首相側は別に好んでこのデータを出したわけじゃないらしいんです。いろいろとあるデータの中で、このデータをつい反論で使ったという。でも、そもそもよく調べてみると、なんでこんなデータが厚生労働省から出されていたんだ?っていうのも、首相側近辺のザワザワしたところなんですって。

(塩澤未佳子)ほー!

(プチ鹿島)つまり、「ああ、働き方改革やりたいんだろうな。いいデータ、ほしがっているだろうな。じゃあ、なんか出せ!」っていうのを報告にあげていたんじゃないかと。

(塩澤未佳子)都合のいいデータを出したのかな?

(プチ鹿島)だからこれもいわゆる忖度じゃないか?っていう話になっているんです。面白いですよね。そうなると、そういうデータを利用してこの3年間ぐらいプレゼンをしていたという、その根底が崩れるわけなんですよね。忖度っていうことは、「参考にならないデータ」っていうことですよ。面白いですよ。だから野党は「捏造」って言ってますよね。

(塩澤未佳子)ああ、もう言葉が。

(プチ鹿島)だから「モリカケと同じ構図か?」なんていうのが。これを興味を持つと、一般紙でどんどん調べていけば、「ああ、そうか。そういえば安倍さんの答弁からえらいタイムラグがあったけど、やっぱりそれはずっとモメてて調整していたんだろうな」とか。そこもあるし。だって昨日ですよ。厚生労働大臣が答弁したのが。安倍さんが「撤回します。謝罪します」って言ったの、先週の木曜、金曜だったでしょう? その時点でもう1週間ちかくタイムラグがあったわけですから。だから逆に言えばまだ、「裁量労働制ってなに?」っていうのをいまから調べても間に合う。むしろ、いまいちばん旬なネタっていうことなんですよ。

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)別に国会が始まる時に、完璧に整えておいてね。新聞を読んで完璧に誰にでも答えられるような、そこまでしなくてもいいっていうことです。時事ネタは日々動くから。

(塩澤未佳子)そうなんですね!

いちばん大変な人

(プチ鹿島)だからこれ、いちばん大変なのは、もしそういう忖度とかがあったとしたら、裁量労働制のデータを徹夜して作っていた人がいちばん働き方改革が必要なんじゃないかって思いますよね。お役人ね。

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)皮肉ですよね。そういう画が浮かびますよね。なんかこう、「働き方改革。裁量労働制でいいデータ、ねえか? いいデータ、ねえか?」ってもし、突っつかれていたらですよ、「じゃあみんな、なんかデータ探せ!」って。5時、6時には帰れないわけですよ。

(塩澤未佳子)夜中まできっとかかって一生懸命に。

(プチ鹿島)これ、いちばんの皮肉かなと思っちゃいましたね。僕ね。ということで、プチ総論でした。まだまだ気になった言葉、うっすら気になった言葉を頭に残しておけば、いつでも間に合うよという、そういう話でした。

(中略)

(プチ鹿島)嘘見出しです。「厚労省職員のパラドックス 働き方改革、推進すればするほど残業時間大幅増」。上手いね。

(塩澤未佳子)素晴らしいです。

(プチ鹿島)この方、すごいのが何気なく見たら昨日の夜の22時51分にこれ、作品をメールしてくださって。ありがたいね。

(塩澤未佳子)今日のために!

(プチ鹿島)で、一夜明けてみたら今日の新聞も本当にそういう話題てんこ盛りですからね。たとえば、さっきも裁量労働制、僕も気になったんで。まだ間に合うと思って。だからこういう時、手っ取り早いのは各新聞の解説というのを見るのもいいと思います。これ、東京新聞。「調査データをめぐる厚労省の検査結果からは杜撰な対応が浮き彫りになった」という。これ、もう1回言いますよ。「裁量労働制は労働時間の短縮につながるよ」というプレゼンというか答弁をするために、その根拠となるデータが一般労働者、普通に働いている人には「1ヶ月で最長の残業時間」を聞いた。それで平均の数字を出した。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)それで「最長の」と聞きながら、それから平均のデータを出しているわけだから、すでに裁量労働制をやっている人に聞いた「1日の労働時間は?」に比べると長いに決まっているわけですよね。で、「単純なミスだったとしてもなぜ3年間も気づかなかったのか? 安倍政権はこの不適切と認めた今回の調査データを3年間、裁量労働制を問題視する野党や労働界への反論材料に使い続けてきた。この根幹が崩れた」ということで。だから、「このデータは間違ってました。ごめん!」っていうだけじゃなくて、むしろ3年間、このデータをもとにプレゼンしてきたんだから、それはもう、どうなの?っていう、そういうことになるわけですね。

(塩澤未佳子)ですね。3年間の時間もどうなの?っていう。

(プチ鹿島)さらに、これはまた新聞の読み方で頭においておくと面白いのが、各新聞が解説とか社説とかっていうのはまあまあ、ちゃんと読まないと難しいじゃないですか。でもこれをもとにどういうコラム、もしくはネタに使ってくるのか?っていう。そこなんですよ。

(塩澤未佳子)へー!

(プチ鹿島)同じ東京新聞の「筆洗」っていうコラム。イメージしていただくと一面の下に、朝日新聞だったら「天声人語」。山日だったら「風林火山」。あれですね。その東京新聞のコラムがこんなことを今日、書いていたんです。「1898年の米西戦争の時、アメリカの海軍の死亡率は1000人につき9人だった。一方で、同じ期間のニューヨーク市内における死亡率は1000人につき16人だった。アメリカの海軍はこの数字を使い、ニューヨークに普通に住むよりも戦争に行く死亡率の方が実は低いんだ。だから海軍に入るのは安全だというキャンペーンをした。ところが、この数字には罠がある。海軍の大多数が健康な青年なのに対し、ニューヨークの市民のサンプルは赤ん坊も高齢者、病人もいる」という。さっきも話しましたけど、日本の誕生した赤ちゃんの死亡率が低いっていう。これが100年以上前だったら、当然赤ちゃんは生まれても、死んじゃう赤ちゃんだっているわけです。死亡率高いわけですよね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)お年寄りもいるわけです。そういうのもひっくるめて、いかにも平常時のニューヨークの市民の平均値と、海軍に入る体力・気力充実している若者の体力、どっちが高いのか? それで途中でもし戦争を挟んだとしても。それは、ニューヨークの市民のお年寄りから子供までの死亡率の方が高いよねという。だから、比べてはいけない、成り立たないようなデータをポーンと出してくる。だからこれが、「……2つの死亡率の比較には意味がないが、数字で示されるとついつい信じてしまいやすい」という。これが前段。

(塩澤未佳子)ええ。

(プチ鹿島)つまり、このコラム。何が言いたいか、わかりますよね? 裁量労働制のことを言っているわけです。「……実際の労働時間を一般労働者には『残業が最も長い日の労働時間』を調査している。これなら裁量労働制の労働時間の方が短くなりやすいだろう。2つは比較できない数字である」という。で、最後に皮肉をきかせているんです。「……統計を取るまでもない」というね。

(塩澤未佳子)おおーっ!

(プチ鹿島)上手いこと言っている。だからこれから、裁量労働制。いまだったら「金メダル」とかそういうお題でどう、こういうコラムとかが書いてくるのか?っていうのも。

(塩澤未佳子)ねえ。そういうところも入りやすいです。

<書き起こしおわり>

星野源 Jay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blake『King’s Dead』を語る

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星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でケンドリック・ラマーがプロデュースした映画『ブラックパンサー』のサントラから、Jay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blakeで『King’s Dead』を紹介していました。



(星野源)今日の選曲でございます。めちゃくちゃかっこいいね。映画もとっても楽しみです。今日の1曲目はJay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blakeで『King’s Dead』。

Jay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blake『King’s Dead』



お送りしたのはJay Rock, Kendrick Lamar, Future, James Blakeで『King’s Dead』でした。『ブラックパンサー』という映画の音楽のプロデュースをケンドリック・ラマーがやっていて。
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その映画の中で使用される楽曲とか、あとインスパイアされた楽曲が集められたアルバムがこの間出まして。めちゃくちゃかっこいいのでぜひみなさん、聞いてみてください。

『Black Panther The Album』



<書き起こしおわり>

星野源『ドラえもん』ミュージックビデオとダンス振付を語る

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星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で公開された『ドラえもん』のミュージックビデオや、そのダンスの振付について話していました。


(星野源)さて、昨日、来週水曜日に発売になる11枚目のシングル『ドラえもん』のミュージックビデオと特典映像の予告編がYouTubeにて公開されました。ありがとうございます! すでに、154万回以上再生されているそうです。ありがとうございます!(拍手)。すごい! 1日半……だいたい2日ぐらい。すごいですねー。ありがとうございます! メールがたくさん来ております。

群馬県の方。(メールを読む)「『ドラえもん』のミュージックビデオが解禁になってすぐに拝見しました。何なんですか、この世界観!? ドラえもんが出てこないのに、ドラえもん感がすごくあって、ELEVENPLAYのお姉さんの無表情さとダンスの不思議さ、源さんの大人になったのび太くんっぽいおふざけ満載の可愛らしい動き。見るたびに新たな発見があり何度も何度も見てしまう、中毒性がありますね。初回限定版DVDの内容もニセさんのスキー姿が見られるので楽しみすぎます」ということですね。ありがとうございます!

他にも来ております。武蔵野市の方。(メールを読む)「昨日の朝に解禁されました『ドラえもん』のミュージックビデオ、拝見させていただきました。物心ついたときからドラえもん一筋の私にとって、どんなミュージックビデオになるのか? 楽しみでもありましたが、怖くもありました。が、一度見たら忘れられないミュージックビデオでした。幼少の頃に親しんでいたドラえもんの世界観、懐かしいふすまやお風呂。それなのに、見たこともないほどの無表情で踊るELEVENPLAYさんたち。でも、ダンスの中にたくさんのドラえもんの登場人物が散りばめられている。

これって源さんの『ドラえもん』を聞いた時と全く同じ感想なんです。一度聞いたら忘れられないメロディー、昔から親しんでいる世界観、散りばめられたドラえもんのキャラクターたち。歌詞と映像がリンクしてるわけではないのに、曲とミュージックビデオ、それぞれに同じことを感じる。恐るべし星野源です。ドラえもん一筋40年近い完全なドラヲタですが、どうしても伝えたい。この度は素敵な曲とミュージックビデオ、どうもありがとうございました!」。ああ、これはよかった。ありがとうございます! こちらこそ、ありがとうございます。

いろいろ来ていますね。宮城県の方。「『ドラえもん』のミュージックビデオ、見ました。アニメでもおなじみの空き地の土管や、のび太の部屋の押入れなどが登場していて、ドラえもんの世界観がたっぷりだけど、どこか洗練されていて中毒性のあるミュージックビデオだなと感じました。今回のミュージックビデオの中では歌詞が表示されていますが、何か意味があるのでしょうか?」という。

そうですね。今回のミュージックビデオが『SUN』の頃から一緒にやってもらってる……2015年の春ぐらいに撮影した『SUN』のミュージックビデオからずっとご一緒させてもらってる振付家のMIKIKOさん。そして、そのMIKIKOさんのダンスチーム、ELEVENPLAYのみんなと、またご一緒させてもらいました。お願いしてミュージックビデオを作りました。今回のミュージックビデオでは歌詞が表示されてるんですけど、歌詞が表示されてるのは『地獄でなぜ悪い』以来ですね。



『地獄でなぜ悪い』の時は全部アニメだったんですけど、今回の『ドラえもん』のミュージックビデオは実写で、ELEVENPLAYさんのダンスが中心で。で、もともと僕はいつもミュージックビデオを作る時に「こういう風に作りたいです」ってアイデアを出すんですけど。で、今回のミュージックのアイデアとしてはですね、いちばん最初はもう、僕が出ないで……ダンスだけのビデオっていうのをずっと作りだったんですよ。すっごい昔からダンスだけのビデオっていうのがすごく作りたくて。で、今回の楽曲の世界観とかも含めて、なんか僕が出ない方が面白いなあと思ったんですけど、いろいろと打ち合わせを重ねてくにつれて、僕も一緒にいるっていうのもまあ、いいんじゃないか。面白いんじゃないかっていうことで、ELEVENPLAYさんが中心。もうダンスが中心。でも、僕もちょっといるっていう。

だから僕が真ん中でめちゃくちゃデカく歌ってたり……僕は「バックダンサー」っていう言い方かすごく好きじゃないので、ダンサーと並びか、たまにアップで抜いてもらうぐらいにして。もうダンスを中心に……というビデオにしました。なので、もともとそのダンスだけっていう予定もあって。ダンスだけだと歌をもっと伝えたいという気持ちにもなるので。楽曲はやっぱり音とかリズムとかはしっかりダンスとかで目に入ってくる。目で音が入ってくるっていう感覚になると思うんですけど。歌詞はなかなか、そうすると逆に入ってこない可能性があるなと思ったんで、歌詞は最初から表示させようというつもりだったんですけど。

僕も途中から、入ってくることになって。で、歌詞があるというのはその名残ですね。なので、今回はアニメだからっていうわけではないんです。そういう経緯で歌詞を表示させました。あ、これも読もうかな。福岡県26才の方。(メールを読む)「新曲『ドラえもん』のミュージックビデオ、見ました。曲を聞いてはまり、ミュージックビデオを見てさらにどっぷりはまっております。今回のシングルやミュージックビデオを制作するにあたり、藤子プロの方や映画側のスタッフの方などからの提案や要望はあったのでしょうか? それともおまかせという感じだったのでしょうか? お話、聞かせてもらいたいです」ということで。ありがとうございます。

今回、ミュージックビデオに関しては、もう何も特になくというか。本当に自由に作らせていただきました。で、あの今回の振りに関しては僕、コンテンポラリーダンスがすごく好きで。高校生の時に民族舞踊部に入っていたという話はたまにしますけども。もちろん、ちゃんとすごく、それ専門にやってたわけではないんですけど、「踊る」ということがすごく好きで。で、ダンス公演とかよく見に行ってたんです。その中で、コンテンポラリーダンスも見るようになって。まあ「コンテンポラリーダンス」って言っても、本当にいろんな種類のダンスの種類がまた、その中でもあるので。一概に「これがコンテンポラリー」ってなかなか言えないと思うんですけども。

コンテンポラリーダンスの要素

MIKIKOさんに「コンテンポラリーダンスの要素を感じるようなダンスで今回、やりたいです」っていうお話をして。たとえば、『SUN』のミュージックビデオのテーブルのダンスとか、あと部屋が移動している……『SUN』のミュージックビデオを見たことがある方ならわかると思うんですけど、部屋がどんどん移動している中で、僕とELEVENPLAYの(篠原)さやさんと2人で踊っているところとかは、その時も「コンテンポラリーダンスの感じでお願いします」ってリクエストしたりとかしていて。



で、今回は「かなりどっぷりお願いします」という感じでリクエストさせていただいて。あと、「小学校の時にやっていたような手遊び歌みたいな、そういう要素をミックスして。それをさらにMIKIKOさん流にしていただけないでしょうか?」というリクエストをさせていただきました。そしたらもうとんでもないのが上がってきて、「もう最高!」みたいな。振りビデオっていう、最初に「こんな振りで良いですか?」っていう確認のビデオが来るんですけど、興奮して。「もう最高です!」みたいな。「これでお願いします!」っていう。で、結構メールでも「無表情」って書いてありますけど、普通ダンスは無表情ですから。別に無表情が特別なことじゃないですからね。だって『恋』のミュージックビデオだってみんな無表情ですからね。

結構みんなが楽しんで踊ってくれてるんで、笑顔の印象があると思うんですけど、すごく無症状でみんな踊っていて。その方がかっこいいと思う……まあ、僕が好きなんですけど。その方が。まあ、好みがいろいろあるとは思うんですけど。今回のミュータントの振り付けもすごい難しそうで、最高! みたいな。なんか、いいですよね。すっげー難しそうなのに、なんか踊ってみたい! みたいな。『恋』の時もそうでしたけど、『恋』のミュージックビデオのダンスもそうだし、それこそ『逃げ恥』のエンディングでみんなが踊って僕も踊った恋ダンスは、一緒に踊ろう!っていうコンセプトじゃ全然ないので。だから、どんな人でも踊りやすいように簡単にっていうことは全く考えないで、自分たちのやりたいようにやったっていう。

だから、あんなに人が踊ってくれると思わなかったんですよね。だから、一番いい形ですよね。その、みんなが踊りたくて踊ったっていう……「踊らされたんじゃなくて、踊りたくて踊った」っていう、すごい素晴らしいムーブメントだったと思うんですけども。恋ダンスって。なので、今回も一緒に踊ろうっていう意味で簡単にするっていうわけではなく、僕が好きなダンスっていうのを全力でやっていただいたという感じで。もう最高! という、非常に興奮してしまうビデオなのでございます。あと、質問あったね? 「……シングルを制作するにあたり、藤子プロの方や映画側のスタッフの方などからの提案や要望はあったのでしょうか?」という。

楽曲に対しても、要望は全くなかったですね。挿入歌はそもそも、台本の中に「ここで曲が頂きたいです」ってのがあったんで、そこがすごく感動するというか、素敵な場面だったので、それにイメージした曲を書いて。で、主題歌の方は、たぶんそこはバラードになるであろうというところだったんで、主題歌の方は少し楽しい感じがあるといいかもしれませんね……ぐらいで。あとはもう完全に自由に作らせていただきました。だから、たとえばこういう『ドラえもん』っていううタイトルにすることだとか、大長編ドラえもんっていうそのものを歌いたいということと、歌詞の諸々とか、あとは曲調とかリズムとか、歌詞にドラえもん入れるとかっていうのも含めて、全部要望されたわけではなくて。

こちら側のアイデアを全部受けていただいたというか、かなり好きに作らせていただきました。という感じですね。なnで本当に、いまね、目の前ににやっと完成版のCDがありまして。やっとできたな!っていう感じですね。いや、本当にうれしい。発売は来週の水曜日ですね。2月28日。フラゲ日(フライングゲット日)が27日。来週のこの『星野源のオールナイトニッポン』の放送日ですけども。27日から全国で買えるということなんですが。かなり感慨深いですね。本当に……オファーをいただいたのも1年半ぐらい前なんで。それから数えると結構時間が経っていて。いま雑誌とかが出始めていて、どういう風に『ドラえもん』ができたか?っていうのはそこで詳しく語っております。ぜひ、見てください。『MUSICA』とかね、これから出る『ROCKIN’ON』とか、あとは『TVブロス』とかね。

かなり詳しく語っておりますので、ぜひ見てください。よろしくお願いします。さあ、そんな感じでその曲をいま一度、聞いていただきましょう。ミュージックビデオも是非見てください。YouTubeに公開されましたので、ぜひ何度も見ていただきたい。あと、踊りたいと思ったら是非踊ってください。ただ、超難しいぞ!っていう(笑)。最高!っていう感じですけどね。是非皆さん、楽しんでいただけたらと思います。星野源の11枚目のシングルです。『ドラえもん』!

星野源『ドラえもん』



(星野源)2月28日発売になります星野源の11枚目のシングル『ドラえもん』でした。

<書き起こしおわり>
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