安住紳一郎さんが2009年11月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。仕事で空港をよく利用する安住さんが、気になっている空港の館内アナウンスについて話していました。
(安住紳一郎)さて、先週ですね、私は出張が多いもので。空港をよく利用するんですけども。乗り物が好きなので、仕事でもなんでも飛行機に乗れると聞いただけで大変喜んで。気持ちが高揚したりするんですが。もう本当に、機嫌がすこぶるよろしいんですね。
(中澤有美子)そうなんだ(笑)。
(安住紳一郎)まあ、地方に行けるっていう喜びもあるんですけれどもね。これは本当に、自分の仕事をしている中でうれしいことなんですけども。また当然その、空港にいる人や働いている人のも興味が当然、わくんですよね。たぶん、そういう方多いんじゃないかなと思うんですけども。なんかこうみんな、制服着てますしね。キビキビ働いてらっしゃったりするんで。ちょっとそういうものに、仕事がキレイに分担されていたりとか。無駄なく働いている姿にこう、美を感じるみたいなところがあるんですけども。
(中澤有美子)ええ、ええ。ありますね。
(安住紳一郎)そんなこともあって、私は空港を、まあいちばん使うのは羽田空港ですけども。羽田空港は年間1億3千万人くらいの方が利用するんですが。羽田空港などでよく、必要以上にキョロキョロして、楽しい時間をすごしているんですが。先週も、羽田空港、愛媛松山空港、それから広島空港ですか。ちょっとあの、使ったんですけども。そこで、最近、以前ではあまり聞かなかったような、これは私の思い込みかもしれないんですが。以前ではあまり聞かなかったような館内アナウンスが流れ、人々を動揺させてるんです。
(中澤有美子)ふーん。
(安住紳一郎)私は今回、4回この場面に遭遇しました。誰かに聞いたわけでも、そういうデータを見たわけでもないので、偶然だと言われたらそうなのかもしれませんが。私は、まあ普通の方に比べると結構空港を利用している方で、しかもキョロキョロ注意深く見てる方なので、たぶん間違いないんじゃないかな?と。最近、急に増えたものじゃないかなと思っているんですけれども。急に、人々を動揺させる館内アナウンスが空港に流れるんです。
(中澤有美子)ええーっ!?
(安住紳一郎)ラジオを聞いてらっしゃる方で、『あっ、それ、私も思った!』という方、いらっしゃるかもしれませんけども。お分かりになりますか?人々を動揺させる、カウンターからの館内アナウンス。
(中澤有美子)えー?教えてください。
(安住紳一郎)私は勝手にこれを『魔性の館内放送』と呼んでいるんですけども。もしかしたら、そんなに珍しいことじゃないのかな?私は最近急に増えたなと思うんですが。だいたいその、該当便っていうんですか?乗りたい便の、出発30分くらい前に流れるんですけど。『16時5分発松山行き1467便は・・・』。これ、自分が乗りたい便ですけどもね。『1467便は、現在満席以上のご予約をいただいております』。聞いたこと、あります?
(中澤有美子)聞いたこと、ないです。
(安住紳一郎)『満席以上のご予約をいただいております。なので、ご搭乗予定のお客様の中で、この便に乗るのを諦めてくれる方はいませんか?』っていうニュアンスのアナウンスが流れるんです。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)もっと、当然丁寧な文章ですけどね。こんな、『諦めてくれる方』なんて言わないんですが。
(中澤有美子)『次にお譲りいただける方』的な?
(安住紳一郎)『次の便に搭乗予定を振り替えてくださる方を募集します』みたいな。相当、たぶん航空会社も言いにくいことを言っているみたいで、文章がすごく巧みに失礼な形を遠回しに回避していて。一瞬で意味を聞き取れないっていうくらいの巧みさなんですよ。
(中澤有美子)そうなんですか(笑)。
(安住紳一郎)なんか、うわーっ!みたいな。リスクを分散してる!みたいな。ヘッジファンドか!?みたいな。
(中澤有美子)練りに練られた(笑)。
(安住紳一郎)練りに練られた。まあでも、ニュアンスとしては要するに『手前どもが万席以上の予約を取っちゃったから、この便を諦めてくれる人を募集します』っていうニュアンスのアナウンスなんですよ。聞いたこと、あります?
(中澤有美子)いやー、記憶にないです。ないと思います。
(安住紳一郎)今回僕、4回聞いたんですよ。
(中澤有美子)そんなにしょっちゅう?
(安住紳一郎)で、初めて聞いたのは5年くらい前なんですけども。まあ、最初は『ええっ!?そんなこと、あるの?数も数えられないのかよ!』みたいな。で、いま初めて、中澤さんみたいに聞いた人も同じように思うかもしれませんし。『ええっ!?』っていう感じなんですよ。『えっ、なにそれ?』っていう感じなんですけども。一方的になんか、無条件に腹が立つような話なんだけれども、詳しい人に話を聞いたら結構あるらしくて。結構あるっていうか、ホテルや飛行機のようにその、予約を取ってものを販売、サービスをしている会社は、満席分以上の予約を取るということは、もうほぼ常識の範囲。
(中澤有美子)ああ、キャンセルを見込んでっていう?
(安住紳一郎)キャンセルを見込んで。で、結局満席分以上の予約を取っちゃうと、オーバーブッキング。ブッキングが予約なので、予約をオーバーしてしまう、オーバーブッキングという言葉で呼ぶそうですけども。当然、そのホテルにしろ、飛行機にしろ、直前にキャンセルする人が少なからずいるので。そこを見越して、満席もしくは満席以上の予約を事前に取っている。そしてキャンセル人数を引いて帳尻を合わす。逆にそこが担当者の腕の見せ所。
(中澤有美子)おおー。
(安住紳一郎)限りなく、利用率を100%に近づける。ホテルなんかにはもう、名人並の予約調整係がいて。その人はまあ、大変優秀なホテルマンで。いろいろまあ、各ホテルが取り合いになったりもするらしいんですよ。要するにまあ、常に100%以上の予約をまず取っちゃうんですね。たぶんそれは、その会社のマニュアルのある中で、たぶんキャンセルはこれぐらい出るかな?という感じで、まあ最終的に帳尻を合わせている。で、こっからは想像なんですけども、いま(2009年11月)、航空大手2社が大変な状況になっているというのはよくニュースで聞きますよね?特に、赤いマークの会社は、毎日社長さんがね、ニュースに出てきて。OBの年金が何やらかんやらという話にもなっていますし。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)一方、青いマークの会社も、調子いいのかな?と思ったら、意外に赤字が今年度確定したというような話もチラチラ聞き。見当違いだったら大変失礼な話なんですけども。たぶん、私は今週1週間で4回それを聞きましたんで。たぶん、これまでよりも相当カツカツで。これまではたぶん90%の利用率でOKだったものがたぶん上からのお達しで、もう95%以上にしろ!みたいなことになっているんじゃないかな?と。
(中澤有美子)なるほど。
(安住紳一郎)たぶん担当者がプレッシャーをかけられた上で、たぶんオーバーブッキングを連発しちゃってるんじゃないかな?というような予想が。私のあくまで個人の意見ですから。
(中澤有美子)そうですね。想像、でもできますね。
(安住紳一郎)うん。これまでたぶんそんなになかったんじゃないかな?と思うんですが。やっぱりちょっとね、なかなか経営が難しいとなった以上は、そういうまあ強行策っていうか。かなりそのハイリスクハイリターンな商売をされてるのかな?っていう風にね、思いましたけども。そしてこれは苦言ではなくて、同情ですね。同じ、赤字を出す会社の勤め人として、私はエールを送りたい!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)赤いマーク、青いマーク、赤字だと言ってますけども。手前どもも、赤字です。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)お寒い。まあね、各メーカーなども、業績悪いですからね。放送業界も業績悪いです。恥ずかしながら手前どもも、赤字です。オーバーブッキングのアナウンスをする女性の職員もね、たぶん『したくてしてんじゃねーよ、こっちは』というようなね、声を本当喉元まで出かかってるんじゃないかな?って思うんですけども。私はもうカウンターごしに『がんばって!私もオーバーブッキング』って(笑)。
(中澤有美子)えっ、そうなの?
(安住紳一郎)『快適な空の旅も、快適なロケの仕事も、適度な利用率で楽しみたいですね』みたいな感じですよね。なんかちょっと痛いぐらいにちょっとね、末端というと失礼ですけども。現場で働いているみなさんの苦悩がなんかヒシヒシと伝わってきましたよね。
(中澤有美子)うーん。
(安住紳一郎)そりゃね、オーバーブッキングするほどカツカツでやりたくはないと思うんですけどね。たぶんそうしなくちゃいけない事情があるのかな?なんて。想像ですけども。
(中澤有美子)そっか。そうですねー。
(安住紳一郎)ちょっと話がね、しんみりしてまいりましたけども。しかしですね、この館内アナウンス。この後急に、魔性の色を放ち始める。
(中澤有美子)(笑)。つながるのね。どこに行くのかと思った。気になる。気になる。
(安住紳一郎)この後ですね、聞いたことありますか?修学旅行の高校生やちょっとノリのいい団体客などからはどよめきが起こることさえありますよ。アナウンスが続くわけですね。『満席以上の予約をいただきました。この搭乗便、辞退してくださる方を募集します』と。で、この後です。アナウンスは続きます。『ご協力いただける方には、1万円を差し上げます』。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)正しくは、『マイレージ7500マイルもしくは現金1万円を協力してくださった方には差し上げます』っていう、あれですよね。空港のすごくキレイな澄んだ声の女の人が。『えっ?そんな生々しいことを言うの!?』みたいな感じもあるんですけども。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『ご協力いただけた方には現金1万円を差し上げます』って言うのよ。もうびっくり。エキサイトナイターのホームランクイズかよ?みたいな、そういう感じになるんだけども。それでもう、この時の待合室の雰囲気が面白いんですよ!
(中澤有美子)へー!(笑)。
(安住紳一郎)まず最初の『満席以上のご予約をいただきました。辞退していただける方はございませんか?』のところまではみんな、我関せず。『知らないもんねー』みたいな。『なにそれ?俺、乗るもんねー』みたいな。本当、もう、『ふぁー、知ーらんぺー』っていう感じなんですよ。本当。みんな全くもう、意にもとめずなの。プープープープーって。『満席以上のご予約をいただきまして、辞退していただける方を募集しております』『知ーらんぺー、ぷー』っていう感じなんだけども。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)ところがこの条件提示!このアナウンス。『マイレージ7500マイルもしくは現金1万円を差し上げます』のところで、みんな動きがパタッと止まるの!『知ーらんぺー』ってしてたのが、『現金・・・』『んっ!?』。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)本当。俺、喫煙所とかにいると、みんな喫煙、止まるんだ。空港の待合室、同じ方向を向いてテレビとか見てるんだけども、みんな一瞬なんか、『現金1万円』って言った瞬間にパッて上を見るんだよね。で、なんか場内アナウンスは上から流れているっていう意識が強いんだろうね。みんな一瞬上を向くんだよね。それで次、下を向くの。それでみんな結論を出すの。下を向きながら。『辞退しない、する。どうしよう?』みたいな。現金1万円。で、結論を出した人からまた顔を上げるんだよ。『辞退しない』とか『辞退する』。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)ラジオ体操の首を前後の体操みたいな感じなんですよ。『現金1万円もしくは7500・・・』って言った後に、『どうしよう?・・・止めた』みたいな。みんな、本当十中八九。『えっ?どうしよう?・・・無理だよ』みたいな。そういう。
(中澤有美子)『仕事あるし・・・』とかね(笑)。
(安住紳一郎)それで、おもむろにその中から、空港の待合室っていうのはなんかこう、みんななにかをしてるようでなにかをしてない感じだから、足元の茶色いカバンを掴んでフッと腰を上げる人がいるわけよ。すると、みんながその人のことを見るわけよ。『行くの?』みたいな。声には出さないけどね(笑)。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)『行くの?いいの?』みたいな顔をして、見るわけ。で、他の人の出方をちょっと伺ったりしてね。で、だいたいね、辞退をする人を募集するにしても、5名くらいの辞退者を募集することが多いんですけども。それで、私なんかはあんまり辞退しない方なんですけども。とりあえずね、行ってね、辞退者募集のカウンターの前にまでは行くんだ。俺。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)どんな人が来るんだろう?ってさ。どれくらいかな?と思って。で、もう15回くらいそれをやってるんだよね。
(中澤有美子)そんなに(笑)。
(安住紳一郎)でね、だいたいデータが集まってきた。みなさん、どう思います?乗りたい便に乗らなくて、その権利を諦めたら1万円もしくは7500マイル。7500マイルっていうのは、だいたい1万5千マイル集めると、国内だと往復航空券がもらえるから、どっか行く片道の航空券代ぐらいにはなるんだよね。結構なまあ額っていうか、価値があるわけなんだけども。集まると思います?
(中澤有美子)辞退者?
(安住紳一郎)辞退者。『辞退してくださる方を5名募集いたします。現金1万円もしくは7500マイルを差し上げます』って。
(中澤有美子)結構来るんじゃないですか?しかも先着5名くらいとなると。
(安住紳一郎)これ、本当そうなんですよ。なんだかんだ言ってね、すんごい集まるんですよ。だいたいね、5名っていうと25人くらい来るんですよ。ブワーッて。で、私、物好きだから、かならず見に行って。辞退しないんだけど。
(中澤有美子)柱の陰から(笑)。
(安住紳一郎)もう搭乗手続きしてても『忘れ物しました』って言って出てきて、見てるんだから。
(中澤有美子)そこまで!(笑)。
(安住紳一郎)すごいの。で、5名の場合は相当早い。で、相当早い決断をしないと、それには間に合わない。さらに悲しいのは、『よし、俺辞退しよう。1万円もらおう。この便、乗れなくてもいいもん』と思って決意して、そのカウンターの列に並んだものの、5人の中に入れなかった時は、もう悲しみをぶつけるところはありませんからね。
(中澤有美子)本当ですよね。
(安住紳一郎)なんか損はしてないのに、なにか損した気分になるというね。
(中澤有美子)そうなんですよね。
(安住紳一郎)エアロトみたいなことになりますからね。うん。
(中澤有美子)そうでしょうね。元々そうだったのに、なんだ、この気分は?っていう。
(安住紳一郎)そうなんですよ。あれ、おかしいな?普通通りに乗っていたらなんの心の動きもなかったのに、なんか損した気分になっちゃったわ、みたいな。
(中澤有美子)でしょうね。覚悟を決めたのに。
(安住紳一郎)なので、大変注意が必要なんですね。せっかくですから、なかなか公の場ではこういうことは、なかなか公開されておりませんので。私の少ない15回の経験から、しっかり今日は心構えをしていただきたいと思います。これは大変大事ですね。地震の時、はぐれたらどこで集合するか?と同じようにですね、オーバーブッキングのお知らせがあった時に、自分はどうしたらいいのか?をいまの時点で決めておきましょう。
(中澤有美子)なるほど(笑)。シミュレーションしておこう。はい。
(安住紳一郎)シミュレーションしておきましょうね。まず、パターン3つに分かれます。パターン1。まず、いちばんある場合なんですけども。札幌、福岡などが大変顕著ですけども。大変その、東京-札幌、東京-福岡。便数が多い場合によく出くわすパターンなんですけども。オーバーブッキングですね。要するにその、満席以上の予約を取ってしまった便の直後、あるいはその日のうちに目的地に向かう振替便を航空会社が用意してくれている時ですね。
(中澤有美子)えっ、基本的にそうではないんですか?
(安住紳一郎)違うんですよ。この後、パターン2をお楽しみに。
(中澤有美子)あ、すいません。
(安住紳一郎)パターン1ですね。要するにたとえば、14時の福岡行きに乗れなかった。で、15時の飛行機に乗ってくださる方を募集すると。その日の内に目的地に行けるという。この場合はだいたいですね、現金1万円か、先ほども言ったように7500マイルになります。これはですね、即決してください。もう、即決しないと間に合いません。
(中澤有美子)そうですか。はい。
(安住紳一郎)5人の中に入れません。
(中澤有美子)大して条件変わりませんもんね。
(安住紳一郎)そうですね。1時間から2時間くらい遅れるぐらいのマイナス要因が自分には課される。その代替として、1万円か7500マイル。これはですね、出張慣れしたビジネスマンがヨーイドン!で走り出しますから。
(中澤有美子)わお!わお!
(安住紳一郎)もう観光で2、3人で連れ立って『どうする?どうする?でも、1万円・・・』なんてやっていたらもう歯が立ちません!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)もう早い!30秒から45秒で5人、バンッて来ますから。で、もう1分から1分半たったら20人から30人来ますから。
(中澤有美子)まあ!そうですか!
(安住紳一郎)すんごいですから。まず、キャリーバッグを持っていたら負け。それから、喫茶店でお茶してたら負け。それから、エスカレーターで上りに乗っていても負けです。ダメ。荷物多いとダメだし、お会計しないと出られない店に入っていてもダメ。エスカレーターなんか乗っている場合もダメ。
(中澤有美子)ダメ。はい。
(安住紳一郎)『満席以上のご予約をいただいております』の『満席以上』の『い』を聞いたら、もう走る!
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)もう百人一首みたいな感じ?
(中澤有美子)ピンポーン!
(安住紳一郎)『衣ほすてふ』の『ほ』を聞いたらもうバーン!『衣ほ・・・』『ほ!これしかない!決まり!』って。『満席い・・・』って言ったらバーン!って、走んなきゃ。
(中澤有美子)そうなんですね(笑)。
(安住紳一郎)もう45秒。30秒以内に行かなきゃ間に合わない。で、これ間違っちゃうパターンは引っかけがあるんですけども。『16時5分松山行き1467便は満席でのご案内になりますので、後方座席からのご案内になります』っていう、ちょっとね、紛らわしい、似てるアナウンスがあるんですよ。なので、『満席以上』の『い』を聞いたら走る!カウンターの位置を正確に把握して。で、とにかく走る。恥ずかしいなんて言ってられませんから。最初ね、1回目の時、恥ずかしいっていう気持ちあるの。
(中澤有美子)そうですよね。
(安住紳一郎)なんか、お金にうるさいみたいな。なんか図太いみたいに思われるみたいな。大丈夫です。カウンターに並ぶと、もっと図太い人がたくさんいますから!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)もうね、恥ずかしがらずにね、走る!
(中澤有美子)そうですか(笑)。えっ、本当にダッシュでいいんですか?
(安住紳一郎)ダッシュ。もうダッシュでいい。恥ずかしがらなくてぜんぜん平気。ものすごいみんな走るから。
(中澤有美子)そうですか(笑)。
(安住紳一郎)で、広島でこのパターン、先週見たんですよ。で、広島の空港ってまた広いんでね。待合室がカウンターより奥まったところに入ってるんで、カウンターが逆にいちばん近いのは、カウンターの真上にある、2階にあるお好み焼き屋さんなんだよね。で、それをビジネスマンの人たち知ってるから、この放送が流れたの。『予約をいただきましたので、ご辞退いただける方には現金1万円・・・』って言ったら、もう、30分後くらいに羽田行きの飛行機があるから、そんなビジネスマン、別に帰り、帰宅が30分遅れたところで痛くも痒くもないわい!みたいなサラリーマンが、お好み焼き屋から大挙してブワーッ!
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)7-8人、ブワーッ!って出てきて。俺、それを俯瞰で見てたの。こっちから。それでその、カウンター横につながる螺旋階段をみんな一段とばしでブワーッ!って下りてくるのよ。で、待合室がちょっと奥の方にあるからさ、もうこっちの待合室組は間に合わないわけ。それを見越して、お好み焼き屋のサラリーマンたちがさ、ブワーッ!って出てくるわけ。30分東京に着くのが遅れる代わりに1万円ッツったらさ、もうすごいんだよ。もう消防署かと思うぐらい。
(中澤有美子)消防署(笑)。螺旋階段を(笑)。
(安住紳一郎)フワーッ!って。すっごい。ものすごい飛躍。なので、あまり初心者にはおすすめできません。で、先ほどお話もありましたパターン2。これはね、難しいんですよ。満席以上になった便が最終便、もしくは後に続く便も満席の場合。要するに、その日の内に行きたい目的地に行けない場合ですね。その場合、航空会社は翌日朝一番の飛行機を当てがってくれるという説明があります。さらに条件は先ほどのパターン1とは違い、格段によくなって2倍。現金2万円かマイル1万5千マイル。さらに、今日の宿泊先を用意してくれるという。
(中澤有美子)はい。へー。
(安住紳一郎)まあたしかにね、今日中に行けないということですから、当然条件は格段に、2倍に上がるっていうのはわかるんですが。これは勤め人にはちょっと無理な相談になりますよね。今日中に帰るっていうのが明日の朝になるわけですから。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)で、観光の方もね、結構無理ですよね。いろいろ予定とか、宿泊先のホテルとか、予約ね。自分で取ったホテルの予約先とかありますから。で、パターン2の場合になると、私の見た限り、熟年夫婦オンパレードになりますね。想像ですけども、東京の息子夫婦のところに来て、孫の顔を見て、東京観光をさせてもらって、で、夫婦2人で地方に帰るという。で、お父さんはもう定年してます。お母さんと2人、急いで今日帰っても、明日帰っても変わらないよなという熟年夫婦が列をなします。これは本当に熟年夫婦オンパレードなの。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)確実に旦那さん、定年っていう感じの。ほぼね、衣装が再現役者みたいな感じになります。だってね、考えたら2人で4万円。でね、お嫁さんのところ、息子夫婦のところに泊まったけれども、ちょっとのんびりできなかったし。お父さんと一緒に東京のシティホテルに泊まってみるのもいいんじゃないかい?4万円もらったら、今度孫になにか買ってあげられるよっちゅーことで、熟年夫婦が並ぶ。
(中澤有美子)ねえ。とてもいい。ええ。
(安住紳一郎)私、見てますから。ただ、問題なのはだいたい募集枠は5人なんだよね。そうすると、1組・2組は2・4でいいとしても、3組目の熟年夫婦が、『お父さん、残るかい?』『お母さん、帰ったほうがいいんじゃない?』って。で、モメちゃうの。
(中澤有美子)モメちゃうの?(笑)。そうですか。
(安住紳一郎)『明日帰ったら、駐車場まで迎えに来てくれるかい?』ってなっちゃうのね。
(中澤有美子)そうかそうかそうか。
(安住紳一郎)『お父さん、残りな』『いや、お母さん、残りな』って。若干モメるの。で、モメてると今度後ろの人が急かすから。要するにギリギリでそういうことを判断してるから。もう本当飛行機出発するのが20分ですから。『ご辞退くださるんですか?どうなんですか?』みたいな。ちょっとね、軽く詰められちゃったりして。
(中澤有美子)そうなんですね。
(安住紳一郎)で、ちょっとね、定年されているから時間のバランスも崩れちゃっている熟年夫婦だからさ。『んー、どうしたらいいかなあ?』ってなっちゃうわけね。『2人じゃ、ダメですか?』なんてこと、ずっとやってるわけ。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)なので、これも事前にキャンセル組で辞退に申し込むとしたら、お父さんが帰るか、お母さんが帰るかを事前に決めておいてください。これも大事です。
(中澤有美子)すごいレアなシミュレーションのような気が・・・(笑)。
(安住紳一郎)いや、大事ですよ。で、パターン3。最後です。話長くなって恐縮です。レアケース。これ、私は一度しか見たとこがありませんが。鹿児島空港で見たんですけども。鹿児島から東京羽田に帰りたい。そういう人たちが待合室にいる。ところがその、鹿児島-東京の最終便がブッキングオーバーになってしまって。辞退者5名を募る。しかしこれが、この時大変ちょっと複雑で。『鹿児島と東京の直行便は満席なんですけども、鹿児島から福岡にまず行って、福岡で乗り換えて東京に行く最終便を手配することができました』と。
(中澤有美子)おおー。
(安住紳一郎)要するに鹿児島-東京の直行便じゃなくて、鹿児島-福岡-東京の、このちょっと時間のかかる、といっても待ち時間がありますので、6時間くらい、自分の乗りたい便から数えると遅れることになるんですが。まあ、こういう経由をして行ってくれる人はいませんか?と。で、これもたぶん現金1万円と7500マイルだったと思うんですけども。こうした場合は、やっぱり先ほど、パターン1と同じように、まあサラリーマン。ちょっと時間に余裕のあるサラリーマンと、プラス、乗り物オタクが集合いたします。
(中澤有美子)ああ、そうですか(笑)。
(安住紳一郎)どちらかと言えば私みたいなタイプなんですけども。もうその、要するにちょっと変わった路線を乗り継ぐっていうその条件提示に、いわゆる、無条件に興奮するわけですね。
(中澤有美子)そっかー(笑)。
(安住紳一郎)ちょっとやっぱりその、航空機好きの方が大集合するんですよね。
(中澤有美子)ちょっとね、普通だと面倒くさいと思っちゃうけど。
(安住紳一郎)その面倒くさい、その・・・『へっ!?』なんつって。『(高めの声で)福岡経由で東京までですか!?』って。そういうタイプの人がね・・・
(中澤有美子)なに、そのしゃべり方?(笑)。
(安住紳一郎)ちょっとね、なんか航空機談義みたいなのがね、カウンターのところで行われるの。『鹿児島-福岡っていうと737-800じゃなくて、エンブラエルの170ですか?』みたいな。『DHC8のQ100ですか?運行は、Jエアーですか?あっ、JエアーだったらQ300か!54人乗りだったらQ100ですけどね。あの、運行はJACですか?JACですか?54人乗りですよね?じゃあ、私、辞退します。っていうか、辞退させていただきますっ!』『737-800っていうのは確約ですか?エンブラエルの170は今年2月からの運行って聞いてるんですけど、この場合急遽・・・Q400ってことはあり得ないですよね?旧JASの塗装ということでいいですか?』
(中澤有美子)ちょっと・・・安住さん、なにも見ないで言ってる(笑)。すごいですね(笑)。
(安住紳一郎)『SAAB340は南西航空に売却と聞きましたけども、この場合の運行は?』っていう。そういう人たちがわっさり。そしてその後ろに、その後ろの柱の陰で私が見てます。
(中澤有美子)(爆笑)。参加したい?
(安住紳一郎)参加したいけど参加できない、みたいな。
<書き起こしおわり>
↧
安住紳一郎が語る 空港で人々を動揺させる館内放送と対処方法
↧