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宇多丸 ECDを追悼する

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宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で亡くなったECDさんを追悼していました。



(宇多丸)といったあたりで、こんなやいのやいのやった後に話をするのも気が引けるんですが、この番組にも以前、2015年10月10日か。結構前になっちゃうね。『日本のデモ最前線2015 デモへの日本語ラップの影響とは?特集』にも来ていただきました。ラッパーのECDさん。僕は「石田さん、石田さん」って呼んでますが。石田さんが今週の水曜、24日に入院先の病院で亡くなってしまった。57才ということで。結構日本のヒップホップ界の中で、実はかなり年齢的にも上で。

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だし、よく言うんだけど、いとうせいこうさんとかタイニー・パンクスのお二人とか、近田春夫さんとか、もともとそれまでもサブカルチャー界、音楽界とかで活躍をされていて、そういう人がラップにハマッてヒップホップをやりましたっていうんじゃなくて、本当に……まあ石田さんも演劇界とかでいろいろとやられていたりとか。リーマンズとかね、メンバーにいたりとか、そういう時代もありましたけども。まあ、がっつり世に出だしたのはラッパーとしてのキャリアが最初。だから要するに、はじめて日本で登場した純ラッパーキャリアっていうか。まあ本当に純ラッパーとしては第一号と言っていいと思いますし。

で、石田さんが登場して、いまから考えるほとんどもう1年後とか2年後とかに僕らが後を追うように始めて。なので、石田さんともよく言うんだけど、年齢は全然違うんだけど、気分的には同期感があります。で、石田さんと僕との思い出とかってちょっと一言では……これはまさに一言では語り尽くせない。俺は始めた瞬間からそのシーンの……割と当時はシーンの中心で牽引されていた方で。なので、まあ本当にもちろんピリついた関係だった時もいっぱいあるし。あと、石田さんとは昔は電話でよく議論っていうか。「なんで士郎、ああいうことをあそこで言うんだよ?」みたいな。逆に僕は「石田さん、ひどいじゃないですか。ああいうことを言って」みたいな。で、それでお互いに議論をして、意見のすり合わせというのかな? そういうのをして。

なので、そういう言い合えるぐらいの感じでもあったというのがすごく僕にとっては大きな存在でもありましたし。いろんな人の石田さん感っていうのはあるんだけど、僕にとってはそういう感じで。で、ピリッとした関係性も含めてとっても、常に言動というか、気になる人でもあったし、もちろん作品もそうだしっていうことで。ということで、すいません。時間があんまりないね。できるだけ曲をかけたいなと思って。2曲かけたい。まずは、石田さんもちろん近年のキャリアでね、素晴らしい曲もいっぱい作っていて。以前、この番組でもちょいちょい、デモ特集の時とかもかけたりしましたけど。

今日はちょっと、同期感ということで昔めの、90年代初期の曲で。ファーストアルバム『ECD』の収録曲で、結構僕はこの曲で石田さんが……石田さんって決していわゆるテクニカルなと言うか。いわゆるUS現行シーンのスキルをそのまま直輸入的に、わかりやすく技術的にいわゆる「上手い」ラップをやる人じゃないんだけど、石田さん的としか言いようがない素の言葉というか。朴訥とも言っていいようなフロウとかも含めて、この曲で結構俺、石田さんがネクストレベルというか、1個弾けたなと思っていて。すごい大好きな曲で。石田さんの好きな曲トップ3には入る曲なんですけども。お聞きいただきたいと思います。ECDで『漫画で爆笑だぁ!』。

ECD『漫画で爆笑だぁ!』



はい。1992年、石田さんの初期の代表曲というか大人気曲のひとつでございます『漫画で爆笑だぁ!』をお聞きいただいております。で、もう1個石田さん絡みで曲をかけさせて。っていうのは、2012年にリリース、DJ PMXさんのアルバム『THE ORIGINAL II』に収録されている曲で、これは以前、曲を作ったばかりの時にこの番組でもかけたし、その時の話もしたと思うんですが。

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私、宇多丸とタイニー・パンクス高木完さんとECDさんの3人でやった曲があって。要は、先ほどから言っているようにキャリアの本当に始まりの時点……ライムスターとか組むはるか前の時点から石田さん、関係というかお会いはしていて。

で、さっきも言ったけどもピリッとした関係の時も全然あったりしたんだけど。まあお互いに歳を取って、キャリアを重ねて。別個のフィールドではあるけども、活動を続けていてというところで。まあ、ある意味僕がヒップホップの道に来ちゃうひとつの大きなきっかけである完ちゃんと、そして石田さんと一緒に曲をやれるというのは僕的にはめちゃめちゃうれしくて。で、すごいいい曲もできたし。一緒にスタジオに入って録って。その後に完ちゃんと石田さんと一緒にご飯を食べに行って。夜道を歩きながら話しながら帰って……みたいな。すごい俺的にはうれしかった。

っていうのは、やっぱりヒップホップ界では結構僕、年長組になっちゃって。そんなに先輩の数が多くないんだけど。だからたまにそういう、「ああ、先輩だな」っていう人に囲まれるとすごいうれしくてはしゃいじゃって。めちゃめちゃ楽しかったし、いい曲ができたなといまでも思っています。これをライブで1回もできていないのが心残りですけどね。では、お聞きください。DJ PMX feat.宇多丸 高木完 ECD『Three The Hard Way』。

DJ PMX feat.宇多丸 高木完 ECD『Three The Hard Way』



はい。石田さんのバースの感じがいま聞くとまた染みてしまいましたね。DJ PMX feat.宇多丸 高木完 ECD『Three The Hard Way』をお聞きいただきました。こちら、DJ PMXさんのアルバム『THE ORIGINAL II』に収録されております。ということで、石田さん、ご冥福を心よりお祈りしますっていうか……ああー、やっぱりみなさん、あれですよ。しばらく会ってなくて、「会いに行かなきゃな」みたいな人はすぐに会いに行かなきゃダメだな。改めて、それをすごく噛みしめる事態でもございました。

<書き起こしおわり>

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